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天使が舞い降りる 皇
着物でクリパ
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やっぱりというか、なんというか。
美和子さんは俺と壮がお教室のパーティーに参加することを喜んで受け入れてくれた。
学校が終わって家に帰るとソワソワしている壮が待っていた。
「ねえ、コレでいいの?」
「ああ、普段着で、って話。」
まあ、着替えさせられるんだろう。
少し早く来てね、と美和子さんは言ったんだから。
あの蛍の日、嶋田さんに「妻の趣味に付き合って」と言われた事を思い出す。
きっと美和子さんの部屋には沢山の着物がずらりと並べられているんだろう。
あの日、手際よく6人を浴衣に着替えさせた美和子さんは楽しそうだったなぁ。
父から持たされたワインと、母から渡されたお菓子を持って、電車とバスとで嶋田さんの家に向かった。
案の定、出迎えてくれた嶋田さんは着物姿。
「皇くんのも壮くんのもあるからね。」
となんだか嬉しそう。
「着物!僕のもあるの?」
「ああ、あるよ。」
喜んで普段は教室に使っている和室へと壮は掛けていく。
お土産を渡して、少し遅れて和室へと向かう。
…ウキウキだな。
手早くさっさと下着姿になっていた壮は既に肌襦袢を羽織り初めていた。
「皇くん、悪いけど肌襦袢だけは着れる?」
と言われて、はいと答えた。
まあ適当だけど、違っていたら美和子さんが直してくれる。
長襦袢、着物、帯、そして羽織。
「うわ、僕初めて着物着た!」
初めてじゃない。七五三で着たよ。あの時は袴だったけど。
「…似合うじゃん。」
「お兄ちゃんも。大人の人みたい。」
褒め言葉なのかは微妙だけど、ありがとうと答えた。
着付けをしてもらっている間に何人かお客様が着いたみたい。
リビングから人の騒めきが聞こえてくる。
着物の柄を褒めあっている、女性特有の会話。
「はい、でーきた!」
美和子さんが俺の腰をパンパンと叩いて終わりの合図。
「さ、行きましょう。」
と襖を開く。
見覚えのある人、無い人、みんながこっちをポカンと見ていた。
「…お兄ちゃん。」
あんなにはしゃいでいた壮だったけど、ウキウキは一瞬でシュン、と凹んだ。
壮の人見知りが発動した。
あらかじめ嶋田さんから伝えられていたんだろうか、簡単な挨拶だけで後は俺と壮は放って置かれた。
しばらくすれば壮も落ち着く。
なんたって、マシンガントーク炸裂のご婦人会なのだから。
着物を汚さない様に襷を掛けて貰って、壮はひたすら美和子さんが作った料理を食べている。
止めるべきだった。すっかり後手に回った。
緊張、程よい満腹感、周りの楽し気な雰囲気。気づいたら壮はソファの端で眠っていた。
「壮、壮、寝るな起きろ。」
ペチペチと頬を叩いても、ユサユサと身体を揺すっても、壮はちっとも起きなかった。
「皇くん、諦めなさい。2階に布団敷くから。」
「…でも。」
「明日学校が…。」
「えっ!?土曜なのに?」
「終業式なんです、俺も壮も。」
うわぁ、油断した。
嶋田さんが狼狽えた。
「明日休みだし、泊まっていけば良いって思ったから、俺、酒飲んじゃったよ。」
それは全然構わない。
壮が起きてくれたら、俺がおぶってでも連れて帰るつもりだし、嶋田さんがパーティーを楽しめないのは嫌だったから。
「まあ、少し寝かせてあげましょう。疲れたのよきっと。」
と美和子さんはビール片手にのんびりとした事を言う。
「朝早起きして、車で家まで送ってあげたらそれで良いじゃ無い。」
遠慮していた俺は折れるしかなくなった。
だって嶋田さんはさっさと壮を抱え上げて2階へ連れて行ってしまったんだから。
「さあ、皇くんも、こっちにいらっしゃい。」
仕方ない。諦めよう。
俺はおばさま方が手ぐすね引いているテーブルの一角に腰を下ろした。
美和子さんは俺と壮がお教室のパーティーに参加することを喜んで受け入れてくれた。
学校が終わって家に帰るとソワソワしている壮が待っていた。
「ねえ、コレでいいの?」
「ああ、普段着で、って話。」
まあ、着替えさせられるんだろう。
少し早く来てね、と美和子さんは言ったんだから。
あの蛍の日、嶋田さんに「妻の趣味に付き合って」と言われた事を思い出す。
きっと美和子さんの部屋には沢山の着物がずらりと並べられているんだろう。
あの日、手際よく6人を浴衣に着替えさせた美和子さんは楽しそうだったなぁ。
父から持たされたワインと、母から渡されたお菓子を持って、電車とバスとで嶋田さんの家に向かった。
案の定、出迎えてくれた嶋田さんは着物姿。
「皇くんのも壮くんのもあるからね。」
となんだか嬉しそう。
「着物!僕のもあるの?」
「ああ、あるよ。」
喜んで普段は教室に使っている和室へと壮は掛けていく。
お土産を渡して、少し遅れて和室へと向かう。
…ウキウキだな。
手早くさっさと下着姿になっていた壮は既に肌襦袢を羽織り初めていた。
「皇くん、悪いけど肌襦袢だけは着れる?」
と言われて、はいと答えた。
まあ適当だけど、違っていたら美和子さんが直してくれる。
長襦袢、着物、帯、そして羽織。
「うわ、僕初めて着物着た!」
初めてじゃない。七五三で着たよ。あの時は袴だったけど。
「…似合うじゃん。」
「お兄ちゃんも。大人の人みたい。」
褒め言葉なのかは微妙だけど、ありがとうと答えた。
着付けをしてもらっている間に何人かお客様が着いたみたい。
リビングから人の騒めきが聞こえてくる。
着物の柄を褒めあっている、女性特有の会話。
「はい、でーきた!」
美和子さんが俺の腰をパンパンと叩いて終わりの合図。
「さ、行きましょう。」
と襖を開く。
見覚えのある人、無い人、みんながこっちをポカンと見ていた。
「…お兄ちゃん。」
あんなにはしゃいでいた壮だったけど、ウキウキは一瞬でシュン、と凹んだ。
壮の人見知りが発動した。
あらかじめ嶋田さんから伝えられていたんだろうか、簡単な挨拶だけで後は俺と壮は放って置かれた。
しばらくすれば壮も落ち着く。
なんたって、マシンガントーク炸裂のご婦人会なのだから。
着物を汚さない様に襷を掛けて貰って、壮はひたすら美和子さんが作った料理を食べている。
止めるべきだった。すっかり後手に回った。
緊張、程よい満腹感、周りの楽し気な雰囲気。気づいたら壮はソファの端で眠っていた。
「壮、壮、寝るな起きろ。」
ペチペチと頬を叩いても、ユサユサと身体を揺すっても、壮はちっとも起きなかった。
「皇くん、諦めなさい。2階に布団敷くから。」
「…でも。」
「明日学校が…。」
「えっ!?土曜なのに?」
「終業式なんです、俺も壮も。」
うわぁ、油断した。
嶋田さんが狼狽えた。
「明日休みだし、泊まっていけば良いって思ったから、俺、酒飲んじゃったよ。」
それは全然構わない。
壮が起きてくれたら、俺がおぶってでも連れて帰るつもりだし、嶋田さんがパーティーを楽しめないのは嫌だったから。
「まあ、少し寝かせてあげましょう。疲れたのよきっと。」
と美和子さんはビール片手にのんびりとした事を言う。
「朝早起きして、車で家まで送ってあげたらそれで良いじゃ無い。」
遠慮していた俺は折れるしかなくなった。
だって嶋田さんはさっさと壮を抱え上げて2階へ連れて行ってしまったんだから。
「さあ、皇くんも、こっちにいらっしゃい。」
仕方ない。諦めよう。
俺はおばさま方が手ぐすね引いているテーブルの一角に腰を下ろした。
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