幼馴染と一緒に異世界に召喚されたら全裸でした

krm

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27.手に入れたのは幸せでした

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お昼ご飯にはルシアンが持って来てくれたカレーを食べた。スパイシーでとても美味しい。
ピンクのニンジンの味がした気がするが気づかないことにした。

その後、久しぶりに外に散歩に出る。日差しが強いけれど風が涼しくて気持ちいい天気だ。
「どこ行こうか?」
隣にいる陽平が聞いてくる。
「うーん……とりあえず歩こうぜ」
「そうだね」
俺たちは手を繋いで歩き出した。

しばらく歩いているうちに、いつの間にか森の中に入っていた。木陰になっていて涼しい。
「なんか落ち着く……」
「そうだね、ここでちょっと休憩しない?」
「賛成!」
ちょうど近くにベンチがあったのでそこに座った。
「はぁ……いい天気だな……」
俺は空を見上げて呟いた。雲ひとつなくて青い。太陽が眩しくて目を細める。
「そうだねぇ……」
陽平は少し眠そうな声で答えた。
「寝不足?」
「うん……」
俺は昨日の夜のことを思い出して顔を赤くする。それを見た陽平が笑った。
「太一だって寝不足でしょ」
「まあね……」
お互いの顔を見て苦笑する。
それからしばらくの間、沈黙が流れたが気まずくはなかった。むしろ心地よい時間だった。

「早ければあと1ヵ月で僕たち親になるんだね……」
陽平がポツリと言う。
「……そっか、もうすぐなんだよね」
急に実感が湧いてきた気がした。俺は自分のお腹をさする。
(ここに陽平と俺の赤ちゃんが……)
「男の子かな?女の子かな?」
陽平も同じようにお腹を撫でている。
「どっちだろうな……楽しみだけど不安もあるよ」
俺は正直に思ったことを口にした。
「そうだよね……僕もさ、子供が生まれたらどうしようって色々考えちゃって……」
陽平は俺の手を握ったまま話を続ける。
「ちゃんとした父親になれるか心配でさ……」
陽平が弱音を吐くなんてすごく珍しい。
「俺たち2人が一緒なら、きっと大丈夫だよ」
「太一……ありがとう……」
陽平が優しく微笑んだ。その笑顔にドキッとする。
やっぱりイケメンだな……と思うと同時に、この人が俺の夫なんだよなぁとしみじみ感じてしまった。
しかも子供までできるなんて……未だに信じられない。

「まさか異世界で自分が妊娠するとは思わなかったなあ……」
「本当に不思議な世界だよね」
陽平が笑う。
「最初はびっくりしたし、不安だったけど……今は幸せ」
俺は陽平の肩にもたれかかった。
「僕も……今すごく幸せ」
そう言って陽平が俺の頭を優しくなでてくれる。
俺は涙目になっていた。こんなにも幸せな気持ちになれるとは思わなかったからだ。
子供は村の一番の宝ということだったが、俺にとっても一番の宝物になるに違いない。

「それにしても、子作りは激しかったね……」
俺がボソッと言うと陽平は顔を赤くして俯いた。
「あの時は本当にごめん……でも太一のことが好きすぎて止められなかった」
「わかってるって。俺も嬉しかったし」
俺が笑いかけると、陽平がぎゅっと抱きしめてくる。

「ねぇ、膝枕して」
なんだかすごく甘えたくなって、俺は陽平の膝の上に頭を乗せた。
「た、太一!?」
驚いた声をあげる陽平を無視して、俺は目を閉じる。
(やっぱり……陽平の匂いがすると安心できる)
陽平の体温を感じて心地良い気分になった。
(このままずっとこうしてられたらいいのにな……)
陽平の手が優しく頭を撫でてくれる。それが嬉しくて、俺は眠ってしまった。

目が覚めた時もまだ陽平の膝の上だった。どうやらあれからもずっとこの体勢のままでいてくれたらしい。
(優しいよな……ほんとに)
心の底から思う。
「起きたんだ」
陽平が優しく話しかけてきた。
「うん……」
起き上がって伸びをする。
「陽平大丈夫か?足とか痺れてない?」
「全然へいき!むしろもっと乗せていたかったくらいだよ!」
「それはよかった……ありがと」
2人で見つめ合う。そしてどちらともなく唇を合わせた。
「んっ……」
舌を絡める濃厚なキスを交わす。しばらくして口を離すと唾液が糸を引いた。
「キス上手になったね……」
陽平は俺の頬を触りながら言う。
「陽平のおかげだよ」
「えへへ……」
照れくさそうにはにかむ陽平が可愛い。
「もう一回……したい……♡」
「俺も……♡」
再び口づけを交わした。今度はさっきよりも激しく、貪るように。
そのまま押し倒されそうになったので慌てて止める。
「ちょっ……ここ外だから!」
「あっ……」
陽平は我に帰ったようだった。
「ごめん……」
しょんぼりした様子で言うので思わず笑ってしまった。
「ふふっ……」
「なんで笑うんだよぉ~」
拗ねる陽平の頬をつついて言う。
「拗ねるなよ~。続きは帰ってから……ね?」
「うっ……わかった……」
俺たちは手を繋ぎながら森を出た。
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