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81 嫁自慢と牽制
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「皆、よくぞ集まった。今宵は心置きなく楽しむと良い」
そんな国王陛下の言葉で夜会は始まる。皆思い思いに他の貴族と話す中で、陛下が最初に話しかけたのは俺とサーシャだった。まあ、爵位的にも今回の趣旨的にも正しいのだが。
「よくぞ来たな、フォール公爵と公爵夫人」
「ごきげんよう。フォール公爵、サーシャ」
「陛下、王妃様もご招待ありがとうございます」
「ふむ、貴公はなかなかこの手の事柄には関心が薄いので来ないかと思ったがよくぞ来た」
自分で招待しておいてよく言えるものだが、まあそんなことは言わずに俺は笑顔で言った。
「今宵は、私の愛妻を皆様に自慢しようと参りました」
「ふふ、確かに今日のサーシャ凄く素敵ね」
「あ、ありがとうございます・・・」
「それが例の鉱石なの?」
そう聞いてくる王妃様に俺は頷いて言った。
「視察の時にたまたま見つけまして。何分鉱石に手を付けたのがかなり最近になってからだったので、こういったこともおこるのでしょう」
その言葉に会場の一部の視線が光ったような気がする。その貴族達の顔を覚えつつ俺はサーシャを抱き寄せると王妃様に笑いながら言った。
「こうして愛妻が身につければそれだけで華やかさが高くなります。我が妻であるサーシャに似合うこの鉱石を私は本来なら『サーシャ』と名付けたいのですが・・・」
「そ、それは流石に恥ずかしいので・・・」
「このように照れてしまうので仕方なく諦めます」
「ふふ、相変わらず仲良しみたいで羨ましいわ」
「ええ、もちろん」
そう言ってから俺は回りに聞こえるくらいの声のトーンで言った。
「何やら私とサーシャが不仲だと勘違いしてい方もいるようですが、私とサーシャは今まさに絆を深めている途中。無粋な邪魔が入れば思わず斬ってしまうかもしれませんね」
「まあ、怖い。でしたらサーシャをお茶に誘うときは注意しないといけませんわね」
クスリと笑う王妃様。やっぱりこの人案外ノリがいいな。好感が持てる。もちろん人としてという意味だよ。女としては絶対に見れないのであしからず。というか、俺がサーシャ以外を女として見るというのがあり得ないよね。こんな可愛い嫁がいて他にいくというアホなことは絶対にないだろう。
「時に、フォール公爵。貴公には娘がいるそうだな?」
「ええ、可愛い娘がいます。それに新しく産まれた双子の姉弟がいますが、それが何か?」
「私の二番目の息子と同じくらいの年だと聞いたが、どうだ?機会があれば交流を図るのもいいのではないか?」
・・・やりやがったなチクショウ!こんな大勢の前でローリエとセリュー王子の外堀を埋めにかかるとはなんという最悪な展開。俺はなんとかひきつりそうになる笑みを整えて言った。
「お気持ちは嬉しいですが、私は本人の意思を尊重します。娘は少しばかり人を選ぶところがあります。そこが可愛いのですが、王子との交流が負担になるのは好ましくありません」
「だが、決して悪い話ではなかろう?」
「そういったことは他の貴族の方にでも頼んでみてください。私は何があろうと家族を守るので」
そう言うと陛下は笑ってから言った。
「良いぞ、最近の貴公は面白い。そうでなくてはな」
そう言ってからしばらく陛下と王妃様と話すが、時折ローリエとセリュー様をくっつけようとアピールしてくるうざったい存在にうんざりすることになるのだった。ちなみにサーシャは隣で王妃様と楽しそうに話していた。まあ、サーシャが楽しいならこの地獄も耐えられるが・・・うん、やっぱり俺、この陛下苦手だわと心から思うのだった。
そんな国王陛下の言葉で夜会は始まる。皆思い思いに他の貴族と話す中で、陛下が最初に話しかけたのは俺とサーシャだった。まあ、爵位的にも今回の趣旨的にも正しいのだが。
「よくぞ来たな、フォール公爵と公爵夫人」
「ごきげんよう。フォール公爵、サーシャ」
「陛下、王妃様もご招待ありがとうございます」
「ふむ、貴公はなかなかこの手の事柄には関心が薄いので来ないかと思ったがよくぞ来た」
自分で招待しておいてよく言えるものだが、まあそんなことは言わずに俺は笑顔で言った。
「今宵は、私の愛妻を皆様に自慢しようと参りました」
「ふふ、確かに今日のサーシャ凄く素敵ね」
「あ、ありがとうございます・・・」
「それが例の鉱石なの?」
そう聞いてくる王妃様に俺は頷いて言った。
「視察の時にたまたま見つけまして。何分鉱石に手を付けたのがかなり最近になってからだったので、こういったこともおこるのでしょう」
その言葉に会場の一部の視線が光ったような気がする。その貴族達の顔を覚えつつ俺はサーシャを抱き寄せると王妃様に笑いながら言った。
「こうして愛妻が身につければそれだけで華やかさが高くなります。我が妻であるサーシャに似合うこの鉱石を私は本来なら『サーシャ』と名付けたいのですが・・・」
「そ、それは流石に恥ずかしいので・・・」
「このように照れてしまうので仕方なく諦めます」
「ふふ、相変わらず仲良しみたいで羨ましいわ」
「ええ、もちろん」
そう言ってから俺は回りに聞こえるくらいの声のトーンで言った。
「何やら私とサーシャが不仲だと勘違いしてい方もいるようですが、私とサーシャは今まさに絆を深めている途中。無粋な邪魔が入れば思わず斬ってしまうかもしれませんね」
「まあ、怖い。でしたらサーシャをお茶に誘うときは注意しないといけませんわね」
クスリと笑う王妃様。やっぱりこの人案外ノリがいいな。好感が持てる。もちろん人としてという意味だよ。女としては絶対に見れないのであしからず。というか、俺がサーシャ以外を女として見るというのがあり得ないよね。こんな可愛い嫁がいて他にいくというアホなことは絶対にないだろう。
「時に、フォール公爵。貴公には娘がいるそうだな?」
「ええ、可愛い娘がいます。それに新しく産まれた双子の姉弟がいますが、それが何か?」
「私の二番目の息子と同じくらいの年だと聞いたが、どうだ?機会があれば交流を図るのもいいのではないか?」
・・・やりやがったなチクショウ!こんな大勢の前でローリエとセリュー王子の外堀を埋めにかかるとはなんという最悪な展開。俺はなんとかひきつりそうになる笑みを整えて言った。
「お気持ちは嬉しいですが、私は本人の意思を尊重します。娘は少しばかり人を選ぶところがあります。そこが可愛いのですが、王子との交流が負担になるのは好ましくありません」
「だが、決して悪い話ではなかろう?」
「そういったことは他の貴族の方にでも頼んでみてください。私は何があろうと家族を守るので」
そう言うと陛下は笑ってから言った。
「良いぞ、最近の貴公は面白い。そうでなくてはな」
そう言ってからしばらく陛下と王妃様と話すが、時折ローリエとセリュー様をくっつけようとアピールしてくるうざったい存在にうんざりすることになるのだった。ちなみにサーシャは隣で王妃様と楽しそうに話していた。まあ、サーシャが楽しいならこの地獄も耐えられるが・・・うん、やっぱり俺、この陛下苦手だわと心から思うのだった。
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