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46.最後の夜でした
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次の日、帰還の腕輪を手に入れたことをアテナに報告に行った。
「まあ!よく頑張りましたね!」
アテナは驚いた後、嬉しそうな表情になる。
「それで、いつ帰られるのですか?」
「それが……なるべく早く帰ろうと思っていまして……」
陽平が少し申し訳なさそうに言った。
「まあまあ、そうなのですね。でしたら、早速明日ゲートへ行きましょう」
アテナはさらりと述べる。
「えっ……もう少し遅くてもいいんじゃないでしょうか」
俺は驚いて言った。みんなにお世話になってばっかりで、まだ全然お返しができていない。
「こちらは大丈夫ですよ。元の世界でのあなたたちの生活があるでしょう。帰るなら早い方が良いですよ」
確かにそうだ。時間が空けば空くほど、社会復帰が難しくなる可能性はある。
「そうですよね……すみません」
「いいんですよ。お気になさらずに」
アテナはそう言って、優しく微笑んでくれた。
予想外に早く帰ることが決まったので、昨日の今日だが、またレオンとルシアンに挨拶に行くことにした。
「おお、君たちか!今日は何の用だい?」
ルシアンが笑顔で出迎えてくれる。
「実は……明日の朝、ここを発とうと思います」
俺は緊張しながらも言った。
「そうなのか……それは寂しくなるね」
ルシアンは悲しそうな表情になった。レオンも俯いている。
「そうだ、じゃあ最後にみんなでご飯を作って食べようよ!」
ルシアンは明るい声で提案してくれた。
「わあ!それは楽しそうですね」
陽平は喜んで返事をする。
「料理は得意だから任せてください!」
「僕だって負けないぞ」
2人は火花を散らし始めた。
「ふふっ……楽しみだなぁ」
俺は思わず笑ってしまう。
それから、4人で協力して豪華な夕食を作った。肉や野菜をふんだんに使ったスープに、パン、サラダなど。どれもとても美味しかった。
ちらほらとピンクのニンジンが使われているのが気になったが、そこは黙っていた……。
食事の片付けをしながら、俺はルシアンに話しかける。
「ルシアンさん、色々とありがとうございました」
「こちらこそだよ」
ルシアンは穏やかな笑みを浮かべた。
「僕、ルシアンさんの作る魔法薬が好きです!」
陽平が目を輝かせながら言う。
「おっ、嬉しいこといってくれるねぇ」
ルシアンは照れたように頭を掻いていた。
陽平がどういう意図で言ったかは置いておいて、ルシアンが作った魔法薬には何度も助けられた。
媚薬効果で大変なことにもなったけれど……。
「魔法薬のおかげで助かりました」
俺もお礼を言う。
「こちらこそ、君たちのおかげで楽しい日々を過ごすことができたよ」
「そんな!俺たちの方こそ……」
俺は泣きそうになったが必死に耐えた。
「ルシアンさんたちと過ごした時間は一生忘れません」
陽平も真剣な表情で言う。
「ありがとう。僕も2人のことは絶対に忘れないよ」
ルシアンは俺と陽平の手を握った。もう我慢できず、俺の目からは涙が溢れ出していた。
その日の夜は、なかなか寝付けなかった。ベッドに横になって目を瞑るが、色々と考えてしまう。
「ここでの生活も今日が最後かぁ……なんかしんみりするね」
陽平はそう言いながら、俺の頭を撫でている。
「うん……でも、やっぱり元の世界に戻れるのは嬉しいな」
俺は素直に言った。すると、ぎゅっと抱きしめられた。
「僕もだよ。でも、僕はこっちに来て良かったって思ってるよ。太一と結婚できたし、太陽にも出会えたから……」
「陽平……」
俺は思わず涙ぐむ。
「泣かないでよ。僕まで泣きそうになるじゃん」
陽平が困ったように笑った。
帰れるのは嬉しいけれど、やっぱりここでの生活が終わってしまうと思うと寂しい。
「ねえ太一。最後にさ……シよ?」
陽平は甘い声で囁く。
「うん……」
そして、その夜も満足するまで愛し合ったのだった。
「まあ!よく頑張りましたね!」
アテナは驚いた後、嬉しそうな表情になる。
「それで、いつ帰られるのですか?」
「それが……なるべく早く帰ろうと思っていまして……」
陽平が少し申し訳なさそうに言った。
「まあまあ、そうなのですね。でしたら、早速明日ゲートへ行きましょう」
アテナはさらりと述べる。
「えっ……もう少し遅くてもいいんじゃないでしょうか」
俺は驚いて言った。みんなにお世話になってばっかりで、まだ全然お返しができていない。
「こちらは大丈夫ですよ。元の世界でのあなたたちの生活があるでしょう。帰るなら早い方が良いですよ」
確かにそうだ。時間が空けば空くほど、社会復帰が難しくなる可能性はある。
「そうですよね……すみません」
「いいんですよ。お気になさらずに」
アテナはそう言って、優しく微笑んでくれた。
予想外に早く帰ることが決まったので、昨日の今日だが、またレオンとルシアンに挨拶に行くことにした。
「おお、君たちか!今日は何の用だい?」
ルシアンが笑顔で出迎えてくれる。
「実は……明日の朝、ここを発とうと思います」
俺は緊張しながらも言った。
「そうなのか……それは寂しくなるね」
ルシアンは悲しそうな表情になった。レオンも俯いている。
「そうだ、じゃあ最後にみんなでご飯を作って食べようよ!」
ルシアンは明るい声で提案してくれた。
「わあ!それは楽しそうですね」
陽平は喜んで返事をする。
「料理は得意だから任せてください!」
「僕だって負けないぞ」
2人は火花を散らし始めた。
「ふふっ……楽しみだなぁ」
俺は思わず笑ってしまう。
それから、4人で協力して豪華な夕食を作った。肉や野菜をふんだんに使ったスープに、パン、サラダなど。どれもとても美味しかった。
ちらほらとピンクのニンジンが使われているのが気になったが、そこは黙っていた……。
食事の片付けをしながら、俺はルシアンに話しかける。
「ルシアンさん、色々とありがとうございました」
「こちらこそだよ」
ルシアンは穏やかな笑みを浮かべた。
「僕、ルシアンさんの作る魔法薬が好きです!」
陽平が目を輝かせながら言う。
「おっ、嬉しいこといってくれるねぇ」
ルシアンは照れたように頭を掻いていた。
陽平がどういう意図で言ったかは置いておいて、ルシアンが作った魔法薬には何度も助けられた。
媚薬効果で大変なことにもなったけれど……。
「魔法薬のおかげで助かりました」
俺もお礼を言う。
「こちらこそ、君たちのおかげで楽しい日々を過ごすことができたよ」
「そんな!俺たちの方こそ……」
俺は泣きそうになったが必死に耐えた。
「ルシアンさんたちと過ごした時間は一生忘れません」
陽平も真剣な表情で言う。
「ありがとう。僕も2人のことは絶対に忘れないよ」
ルシアンは俺と陽平の手を握った。もう我慢できず、俺の目からは涙が溢れ出していた。
その日の夜は、なかなか寝付けなかった。ベッドに横になって目を瞑るが、色々と考えてしまう。
「ここでの生活も今日が最後かぁ……なんかしんみりするね」
陽平はそう言いながら、俺の頭を撫でている。
「うん……でも、やっぱり元の世界に戻れるのは嬉しいな」
俺は素直に言った。すると、ぎゅっと抱きしめられた。
「僕もだよ。でも、僕はこっちに来て良かったって思ってるよ。太一と結婚できたし、太陽にも出会えたから……」
「陽平……」
俺は思わず涙ぐむ。
「泣かないでよ。僕まで泣きそうになるじゃん」
陽平が困ったように笑った。
帰れるのは嬉しいけれど、やっぱりここでの生活が終わってしまうと思うと寂しい。
「ねえ太一。最後にさ……シよ?」
陽平は甘い声で囁く。
「うん……」
そして、その夜も満足するまで愛し合ったのだった。
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