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53 姫様と攻略対象の婚約
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「お初にお目に掛かります。グリーン公爵家のマクベス・グリーンです」
「ごきげんようマクベスさん。第二王女のセレナです」
目の前で自己紹介する転生者の姫様と攻略対象。そしてその場に何故かいる俺。二人が向かい合わせて座る中それを取り持つように真ん中に座るオッサン。あまりにもシュールだがそこに関しては何も言わずに俺は姫様に視線を向けて言った。
「それで?セレナ様は何を考えてこの場を設けたわけですか?」
「あら?わかっているくせにそういうことを言うのは紳士の言葉ではありませんね」
「基本的に家族以外には最低限しか気をつかえないので」
「ふふ、そういうところは本当に私好みです。さて、マクベスさん」
そう微笑んでからセレナ様は言った。
「単刀直入に言います。私と婚約しませんか?」
「・・・は?」
「私と婚約しませんか?」
「いや、聞こえてはいました。でも何故?」
「簡単なことです。あなたのお父上を宰相という立場と公爵という立場から引きずりおろした後にあなたがその両方を背負うためです」
あっさりと言うが、子供にはあまりにも重すぎる荷物。流石にキツイだろうそれにマクベスはため息をついて言った。
「あなたと婚約すれば王族の後ろだてを堂々と使えると?」
「理解が早くて助かります。やっぱり私の婚約者にはあなたが適任です」
「・・・それはあなたにはどんなメリットがあるんですか?」
「メリット?ああ、簡単ですよ。私あなたのこと好きなんですよ」
「・・・・はい?」
「あなたのこと好きなんですよ」
ポカンとするマクベス。まあ、いきなりそう言われても訳がわからないよね。しばらくフリーズしてからマクベスは言った。
「あの・・・俺たち今日会ったばかりですよね?」
「あら?それはあなただけですよ」
「?」
マクベスにはわからないだろう。いきなり好きと言われて会ったことがあると言われれば。なお、俺はその言葉に心当たりがあったりする。
「そこで前世の記憶を持ち出すとは・・・」
ポツリと呟いた言葉に混乱するマクベスは聞こえなかったみたいだが、セレナ様はウィンクして答えた。
「あなたも同じでしょ?」
「否定はしませんが・・・」
前世の乙女ゲーム。セレナ様はそこでの知識でおそらくマクベスのことが好きだったのだろう。いやまあ、わからなくはないがその愛をマクベスが理解することは難しいだろう。
「フォール公爵に立ち会っていただいたのはこの婚約を見届けてもらうためです。マクベスさんがいずれこの国の宰相とグリーン公爵家を継いだ時にフォール公爵は素晴らしき協力者になるでしょうから」
「まあ、娘の友人であるセレナ様とマクベスくんのために協力できることはするつもりです」
というか、攻略対象の一人を姫様がゲットしてくれるならローリエ絡みのいざこざが少し減るのでありがたいからだ。そんな俺の言葉にしばらくしてからマクベスは答えた。
「セレナ様は・・・浮気はしないか?」
「もちろんです」
「俺を・・・愛してくれるのか?」
「はい。絶対に」
「俺の・・・側にずっといてくれるか?母上みたいに死んだりしないか?」
「あなたが死ぬまでお側にいますよ。だから大丈夫です」
捨てられた子犬のような目でみられてそれを優しく受け止める姫様。一件綺麗だけどこれもきっとあの姫様の計算通りだと考えると背筋が寒くなる思いだ。
そんな風に何故か他人の婚約を見届けることになったのだが・・・俺も早く終わらせてサーシャに甘えようと密かに思ったのだった。
「ごきげんようマクベスさん。第二王女のセレナです」
目の前で自己紹介する転生者の姫様と攻略対象。そしてその場に何故かいる俺。二人が向かい合わせて座る中それを取り持つように真ん中に座るオッサン。あまりにもシュールだがそこに関しては何も言わずに俺は姫様に視線を向けて言った。
「それで?セレナ様は何を考えてこの場を設けたわけですか?」
「あら?わかっているくせにそういうことを言うのは紳士の言葉ではありませんね」
「基本的に家族以外には最低限しか気をつかえないので」
「ふふ、そういうところは本当に私好みです。さて、マクベスさん」
そう微笑んでからセレナ様は言った。
「単刀直入に言います。私と婚約しませんか?」
「・・・は?」
「私と婚約しませんか?」
「いや、聞こえてはいました。でも何故?」
「簡単なことです。あなたのお父上を宰相という立場と公爵という立場から引きずりおろした後にあなたがその両方を背負うためです」
あっさりと言うが、子供にはあまりにも重すぎる荷物。流石にキツイだろうそれにマクベスはため息をついて言った。
「あなたと婚約すれば王族の後ろだてを堂々と使えると?」
「理解が早くて助かります。やっぱり私の婚約者にはあなたが適任です」
「・・・それはあなたにはどんなメリットがあるんですか?」
「メリット?ああ、簡単ですよ。私あなたのこと好きなんですよ」
「・・・・はい?」
「あなたのこと好きなんですよ」
ポカンとするマクベス。まあ、いきなりそう言われても訳がわからないよね。しばらくフリーズしてからマクベスは言った。
「あの・・・俺たち今日会ったばかりですよね?」
「あら?それはあなただけですよ」
「?」
マクベスにはわからないだろう。いきなり好きと言われて会ったことがあると言われれば。なお、俺はその言葉に心当たりがあったりする。
「そこで前世の記憶を持ち出すとは・・・」
ポツリと呟いた言葉に混乱するマクベスは聞こえなかったみたいだが、セレナ様はウィンクして答えた。
「あなたも同じでしょ?」
「否定はしませんが・・・」
前世の乙女ゲーム。セレナ様はそこでの知識でおそらくマクベスのことが好きだったのだろう。いやまあ、わからなくはないがその愛をマクベスが理解することは難しいだろう。
「フォール公爵に立ち会っていただいたのはこの婚約を見届けてもらうためです。マクベスさんがいずれこの国の宰相とグリーン公爵家を継いだ時にフォール公爵は素晴らしき協力者になるでしょうから」
「まあ、娘の友人であるセレナ様とマクベスくんのために協力できることはするつもりです」
というか、攻略対象の一人を姫様がゲットしてくれるならローリエ絡みのいざこざが少し減るのでありがたいからだ。そんな俺の言葉にしばらくしてからマクベスは答えた。
「セレナ様は・・・浮気はしないか?」
「もちろんです」
「俺を・・・愛してくれるのか?」
「はい。絶対に」
「俺の・・・側にずっといてくれるか?母上みたいに死んだりしないか?」
「あなたが死ぬまでお側にいますよ。だから大丈夫です」
捨てられた子犬のような目でみられてそれを優しく受け止める姫様。一件綺麗だけどこれもきっとあの姫様の計算通りだと考えると背筋が寒くなる思いだ。
そんな風に何故か他人の婚約を見届けることになったのだが・・・俺も早く終わらせてサーシャに甘えようと密かに思ったのだった。
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※小説家になろう・カクヨムにも掲載
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