商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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 タクシーに乗って移動中、田舎の幼馴染からメールが一通。


『すっげーヒムカさんからウザい程メールが大量に来るのだけど、どうした?』


 と。

 …何ですかそれは。
 と言うか、何時の間にメールアドレス交換した?聞いていないぞ、我が幼馴染よ。


『移動したとか、α男性が三人も!とか、三人も彼氏がいるのか!?とかな。嫉妬だが何だか意味がわからないけど、眞宮は現在ヒムカさんから逃走中?』


 なんじゃそりゃ。
 αが一人しか居なかった田舎なら兎も角、都会だと普通にαやΩが居るって言うのにさ。大体俺の店に朝食食いに来る人って、βよりもαの比率が多いのだし。
 もしかして下町の商店街周辺ってαが多い?


『こっちが聞きたいわ~(笑)』


 これ、画面の向こうで笑っているな?


『ヒムカさんが俺のアドレス知っているのは、かっちゃが勝手に教えちゃってさ。ほんずねぇ』


 この場合のかっちゃは母親のことで、ほんずねぇはどうしようもないという意味。と言うかいきなり方言ぶっ込んで来るな、久しぶり過ぎて一瞬わからなかったじゃないか。


『わはは、焦っちゃってさ。そう言えば眞宮は地元から離れて結構立つから標準語のが良いか』


 まーな。
 Ωだとわかってからバース性の高校に入った方が何かと学費が掛からないと言うのと、運命の番相手に振り向きもされなかったから嫌気が差して都会へと移り住んだって言うのに。
 何故また此方を振り向きもしなかった相手に、今更ストーキングされなければならないのか。

 イラッと来る。
 ヒムカさんからメール来るのが迷惑なら拒否設定でもしておけ。


『拒否設定したのが俺のかーちゃんにバレたら怒られそう』


 本日二度目のなんじゃそりゃ。


『いや~家のかーちゃん、ヒムカさんに同情的っつーか、ファンつーか…。田舎で唯一のα男性だったし、顔が良かったから女性陣のファンが多くてさ。おまけにヒムカさんの離婚した元嫁が我儘女だったから、皆同情的に接していてさ』


 確かに俺が中学の時、田舎ではヒムカさん…俺は名前を知らなかったけれど、地元では誰もが知っている有名人だった。

 そう言えばヒムカさんの元嫁さん、ヒムカさんと付き合ってから知ったけど名前とか全然知らない。田舎で唯一の女性Ωだって言うのに、噂でも聞いたことも無かった。

 単に俺がお子様だったのでその手の話を聞かなかっただけかも知れん。


「小林さん?」


 タクシーの狭い車内で何故か後部座席の真ん中に居る、俺。
 その右横に居る嵯峨さんが此方を覗き込んで来る。

 と言うか近い。
 近い近い、大事なことだから何度も言うが、嵯峨さんの顔が近い。

 俺の左側には京夏君。
 鞄を抱え、くかくかと寝息を立て、口を半開きにして眠っている。
 α男性に挟まれて居心地がちょっと悪いと言うか、何と言うか。兎に角言いたいことはせーまーいーという事。
 京夏君は細身だからまだ良いが、嵯峨さん結構体格が良いな。そして俺…くっそ、これがαとΩの違いと言うのか。体格が違い過ぎるだろうが。だからこそ後部座席の真ん中に入れられたのだろうけど、ちょっと僻むぞ。
 …神様は不公平だ。

 そうして助手席側には落合君が座っている。
 時折スマホを出して何かを見ているようだ。んー…って、某ネット通販のホームページだった。後ろから丸見えなのだけど、気にしていないのかな。

 見ているページがアレなのです。
 俺から見えるから困るのです。

 夜の事情のゴムの写真、もしかして俺に見えるようにワザとやっていらっしゃる?と言うか今いる場所はタクシーの中なのだから、お隣の運転手にも見えるから。
 あらぬ疑いを掛けられそうですよ、落合君。
 まぁそう思われても良いなら別に良いですが。俺、面倒なので指摘しません。


「ああ、御免。田舎の幼馴染からメール」

「もしかしてハムとか格安で送って貰っているって言っていた幼馴染ですか?」

「そうそう美味いよな、ハム。あと時折家庭菜園とかも送って貰っている」


 ぶっちゃけると実家よりもメールやら物やらのやり取りが多い。
 ガキの頃からの付き合いが長いし、何よりお互い気を使わなくて気楽。実家だと、バース性の高校へ入学してから帰ったのって数える程しか無い。
 冠婚葬祭ぐらいしかまともに帰省していない。
 実家に帰省して、うっかり幸せそうな『運命の番』を見たくなかったと言う理由もあったからだ。それが何の因縁か、時間が経過した現在ヒムカさんが離婚をして俺に付き纏っている。

 運命の番。ほんと、コレって何なのだろうな。
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