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52 晩餐会の息抜き

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「はぁ・・・」

思わずため息が出てしまう。グリーン公爵と話してから他に招待されていた貴族とも話したがどいつもこいつも権力だの地位だのばかりを求めているようであまりにも話が合わない。貴族としてはある意味正しいのかもしれないが、俺個人の感想だと合わないの一言につきる。

こうして隙を見て外に出なければもたないだろう。

「・・・いたっ」

がさっという音と共にそんな声が聞こえてきた。
俺は周りに他の貴族がいないことを確認してからそちらに声をかけた。

「そんなところに隠れてないで出てきたらどうだい?」

その言葉にしばらく黙っていた影はやがて観念したのかおずおずと出てきた。青い髪の男の子、ローリエと同い年くらいだろうか?ただ、おそらくその子は俺が知ってる子で間違いないだろう。しかし俺はそれを言わずにその子に聞いた。

「こんなところで何をしていたの?」
「・・・父上に会いにきた」
「そっか。お父上に何か用事でもあったの?」
「別に・・・」

そう言ってから顔を背ける少年。何もないのに子供がこんな時間にいるわけないだろうと、思いつつそれを口にせずに言った。

「お父上はどんな人なの?」
「・・・最低。最悪。いつも偉そうにして、横暴で、母上が死んでから別の人と暮らしててこっちには帰ってこない。本当にどうしようもないクズ」

あまりにもあんまりな言葉に思わず苦笑しながら言った。

「なら、君はお父上に文句を言いに来たのかな?」
「・・・わからない。父上は嫌い。母上をないがしろにした父上を俺は許せない。でも、俺には何の力もないから・・・」
「なら、力があったらどうする?」
「それは・・・無理だよ」
「どうして無理だと決めつけるの?」
「父上はこの国の宰相だもん。そんな人に子供の俺が勝てるわけない」

ふむ、やはりこの年にしてはどころかかなり頭がきれるようだ。少々毒舌だけど冷静で物事をしっかりと見据えている。この子なら大丈夫かな? 

「なら、君がもしお父上の代わりに宰相になれるなら・・・どうする?」

その言葉に少年は驚いたような表情でこちらを見て聞いた。

「・・・あなたは誰なの?」
「カリス・フォール。フォール公爵家の長で、愛するものを持つ一人の父親だよ」

そう言うと少年はしばらく黙ってから・・・何かを決意した様子で言った。

「・・・教えて。どうすれば父上を見返せるの?」

それが、その少年・・・グリーン公爵家の長男にして、攻略対象のマクベス・グリーン公爵令息との出会いだった。




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