69 / 79
頼れる親友
しおりを挟む
「お・・・戻ってきてたんだ」
「ロインか・・・」
元ヒロインのジェシカのいた伯爵家から城の自室に戻ってきて書類を漁っていると、ロインが部屋に入ってきた。
イケメンな親友は俺の様子を見てから苦笑気味に言った。
「今の君の顔は間違ってもエミリーには見せられないね」
「・・・そんなにヤバイか?」
「率直に言ってかなり」
そう言われてから俺は近くの鏡で自分を見るが・・・ああ、確かにかなり険しい表情をしているな。
いかんいかん・・・シリアス展開が続いたせいで優しいアルト様の表情が保てなくなっているとは。俺もまだまだ未熟だな。
エミリーがいればそんな表情は絶対にしない自信があるのだが・・・うん、だってエミリー見れば無条件で笑顔になれるんだもの。やっぱりエミリーは最高だな!可愛いは正義、エミリー=正義、ジャスティスなのだ。
いや、エミリーのことを語るにはそんな言葉で足りないが・・・いかせん、俺の語彙力が足りなくてそういう表現しかできないのが悔やまれる。
やはり、もっと色々勉強して語彙を増やすべきかもしれないな。でも、それでエミリーとの時間を減らすのは嫌だし、どうしたものか・・・
「それで?情報は得られたの?」
「ん?ああ、一応な」
ロインに直接報告出来ることは限られるが、確かに情報は得られた。元ヒロインであるジェシカから聞いた続編ヒロインの情報と今後予想されるストーリー展開はある程度把握できたが・・・
「ロイン。頼んでいた件はどうだったか聞いてもいいか?」
「問題ないよ。アルトの予想通りの反応をしていたから、今夜にでも接触してくるだろうね」
「そうか・・・」
俺がロインに頼んでいたのはある人物への言伝てだ。今回の一件において、物語とは無関係だが、一国としては重要な人物への秘密裏な言伝て。
本当は俺が今すぐ直接話をつけにいきたいが、おそらく俺は現在、続編のヒロインに監視されている可能性が高いので、こちらから接触するのではなくあくまであちらからの接触を期待するしかないところだが・・・まあ、それでも俺の予想通り動いてくれるだろうと思う。
と、なると後の懸念は・・・
「アルト。一応聞きたいんだけど、あまり無茶なことは考えてないよね?」
「突然どうしたんだ?」
「どうにも君がまた無茶なことを企んでいるかもしれないと思ったからね。何かするなら今度こそ僕も付き合うつもりだからね」
そんなことを言われるとは思わず俺は若干驚いてから、勘が鋭い親友に苦笑気味に言った。
「無茶が前提なのか?第一、マリーナの側で大人しくしているつもりはないのか?」
「ここ最近のアルトはエミリーのためならどんなことでもしそうで怖いからね。山賊からエミリーを守るために執事と二人で戦場に向かったり、学園でもエミリーへ害をなそうとする存在を一人で片付けちゃうしね。それに・・・親友のために僕も出来ることがあればしたいからね」
「ロイン・・・」
確かに俺は一人で片付けることに拘っていたかもしれない。エミリーのために俺が出来ることがあれば全力で行うのが当たり前だったが・・・それが周りから見れば無茶にも見えるのかもしれない。
俺の最優先はエミリーだが、俺はエミリーの周りも幸せにしたいと思っている。
いや・・・まあ、単純に親友も大切なものってことなのかもしれないな。
「割りと頼ってるつもりなんだけどな・・・」
「なら、今度は僕も連れて行ってくれるよね?」
「マリーナの側にいるつもりがないなら好きにしていいさ」
「それは困るな。マリーナの側にはずっといたいからね。でも・・・親友に頼られたら仕方ないから行くしかないかな」
そんな軽口を叩きあってから俺とロインはくすりと笑った。本当、ロインという親友がいることはアルトさんにとって幸せなことだよな。
「ロインか・・・」
元ヒロインのジェシカのいた伯爵家から城の自室に戻ってきて書類を漁っていると、ロインが部屋に入ってきた。
イケメンな親友は俺の様子を見てから苦笑気味に言った。
「今の君の顔は間違ってもエミリーには見せられないね」
「・・・そんなにヤバイか?」
「率直に言ってかなり」
そう言われてから俺は近くの鏡で自分を見るが・・・ああ、確かにかなり険しい表情をしているな。
いかんいかん・・・シリアス展開が続いたせいで優しいアルト様の表情が保てなくなっているとは。俺もまだまだ未熟だな。
エミリーがいればそんな表情は絶対にしない自信があるのだが・・・うん、だってエミリー見れば無条件で笑顔になれるんだもの。やっぱりエミリーは最高だな!可愛いは正義、エミリー=正義、ジャスティスなのだ。
いや、エミリーのことを語るにはそんな言葉で足りないが・・・いかせん、俺の語彙力が足りなくてそういう表現しかできないのが悔やまれる。
やはり、もっと色々勉強して語彙を増やすべきかもしれないな。でも、それでエミリーとの時間を減らすのは嫌だし、どうしたものか・・・
「それで?情報は得られたの?」
「ん?ああ、一応な」
ロインに直接報告出来ることは限られるが、確かに情報は得られた。元ヒロインであるジェシカから聞いた続編ヒロインの情報と今後予想されるストーリー展開はある程度把握できたが・・・
「ロイン。頼んでいた件はどうだったか聞いてもいいか?」
「問題ないよ。アルトの予想通りの反応をしていたから、今夜にでも接触してくるだろうね」
「そうか・・・」
俺がロインに頼んでいたのはある人物への言伝てだ。今回の一件において、物語とは無関係だが、一国としては重要な人物への秘密裏な言伝て。
本当は俺が今すぐ直接話をつけにいきたいが、おそらく俺は現在、続編のヒロインに監視されている可能性が高いので、こちらから接触するのではなくあくまであちらからの接触を期待するしかないところだが・・・まあ、それでも俺の予想通り動いてくれるだろうと思う。
と、なると後の懸念は・・・
「アルト。一応聞きたいんだけど、あまり無茶なことは考えてないよね?」
「突然どうしたんだ?」
「どうにも君がまた無茶なことを企んでいるかもしれないと思ったからね。何かするなら今度こそ僕も付き合うつもりだからね」
そんなことを言われるとは思わず俺は若干驚いてから、勘が鋭い親友に苦笑気味に言った。
「無茶が前提なのか?第一、マリーナの側で大人しくしているつもりはないのか?」
「ここ最近のアルトはエミリーのためならどんなことでもしそうで怖いからね。山賊からエミリーを守るために執事と二人で戦場に向かったり、学園でもエミリーへ害をなそうとする存在を一人で片付けちゃうしね。それに・・・親友のために僕も出来ることがあればしたいからね」
「ロイン・・・」
確かに俺は一人で片付けることに拘っていたかもしれない。エミリーのために俺が出来ることがあれば全力で行うのが当たり前だったが・・・それが周りから見れば無茶にも見えるのかもしれない。
俺の最優先はエミリーだが、俺はエミリーの周りも幸せにしたいと思っている。
いや・・・まあ、単純に親友も大切なものってことなのかもしれないな。
「割りと頼ってるつもりなんだけどな・・・」
「なら、今度は僕も連れて行ってくれるよね?」
「マリーナの側にいるつもりがないなら好きにしていいさ」
「それは困るな。マリーナの側にはずっといたいからね。でも・・・親友に頼られたら仕方ないから行くしかないかな」
そんな軽口を叩きあってから俺とロインはくすりと笑った。本当、ロインという親友がいることはアルトさんにとって幸せなことだよな。
1
あなたにおすすめの小説
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない
As-me.com
恋愛
完結しました。
自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。
そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。
ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。
そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。
周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。
※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。
こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。
ゆっくり亀更新です。
モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】
いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。
陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々
だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い
何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~
プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。
※完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる