若松2D協奏曲

枝豆

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文化祭 準備

寄付の是非

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「あー、ちょっといいかな?」
それまで黙って話を聞いていた担任の原田先生が声を発した。

騒がしかった教室が一瞬で静まり返る。

「あー、寄付の善意の良し悪しについてはちょっと傍におけ。
お前たちは違う方向で事を考えて欲しい。」

原田先生は一旦言葉を切り、みんなを見回した。

「なぜ磯山学園なのか?というヤツもいるみたいだが、今回さくら市が無関係とは言えない。
被害にあった磯山にあるのが、さくら市の特別区小学校、磯山学園だ。
さくら市の中学生が毎年職業体験で行っているはずだ。
その関係で、今回教職員でボランティア隊を作って派遣している。
この磯山の被害や学園の事については、お前たちで調べてみろ。

それから利益を寄付というが、売り上げを逆算してみろ。
もし寄付するとして幾らぐらい寄付したいのか、それを集めるために何をどのくらいいくらで売るのか、それが出来るのか?

文化祭の売値は原則損しない程度につける、だぞ。そこに利益を乗せることになる。
例えば寄付しなければ100円で売れるものに、寄付分の利益を乗せるんだ。
110円にするのか、200円にするのか、1000円にするのかで売り上げや利益は全然変わってくるだろう?

文化祭に相応しい企画になるのか、「寄付」するという行為が、付加価値になるのか、お前たちの足枷になるのか考えてみろ。
これ、月曜までの宿題にするわ、実行委員、調べ物の段取り決めて、今日はとりあえず終わり!」

と話を終わらせる。

隣の富田くんは少し怒ってるような顔で聞いていた。

…よくわかんない。
何か難しそう。

「調べの割り振り、どうしますか?」
菜々子ちゃんがみんなに問いかけた。

手を挙げたのは皇子くんだった。
「さくら市の中学で職業体験に行った奴、いるか?」

…誰もいなかった。

「んじゃ、行った奴知ってる人は?」
…誰もいなかった。

「参ったなぁ。」
皇子くんが頭を掻きながら、
「学園の事を調べるなら、行ったことある奴から話を聞くのが良いかな、と思ったんだ。それと、被害のことを調べる、原価や利益をの事を調べる、の3つにグループ分けして考えるか、とりあえずたくさんの意見を集めるっていう意味で1人でじっくり考えるか、じゃないか?」

…誰も何も言わない。

「俺、ひとりで考えたい。」
と言ったのが富田くん。
「俺、みんなで考えたい。」
と言ったのが北斗くん。

多分北斗くんの頭の中には疾風くんや優ちゃん、もしかしたら私達も入っている、そう思ってる。
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