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空気読める男って格好いいな
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翌朝、俺は朝食を済ませると執事に花束を用意させてエミリーの部屋へと向かう。
本当は外での待ち合わせにしたかったが、これを渡すとなると部屋に直接の方が都合がいいからだ。
エミリーは女子寮の奥ほ方に部屋が用意されている。
少し距離はあるが、なにかと物騒な世の中なので他の人より少し遠目なのはありがたい。
部屋の前に着くと静かにノックする。
しばらくすると扉が開き、中からエミリーが姿を表す。
朝から可愛いエミリーはこの学校の制服を着ることでさらに増した魅力を出しながら俺に微笑んだ。
「おはようございます。アルト様。すみません。わざわざ迎えにきていただいて・・・」
「おはよう。エミリー。気にしなくていいよ。これは私の我が儘だからね。」
王子であることを気にしなくてもやはり迎えにきて貰ったのが少し申し訳なさそうなエミリーに俺は手にした花束を差し出した。
「まあ、綺麗・・・」
「私の気持ちだ。朝のうちに伝えたくてな。」
今回チョイスしたのは薔薇。花言葉は愛してい。手始めにこれを選んだのはベタたが、一番ストレートな表現ができるからだ。
俺が花束を渡すと嬉しそうに微笑んだエミリー。
少し気の強そうな彼女が微笑んだだけでなんでこんなに可愛いのかな?いや、いつも可愛いけどエミリーはやっぱり最高だな!
そんなことを思いながら見つめているとエミリーは少し照れたように言った。
「その・・・あまり見つめられると・・照れてしまいます・・・」
か わ い す ぎ る だ ろ !
なんなのこの可愛いエミリー。
朝から俺を悶えさせてこの子は誘ってるの?
王子とはいえ、健全な若い男子。もちろんエミリーにその気はなくとも俺は早くもエミリーの可愛いさに陥落していた。
なんとか気持ちを落ち着けてイケメンオーラを全開にして微笑んだ。
「すまない。あまりの可愛いさについね・・・」
「可愛いなんて・・・そんな・・・」
さらに照れるエミリーに俺は軽く手の甲にキスをすると微笑んで言った。
「最高に可愛いよ。私の御姫様。」
ぼふん。そんな擬音がきこえてくるくらいに真っ赤に染まったエミリーの顔。
俺はエミリーの近くにいた侍女に固まっているエミリーから花束を室内に持っていかせて、鞄を教室まで運ぶよう指示を出すとエミリーの手を引いて歩きだす。
途中で何人かの同級生に会うが、俺とエミリーの様子をみて、気を使って話し掛けてはこなかった。
みんなわかってるね。
しかし、俺とエミリーの甘い時間を邪魔するのが一人・・・
「よう!朝から何してるんだ?」
エミリーの手を握ったまま振り向くとそこには件のサンデーがいた。
サンデー・クリーチャー。俺の友人であり将来の部下。
クリーチャー家の次期当主候補ではっきりいってバカで空気の読めないお調子者。
周りも俺とエミリーの甘い時間を邪魔したサンデーに驚きと空気読めよ的な視線を向けているが気にしていないバカなサンデーは心底不思議そうに聞いてくる。
「二人が一緒に登校とか珍しいな。今まであんまりなかったのに。」
「おはよう。サンデー。まあ、仕事が溜まってからな。」
これは嘘ではなく、本当に仕事が溜まっていてあまりエミリーとの時間がとれなかったのだ。
まあ、それだけでなく、前のアルトはエミリーを避けていたんだろうけど・・・
「おはようございます。クリーチャー様。」
なんとか復活したエミリーも遅れて挨拶する。
まだ顔が赤いのは俺と繋いでる手を意識しているからかな?
「ところで、何の用だ?みての通り、俺とエミリーは朝から婚約者同士の甘い一時を過ごしているんだが?」
ストレートに言わないとわからなそうなサンデーに俺は強めな口調で言った。
隣でさらに赤くなったエミリーがいたがそれがまた愛おしくて早く二人になりたい。
「なんだよー。邪魔して悪かったけど、一緒に登校くらいいいだろ?」
話の通じないサンデーに俺はどうしてくれようかと考えているとそこに救世主が。
「二人の邪魔してないで早く行ったら?サンデー?」
現れたのは俺の親友であり右腕のロイン・マクダベル。
銀髪のイケメンな親友は俺たちに近づくと笑顔で挨拶をする。
「おはよう。二人とも。ごめんね。邪魔して。」
「おはよう。いや、助かるよ。流石だなロイン。」
「おはようございます。ロイン様」
顔は赤いものの挨拶をなんとかできたのは流石のエミリークオリティーだ。
そんないつもとは違う様子の俺たちにロインはますますまずいかな?という笑みを浮かべてサンデーの背中を押して立ち去ろうとする。
「ほら、行くよ。」
「ちょっ!押すなよ。ロイン!」
「あ、ロイン。あとで少しいいか?」
立ち去ろうとするロインに俺は声をかけておく。
「いいけど、ここでは無理かな?」
「ああ、結構大事なことだ。」
真剣にそう言うと頷いたロインは何も言わずにサンデーと離れていく。
残された俺とエミリーは顔が赤く、今だに処理落ち中なエミリーと楽しく登校した。
本当にエミリー可愛いなー
本当は外での待ち合わせにしたかったが、これを渡すとなると部屋に直接の方が都合がいいからだ。
エミリーは女子寮の奥ほ方に部屋が用意されている。
少し距離はあるが、なにかと物騒な世の中なので他の人より少し遠目なのはありがたい。
部屋の前に着くと静かにノックする。
しばらくすると扉が開き、中からエミリーが姿を表す。
朝から可愛いエミリーはこの学校の制服を着ることでさらに増した魅力を出しながら俺に微笑んだ。
「おはようございます。アルト様。すみません。わざわざ迎えにきていただいて・・・」
「おはよう。エミリー。気にしなくていいよ。これは私の我が儘だからね。」
王子であることを気にしなくてもやはり迎えにきて貰ったのが少し申し訳なさそうなエミリーに俺は手にした花束を差し出した。
「まあ、綺麗・・・」
「私の気持ちだ。朝のうちに伝えたくてな。」
今回チョイスしたのは薔薇。花言葉は愛してい。手始めにこれを選んだのはベタたが、一番ストレートな表現ができるからだ。
俺が花束を渡すと嬉しそうに微笑んだエミリー。
少し気の強そうな彼女が微笑んだだけでなんでこんなに可愛いのかな?いや、いつも可愛いけどエミリーはやっぱり最高だな!
そんなことを思いながら見つめているとエミリーは少し照れたように言った。
「その・・・あまり見つめられると・・照れてしまいます・・・」
か わ い す ぎ る だ ろ !
なんなのこの可愛いエミリー。
朝から俺を悶えさせてこの子は誘ってるの?
王子とはいえ、健全な若い男子。もちろんエミリーにその気はなくとも俺は早くもエミリーの可愛いさに陥落していた。
なんとか気持ちを落ち着けてイケメンオーラを全開にして微笑んだ。
「すまない。あまりの可愛いさについね・・・」
「可愛いなんて・・・そんな・・・」
さらに照れるエミリーに俺は軽く手の甲にキスをすると微笑んで言った。
「最高に可愛いよ。私の御姫様。」
ぼふん。そんな擬音がきこえてくるくらいに真っ赤に染まったエミリーの顔。
俺はエミリーの近くにいた侍女に固まっているエミリーから花束を室内に持っていかせて、鞄を教室まで運ぶよう指示を出すとエミリーの手を引いて歩きだす。
途中で何人かの同級生に会うが、俺とエミリーの様子をみて、気を使って話し掛けてはこなかった。
みんなわかってるね。
しかし、俺とエミリーの甘い時間を邪魔するのが一人・・・
「よう!朝から何してるんだ?」
エミリーの手を握ったまま振り向くとそこには件のサンデーがいた。
サンデー・クリーチャー。俺の友人であり将来の部下。
クリーチャー家の次期当主候補ではっきりいってバカで空気の読めないお調子者。
周りも俺とエミリーの甘い時間を邪魔したサンデーに驚きと空気読めよ的な視線を向けているが気にしていないバカなサンデーは心底不思議そうに聞いてくる。
「二人が一緒に登校とか珍しいな。今まであんまりなかったのに。」
「おはよう。サンデー。まあ、仕事が溜まってからな。」
これは嘘ではなく、本当に仕事が溜まっていてあまりエミリーとの時間がとれなかったのだ。
まあ、それだけでなく、前のアルトはエミリーを避けていたんだろうけど・・・
「おはようございます。クリーチャー様。」
なんとか復活したエミリーも遅れて挨拶する。
まだ顔が赤いのは俺と繋いでる手を意識しているからかな?
「ところで、何の用だ?みての通り、俺とエミリーは朝から婚約者同士の甘い一時を過ごしているんだが?」
ストレートに言わないとわからなそうなサンデーに俺は強めな口調で言った。
隣でさらに赤くなったエミリーがいたがそれがまた愛おしくて早く二人になりたい。
「なんだよー。邪魔して悪かったけど、一緒に登校くらいいいだろ?」
話の通じないサンデーに俺はどうしてくれようかと考えているとそこに救世主が。
「二人の邪魔してないで早く行ったら?サンデー?」
現れたのは俺の親友であり右腕のロイン・マクダベル。
銀髪のイケメンな親友は俺たちに近づくと笑顔で挨拶をする。
「おはよう。二人とも。ごめんね。邪魔して。」
「おはよう。いや、助かるよ。流石だなロイン。」
「おはようございます。ロイン様」
顔は赤いものの挨拶をなんとかできたのは流石のエミリークオリティーだ。
そんないつもとは違う様子の俺たちにロインはますますまずいかな?という笑みを浮かべてサンデーの背中を押して立ち去ろうとする。
「ほら、行くよ。」
「ちょっ!押すなよ。ロイン!」
「あ、ロイン。あとで少しいいか?」
立ち去ろうとするロインに俺は声をかけておく。
「いいけど、ここでは無理かな?」
「ああ、結構大事なことだ。」
真剣にそう言うと頷いたロインは何も言わずにサンデーと離れていく。
残された俺とエミリーは顔が赤く、今だに処理落ち中なエミリーと楽しく登校した。
本当にエミリー可愛いなー
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