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「おはよ~店長ちゃ~ん!」


 迎えに来たよ~!と、元気よく挨拶をして来る彼、一戸京夏君。当然彼の横には彼氏である落合君の姿がある。此方を見ると「お早う御座います」と礼儀正しく挨拶をして来る。

 そうです、俺の釣り仲間…年齢差はかなりあるけど友達です。釣り友達です、有り難い。

 釣りと言えば実家にいる時は学生でも程々の金額を掛けた釣り竿にルアーか生き餌。それとクーラーボックスかバケツ。後は蚊除けスプレー。これ結構必須。川釣りの場合はヒル対策なんてものも必要。他にもあるけど、本格的に釣りをする場合を除けばラフな格好で良い。

 とは言え現在俺等三名は手ブラですけどね。
 ついでに言うと、本日週一度の定休日。そんなお店の裏側、住宅側の玄関つまり俺の家の玄関前が集合地点。直前迄仕事用のパソコン画面を見て、色々と発注とか注文をこなしていたので有り難い。


「あれ~店長ちゃんの彼氏は?」

「そんなの居ないぞ」


 意識はしているけどな!
 でもまだそんな関係では無いのです。残念。

 …ん?


「今はまだ、だな」


 落合君、クスって笑いながら京夏君の肩を抱き寄せる。
 …もしかして牽制?いやいや、君達ラブラブなカップルさんの仲を引き裂くような真似はどう考えても出来ないから必要ないよ。勿論イチャイチャしたいだけなら放置するけど。
 ツッコミする気力は無いので無理だしな。
 Ωがαに突っ掛かるのはそもそも無理なので。

 …京夏君ならやれそうだけど、落合くんが怖いのでご遠慮申し上げる所存です。
 ナンカ、ニホンゴオカシイ。


「皆さんお早う御座います」

「お早う御座います嵯峨さん。本日は京夏共々宜しくお願い致します」


 んん?落合君の態度が俺とは違って居るのは気の所為では無いな?


「それはそうでしょう」


 と、ニヤリと笑う落合君。


「えー差別反対ー」


 京夏君の援護射撃!


「そうだ京夏君、もっと言ってやって!」


 うんうん、京夏君の彼氏とは言え言ってやって、言ってやって!大事だから二度言うよ!
 年上は敬うべきだよ!頼りないとか言わないでやって!俺のなけなしのプライドがズタズタだよ!


「そうだね~店長ちゃん弄るなら先に俺を構って~!」

「そっちかい!」


 そっちだよ!と、ぎゃははと大笑いする京夏君。それを何処かうっとりとした表情で見詰める落合君。うん、何時も通りのバカップルだ。相変わらずで仲が良いな!

 ただ一言言うならば、落合君と京夏君のバカップルの背後、はーいーごー。
 視線を感じるのですがー!


「ストーカーが居るねぇ」

「だな」


 50メートル位?の後ろから、微かに見える見覚えがある頭。


「うんざりするのですが」

「小林さんは俺が守ります」


 おお、「マジ店長ちゃんの彼氏やる~!」とか聞こえて来ますが、まだ彼氏ではありませんよ。

 …ん?
 さっきから俺、変だな。

「この際だから彼氏にさせて下さい」と嵯峨さんに軽い口調で言われたけど。

「もー!軽く言うから店長ちゃん首を縦に出来ないじゃん~!」って京夏君。

 それ、もっと言ってやって。
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