商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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「この手の釣り堀の魚は、魚影が見えたらひょいっとそっちの方向に釣り竿を動かし、引っ掛ければいいのですよ」

 ――はい。
 釣り堀初心者な俺は知りませんでした。
 道理で嵯峨さんや常連客らしき人達は時折釣り竿を動かして居るなぁと…。周囲をよく見れば良かったなぁ。そうして落合君は嵯峨さんのやり方を見て学んだと。
 成程納得。

「此処の店主は餌を定時にあげているみたいですね」

 此処の釣り堀には左右二箇所、同じ大きさの堀があり、更に奥地には釣りが出来ないように柵で囲われている小さめの堀がある。小さめの堀には釣り堀用の稚魚が育てられて居る。
 更には夏場用なのか何なのかはわからないが金魚が居る堀があり、此方も釣りが出来ないように柵があるが、此方は透明のプラスチックの蓋が掛けられており、上から金魚達が見られる様になっている。
 なお京夏君は全く釣れない為に飽きたらしく、金魚を眺めに行って居る。

 そうして此方の店主さんは金魚側に作られている屋根がある部屋でテレビを見ながらお茶を啜っている。其処では簡単な売店もあり、アイスとジュース、昔懐かしい冷たいラムネ等が売っている。

 お、京夏君がラムネを購入しているな。
 赤いラムネ…何味何だろう。イチゴとかか?


「見てみて~スイカ味のラムネだって~!」


 ニコニコしながら四本のラムネを持って来てくれた。


「はい、店長ちゃん奢り~」

「有り難う」


 スイカ味か、どんな味なのだろう。


「昔北海道で見た真っ赤なジュースを思い出すな…確かハスカップジュースだったか」


 確か吸血鬼云々って言う名前だったような気がするが、小学校だか中学だかの修学旅行で出掛けた先に店頭に置いてあったのを見つけて、面白いなって思って購入した。
 家族用のお土産で買って帰ったら、母さんが喜んでバニラアイスに掛けて食べていたな。

 どうでも京夏君、嵯峨さんだけ「130円ね~」ってちゃっかり代金請求している。

「だって~店長ちゃん達と俺達のダブルデートだからね~。それなら嵯峨さんと落合先輩からは代金貰わないと」

 成程。と言うかちゃっかり落合君から代金貰っていたのか。
 と言うか、何時の間にダブルデートになっていた?聞いていないぞ。
 ま、まぁ良いけどね。

 …ちょっと照れるけど。


「ふふん~俺はちゃっかりしているのです」


 にへへと笑う京夏君。
 それをうっとりとした表情で見詰める落合君。
 ……プラス、背後から黄色い声とぎゃああと言う悲鳴、いいや絶叫だな。

 女性陣まだ此方を伺っていたのね、他の客の迷惑になるしそろそろ移動しようかな。





 ※





「へ~あの手の釣り堀って例えが変な感じだけど、ユーフォーキャッチャーみたいなんだねぇ」


 等と例える京夏君。
 そんな京夏君は現在、大好きと普段から言っている落合君と共に目の前で仲良く手を繋いで…うん、ほのぼの。
 実に仲睦まじく微笑ましい。

 あの後、あまりにも外野…釣り堀を外側から覗いている女性陣の声が喧しいのと、二時間の指定時間が過ぎそうだった為に釣り堀から外に出て、徒歩で移動。
 その際徒歩で出るために女性陣が追っかけて来ないかとヒヤヒヤしていたが、何とあの女性陣は俺達が出たらそそくさと幼稚園側へと移動していった。
 何でも元々は幼稚園にお忍びで来ていたとある有名人を見に来ていた(と、女性陣の一人が喋っていた)らしい。それが嵯峨さんや落合君達イケメン達三名が居たため、此方を見に来ていた、と。

 はいはい、俺はイケメン枠では無いので入っておりません。
 良いけどね。

 ちょっと悔しいけど、昔から女性にはもてないので仕方がない。
 Ωだってわかるのかね?女性の感は鋭いからな。


「ん?店長ちゃんそれは違うよ」

「え?」

「店長さんは可愛いタイプだからな」

「は?」

「ええ、小林さんはそんじょそこらの女性よりも愛らしいですから」

「ひゅ」


 最後、最後ー!嵯峨さーん!
 動揺する台詞の後、俺の手ちゃっかり繋いでいるのですけど~!


「駄目ですか?」

「いえ、滅相もない」


 俺、緊張しすぎて何故この台詞出たし!
「やったね~嵯峨さーん!そのまま口説いちゃえ!」って京夏君、もっと言ってやって!

 …ん?
 俺、嵯峨さんに口説かれたい?

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