悪役令嬢の父親に転生したので、妻と娘を溺愛します

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60 名付け戦争

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「はいはーい、お祖母ちゃんですよー♪」
「あーうー」

双子のうちの男の子を抱きながら母上が聞いたことないような声を出していた。孫とは祖父母を狂わせる存在というのは本当らしい。

「ふふ・・・元気に飲んでます」

一方こちらは双子の女の子におっぱいを与えているサーシャ。片方だけ胸を出しているので久しぶりの俺の理性的にはかなりくるものがあるが、なんとなく赤ん坊に乳をあげるサーシャの母性的な姿を見ていたい気持ちもあってかなり俺の心は混沌としていた。

「おとうさま、だいじょうぶ?」

そんな風に眺めていたらローリエが心配そうに俺を見ていた。いかんいかん。ローリエに心配させるなんてダメだ。俺は笑いながらローリエの頭を撫でて言った。

「すまないね、大丈夫だよ。ありがとうローリエ」
「うん!」

「えへへ・・・」と笑うローリエにほのぼのする。と、ふいになんとなく覚えのある嫉妬の視線を感じてそちらを見るとサーシャが少しだけ嫉妬のこもった眼差しでこちらを見ていた。俺はその視線を愛しく思いつつも近づいてからサーシャの耳元で囁いた。

「本当はね、サーシャを独り占めしてるその子に少しだけ嫉妬してたんだよ。私も後で甘えていいかな?」
「・・・!?は、はい・・・」

赤くなるサーシャ。3人の子供の母親とは思えないほどに可愛い反応に俺がサーシャを愛でそうになる前に母上が言った。

「そういえば、この子達の名前はどうするの?」
「一応考えてありますが・・・確か、父上と母上にも案があるとか。それをお聞きしてもいいですか?」
「ええ。旦那様は確か男の子なら『レジェンド』女の子なら『メリー』だそうよ。私は男の子は『ゴールド』女の子は『サマー』がいいと思うわ」

なんか男の子の名前の輝き具合が半端ないが・・・これが俗に言うキラキラネームなのだろうか?

「サーシャは何か意見ある?」
「わ、私ですか?えっと・・・旦那様にお任せいたします」
「ローリエは?」
「おとうさまにおまかせします!」

二人とも何故か俺に丸投げだった。信頼の証なら嬉しいが少しだけプレッシャーを感じつつ俺も意見を言う。

「男の子は『バジル』女の子は『ミント』でどうでしょう?」
「バジルとミント・・・綺麗な響きですね」
「さすがおとうさまです!」

二人からは好評だった。まあ、姉がローリエだから香辛料繋がりで可愛い響きのものを持ってきただけなのだが・・・。

「男の子の名前少し優雅さが足りない気がするけど・・・ミントって名前はいいわね」

母上は女の子の名前には賛成のようだ。となるとあとは・・・

「やっぱり『ゴールド』でどうかしら?」
「『バジル』でいかがでしょう?」

ここで母上とぶつかってしまう。無論可愛い嫁と娘、孫の前で醜い争いを見せるということは一切なく二人とも静かに火花を散らす。しばらくお互いに微笑みあってから、母上は諦めたのかため息をついて言った。

「『バジル』でいいわよ」
「ありがとうございます母上」
「いいわ。代わりにしばらくの間はこっちに滞在するわね。可愛い孫と嫁の様子を見たいし」
「ええ。もちろんです」

侍女がいるとはいえ、子供の面倒を見るのに人がいるのはありがたい。それに俺はこれからしばらくは徹夜で仕事を片付けることになりそうだから母上の存在はサーシャにとっても、ローリエにとっても、新しく産まれた家族の、ミントとバジルにとってもありがたいものだろう。

そんな風にして新しく産まれた俺たちの家族・・・双子の姉の名前がミント、そして双子の弟の名前がバジルに決まったのだった。


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