商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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「ちょっと昼食にするには早いな」


 等という落合君の台詞。
 そんな訳で、京夏君が先程言っていたユーフォーキャッチャーを偶々街角で見掛けたのでゲーセンへ来てみました。


「最近はゲーセンも減って来たよねぇ」

「セガがゲームセンター事業から完全撤退したってニュースがあったね」

「は~…俺、田舎からこっちに来て初めてゲーセン入って、筐体の多さに感動したのに」


 家の傍の駄菓子屋にあったゲームの筐体、一昔前どころか海外へ行けばプレミア付く?と言うぐらい昔の格闘ゲーム数台と、謎のフルーツ味のガムが出るパチンコの筐体。それとかなり年季が入ったプリクラ位だったかな。
 中心街に行けばユーフォーキャッチャーとかコインゲームとかがあったけど俺の家は郊外だったし、中学のお小遣い位では通える程の金額では無かったから、数える程しか行ったことは無い。

 高校入学で此方に来て初めて都会のゲーセンを見て、音の五月蝿さや光の洪水に目を白黒させて驚いた程だ。


「店長ちゃん、それ何年前~」

「うるへー」


 京夏君の首を捕まえてうりうりと小突くと、問答無用で落合君が割り込んでペイっと離される。


「落合先輩の過保護発動~」


 それ、嬉しそうに言う台詞かーい。
 うはははと声に出して笑っている京夏君。そう言えば京夏君の笑い声って独特。結構大声出してくるけど不快では無い。性格も掴みどころのない猫みたいなところもあるけど、柔和な印象もある。
 だけどαの為か怒ると厄介なところもある。
 とは言え滅多に怒らないけどね。

 …と言っても、普段は楽しそうにしている姿ばかり見ているし、さもなくば落合君の事で嫉妬してちょっとだけ拗ねている姿位だな。

 うんうん、京夏君はほんと、落合君のことが好きだね。
 何だか和むよ。


「っていうかね、何故嵯峨さんに引き寄せられて居るのですかね、俺」


「嵯峨さんも過保護発動~」なんて呑気な声が京夏君から聞こえて来るのだけど、きみきみ、何時の間に女子高生の間に居るの。「アレで付き合って居ないって、信じられる~?」なんてキャアキャア言っている女子高生達の間に居て、違和感無く溶け込んでいる。

 なんて言うコミュ力。俺には無理だ…。

 そうして何故か急に「この人、俺の彼氏~」って気軽に女子ーズ達に紹介しているよ。落合君も思わず苦笑している。
 ノリが軽いね、京夏君。


「じゃ、ちょっと店内回って来る~」


 そう言って、さっさと御一行を引き連れて奥へと行ってしまった。


「って、落合君と女子高生達引き連れて行っちゃったよ」


 奥の方から「カップ麺の自販機がある~!」って嬉しそうな声が聞こえて来たよ。更には「クレープの自販機とかアイスの自販機も!すげ~!」なんて声も。
 これは何か買食いする気満々だろうな。


「何だか凄いですね」


 俺としては嵯峨さんの方が凄いと思います。
 何故って?
 今のどさくさで気が付いたら俺達の繋いだ手が恋人繋ぎ。
 何時の間に…さっきまでは普通に手を繋いで居ただけなのだけど。そ、それでも俺にしたらまぁ、えーと、き、緊張しちゃうのだけど。


「二人っきりになりましたね」


 ひぃ。
 台詞、台詞~!
 にこってコッチ見て笑わないで欲しい。

 うぐ。

 今の俺、鏡を見ていなくてもわかる。
 顔が真っ赤だと思うぐらいに熱い…。
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