商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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53 味噌汁は豚汁で、おにぎり弁当四人前

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「おう、店長。何時もの朝飯頼むわ」

「あ、はい」


 クラウディオさんが此方を見てから注文し、「味噌汁は豚汁で」と+100円追加の方の注文。末明さんも「俺も~」と注文が入り、不破さんは何時もので、と。
 其処でふと、カウンター席に居る常連さん達から一気に注文。
「何だ、まだ注文してなかったのか」と不破さんが呆れた声を掛ければ、「嵯峨と戯れていたわ!」と爆笑する人達。


「さっさと食わないと仕事に遅刻するのでは無かったか?」

「やっべ、そうだった!」

「げげ!始業時間まで後40分!」


 不破さん達に許可を取り、入店時間が先の人達を優先して頼まれた朝ご飯を出す。とは言え数分の差でしか無いのだけど。何せほぼ作り置きです。店員が俺一人しか居ないから、その場で作ると時間が掛かるので。
 これでも独身のおじさん達には好評なのです。
 何せ普段から何度も「朝から温かいご飯と味噌汁が出て来るなんて幸せなのだからな!」と言われるから。

 …嵯峨さんも俺のご飯を食べて、少しは幸せになっているかな?
 少なくても以前みたいに栄養失調で倒れるなんてことはもう無いと思いたい。


「そう言えば小林さん、『おにぎり弁当』の注文って今やっている?」


 おっと、不破さんの奥方である末明さんが此方を伺って聞いて来る。
 相変わらず小綺麗な顔をしているなぁ、瞳なんてキラキラとしているし。うん、これは今が幸せだからかな?


「2日ぐらい前に予約してくれれば大丈夫ですよ」

「おお~それじゃあ今度のお店の休みの日に頼むね。子供達を連れてちょっと日帰り旅行をしようと思っているのだけど、小林さんの作ったお弁当を持って行きたくてさ」


 不破さんと末明さんの双子ちゃん、まだ一歳未満だから手が掛かるって言うしね。自分でお弁当を作って持って行くより、少しでも気楽にして行きたいのだろう。
 それじゃあ腕によりをかけて作らなくちゃ。


「お弁当は二人前かな?」

「いや、四人前程。どうやら運転手が付いて来る様だからね」


 チラリとご飯を掻っ込んでいるクラウディオさんを呆れた眼差しで見詰める末明さん、それを見て苦笑している不破さん。


「あーいや、俺は行けねーぞ」

「おや、珍しい」


 来ないの?とは言わない末明さん。相変わらずだなぁ、このコンビ。
 不破さんと結婚してから末明さんってこのクラウディオさんに対する牽制が凄い。他の人には全く無頓着なのだけど。あれかな、独占欲かな。その癖不破さんは滅多なことでは末明さん関係の牽制とかして居ない気がする。
 うーんこれは俺がΩだから偶々見ていないのかな?


「一度故郷に帰らないとならないのさ」

「パスポートの期限切れか」


「それだと最低でも三ヶ月位会えないな」等と言う呑気な声が聞こえて来る。当分の間会えないのか~等と思っていたら、


「仕事だ」

「マジか」

「おう。社員を連れていくが、何名か連絡用に残しておく。そうだ不破、悪いが仕事で使うから、後で資料くれ」

「料金次第な」

「senz'altro(わかった)。旅行楽しんでこい」

「ああ。末明、車の運転は俺がするから、子供達の面倒を見て貰うためにシッター連れて行こうか」

「うん、そうだね」


 少し末明さんが不満そうだけど、何だかんだ言って一緒に行くつもりだったのかな?


「んでー小林さん、何があった?」


 おっと、此方にお鉢が回って来た。
 末明さんがワクワクした顔で聞きに来るので意地悪するのも良くないなとは思うのだけど、先程の己の馬鹿発言を披露するのは恥ずかしい。
 それならばポロッと言うなよとは今なら思うが、先程はその、な?嵯峨さんに会いたかった昨夜の気持ちとかが諸々テンションが上がっていて、余裕が無かった。

 何せこれから嵯峨さんにどう告白しようとか、色々考えてしまっていたからその、つい、な?


「秘密です」


 己の唇に右手の人差し指を一本立て、「内緒」と呟く。

 んん?今カウンター席で『ダン!』って言う大きな音が鳴ったけど!?
 常連のオジサマα達が「ぐぉぉぉ」なんて言ってカウンター席に突っ伏しているけど、嵯峨さんなんて「うう、小林さんその顔!」なんて言って居るけど、俺そんなに変な顔をしていた!?
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