若松2D協奏曲

文化祭 準備

だけど、だから。

結局、ひとりがいい人は１人で、みんながいい人はみんなで、なんだかまとまりのない結論になってしまった。

…本当ごめんね。

吹部はこの時期部活の拘束が厳しい。
まだコンクールの全国大会が残っているのと、並行して文化祭での発表もあるから。

「もう行かなきゃ！」
という私達吹部のメンバーの意見を汲んで、一旦解散となった。

後ろ髪を引かれながら、後はみんなに託すしかない。

「だからごめんね。」
とみんなに言うと、
「いいよ、いいよ。」
と言ってくれるのが、物凄くたまらなく申し訳なく思う。

「いくよ！」
と中野さんに引きずられるように教室を出た。



「…なんか面倒そう。」
中野さんが呟いて、西さんもそうだねぇと言っている。

「適当に売って、利益を寄付、でいいのにね。」
「うん、ホント。でもウチらあんまり関われないしね。」

みんながやりやすい様にしてもらうしか出来ないね、で話が終わる。

…そうなのだ。
文化祭は２日あるけれど、私達はずっと「吹奏楽部員」として拘束されてしまう。
辛うじて３年生もまだ引退してはいないけれど、それはコンクールの為で、文化祭はオマケみたいなもの。

9時から3時までの間、午前１回、午後１回に体育館でコンクールA組の演奏、午前１回午後１回にアンサンブルでのミニコンサート…。

２年生のA組選出はフル回転で拘束される。
私も、中野さんも、西さんも…。

…だから。
ごめんなさい。クラスの方には関われない。

でも、なんとなく。
なんとなくなんだけど、
「私は関係ない。」
とは言いたくない。
私だって2Dの一員だから。

じゃあ何が出来る？って言われると、辛うじて参加できるのは、準備だけ…。

「布インクで作品をつくる。」
どんな形になるかはわからないけれど、作品作りとお店の装飾作り、それくらいならなんとかなる…かも。
なんとかなる…かな。

…なんとかしたい、な。

って思うけど…。

思ってるだけになっちゃうかも…しれない。