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文化祭
皇視点
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バスケ部の今年のイベントは「校内探検隊」
ビンゴとスタンプラリーを組み合わせたようなものだ。
指示書を手に校内を歩く。
指示書には
「水辺に佇むカエル」
「塔に閉じ込められている姫」
9個の指示が書かれている。
中庭の池にカエルの着ぐるみを着た部員がボーッと座っていて、屋上への入り口の前に女装した部員がいる、という具合。
見つけられたらカードにスタンプを押して貰う。
1列でも良いし、9個全部埋めてもいい。
最後にブースに戻れば、マスの数だけの飴を配る。
…今俺は何をやらされているんだろう…。
「学校案内を配るホスト」って意味がわからない。
用意された衣装は、ピンクのサテンのシャツに、白のスーツ。髪には金髪のカツラを被らされている。
そして、学校説明をする個別相談室で、副校長と並んで来校した中学生に学校案内資料を配っている。
「…こんな格好で、ここにいて良いんですか?」
最初俺を見た副校長は軽く固まっていた。
そうだろう…と思う。
お祭り気分溢れる学校の中で、ここだけが唯一の真面目な場所、なんだから。
「…スーツ着た子が手伝ってくれる、っていう津山先生の話だったんだけどな。」
…津山!
バスケ部顧問の津山先生は体育教諭で、進路指導…。
おい!
嘘はついてない。スーツは着てる。チャラいホストスーツだけど。
頭金髪だけどな。
「カエルの着ぐるみよりはマシかなと…。」
副校長はそう考えたそうだ。
でも、まっ、いっか、と副校長は受け入れた。
入ってきた保護者一人一人にすみません、イベントなんです、と説明して頭を下げる。
すると、
「あっ、私指示書持ってます!」
とビンゴカードを出される。
自分のマスに判子を押して返す。
「いつもはね、ほとんど誰も来ないんだ。資料なんてWEB請求出来ちゃうからね。わざわざここまで資料貰いにくる子は少ない。
だけど、今年はたくさん来てくれてるから、それだけでも嬉しいよ。」
と副校長は言う。
「君、クラスは?」
「2年D組です。」
「ああ、あのクラスね。」
…副校長に、ああ、あのね、と言われてしまうくらいにはなにかやらかしたらしい。
「イヤ、ビックリしたよ。いきなり役所の広報課から取材依頼が来てねぇー。」
ってやらかしたのは俺だった!
「あっ、あれは…。」
「あはは、大丈夫。ちゃんと事情も経緯も聞いてるから。君たちが暴走したんじゃないって事はわかってる。」
「ただね、嬉しかったんだよ。同じさくら市の公立学校なのに、教員の身じゃ大したことはしてあげられなくてね。せいぜいボランティアで作業手伝うか、市役所の募金箱にお金を入れるか、くらいでね。」
生徒発信で寄付ができる事、いくつかの商店街から協力の申し出があった事、磯山学園の先生から学習ボランティアのお礼があった事、何より学校の宣伝というかイメージアップに繋がる事。
「9個セット、みんなで買ったんだよ。来年のココには君たちの作品も飾ろうかな。」
リップサービスに過ぎなくても、滅多に話さない学校の先生が、ベタ褒めしてくれることが、こそばゆくって仕方がない。
「ホスト褒めても仕方なくないですか?」
とだけ答えた。
「あはは、全くだ。津山先生にはお礼言わないと。」
…お礼。
大丈夫なお礼であることを祈っておくよ、津山。
ビンゴとスタンプラリーを組み合わせたようなものだ。
指示書を手に校内を歩く。
指示書には
「水辺に佇むカエル」
「塔に閉じ込められている姫」
9個の指示が書かれている。
中庭の池にカエルの着ぐるみを着た部員がボーッと座っていて、屋上への入り口の前に女装した部員がいる、という具合。
見つけられたらカードにスタンプを押して貰う。
1列でも良いし、9個全部埋めてもいい。
最後にブースに戻れば、マスの数だけの飴を配る。
…今俺は何をやらされているんだろう…。
「学校案内を配るホスト」って意味がわからない。
用意された衣装は、ピンクのサテンのシャツに、白のスーツ。髪には金髪のカツラを被らされている。
そして、学校説明をする個別相談室で、副校長と並んで来校した中学生に学校案内資料を配っている。
「…こんな格好で、ここにいて良いんですか?」
最初俺を見た副校長は軽く固まっていた。
そうだろう…と思う。
お祭り気分溢れる学校の中で、ここだけが唯一の真面目な場所、なんだから。
「…スーツ着た子が手伝ってくれる、っていう津山先生の話だったんだけどな。」
…津山!
バスケ部顧問の津山先生は体育教諭で、進路指導…。
おい!
嘘はついてない。スーツは着てる。チャラいホストスーツだけど。
頭金髪だけどな。
「カエルの着ぐるみよりはマシかなと…。」
副校長はそう考えたそうだ。
でも、まっ、いっか、と副校長は受け入れた。
入ってきた保護者一人一人にすみません、イベントなんです、と説明して頭を下げる。
すると、
「あっ、私指示書持ってます!」
とビンゴカードを出される。
自分のマスに判子を押して返す。
「いつもはね、ほとんど誰も来ないんだ。資料なんてWEB請求出来ちゃうからね。わざわざここまで資料貰いにくる子は少ない。
だけど、今年はたくさん来てくれてるから、それだけでも嬉しいよ。」
と副校長は言う。
「君、クラスは?」
「2年D組です。」
「ああ、あのクラスね。」
…副校長に、ああ、あのね、と言われてしまうくらいにはなにかやらかしたらしい。
「イヤ、ビックリしたよ。いきなり役所の広報課から取材依頼が来てねぇー。」
ってやらかしたのは俺だった!
「あっ、あれは…。」
「あはは、大丈夫。ちゃんと事情も経緯も聞いてるから。君たちが暴走したんじゃないって事はわかってる。」
「ただね、嬉しかったんだよ。同じさくら市の公立学校なのに、教員の身じゃ大したことはしてあげられなくてね。せいぜいボランティアで作業手伝うか、市役所の募金箱にお金を入れるか、くらいでね。」
生徒発信で寄付ができる事、いくつかの商店街から協力の申し出があった事、磯山学園の先生から学習ボランティアのお礼があった事、何より学校の宣伝というかイメージアップに繋がる事。
「9個セット、みんなで買ったんだよ。来年のココには君たちの作品も飾ろうかな。」
リップサービスに過ぎなくても、滅多に話さない学校の先生が、ベタ褒めしてくれることが、こそばゆくって仕方がない。
「ホスト褒めても仕方なくないですか?」
とだけ答えた。
「あはは、全くだ。津山先生にはお礼言わないと。」
…お礼。
大丈夫なお礼であることを祈っておくよ、津山。
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