悪役令嬢は溺愛される

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頭にきてやった。後悔はない。

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時間は過ぎて、今日は社交パーティー当日。
今日は、一日講義は休みで、昼から社交パーティーが始まる。
自由参加だが、みんなほとんどが参加するだろう。

あのヒロインのジェシカもだ。

俺は一人決意を固めるとエミリーの部屋まで足を運ぶ。

「エミリー?準備出来たかい?」

部屋にきて、ノックと軽く声かけすると、すぐに扉が開く。
現れたのはもちろん、俺の愛しのエミリー。

その姿に俺はまたしてもフリーズしてしまう。

エミリーはパーティーのために青を基調としたドレスに髪にも俺が昔あげた蝶がデザインされた髪止めを留めていた。
控えめに言ってめっちゃ天使。
なんなのこの可愛い生き物。

俺が見惚れているとエミリーは不安そうに挨拶をする。

「おはようございます。アルト様。その・・・似合ってないですか?」

不安そうな彼女に俺はなんとか緩んでだらしなくなりそうな表情を微笑みで押さえてそっとエミリーの髪に触れる。

「あっ・・・」
「おはよう。エミリー。似合ってるよ。可愛い。」

そう言うとエミリーはまたしても赤く染まった顔をしながら微笑んだ。
ここ最近、毎日照れた表情をみているけど、本当に可愛い。
そのうち、我慢できなくて襲いそうで怖いな・・・

「さあ、行こうか。」
「は、はい・・・」

照れてるエミリーをエスコートして会場へむかう。


会場へ着くと、ロインとマリーナをみかける。
やはり、予想通りマリーナは一人で来る予定だったようだ。
俺は、ロインにもし、一人でマリーナが会場へむかうようならなんとかパートナーになってくれと頼んでおいたのだ。
おそらく、サンデーは・・・

「よう!アルト!」

そう考えていると噂のサンデーが現れた。
そして、隣には・・・

「はじめまして、アルト様。わたくしはジェシカと申します。」

そう言って挨拶をしてきたのはヒロインのジェシカだ。
男受けしそうな愛くるしい笑顔に小柄な体格。まさしく魔女だな。

「こんにちは。はじめまして。アルト・フォン・クロードと申します。」
「はじめまして。エミリー・キャロラインと申します。」

一応礼儀として軽く挨拶はするがもちろん冷た目にだ。
エミリーも婚約者をおいて別の女といるサンデーに少し怒っているのか静かに挨拶をする。

「クリーチャー様。マリーナ様とは一緒ではないのですか?」

嫌味もこめてのエミリーの言葉。
しまったな。まさか先に言われてしまうとは・・・
それだけ、親友を放置して浮気中のサンデーが許せないのだろう。

「えっ!それは、その・・・マリーナは具合が悪いらしくてな、欠席だよ。」

エミリーの言葉に慌てたように取り繕うサンデー。
お前、その言い訳は流石に・・・

「先程、お見かけしましたよ?もしや、クリーチャー様は婚約者を放置して他のかたとお楽しみでしたか?婚約者がいるのに?」

一件厳しめに聞こえるがこれは仕方ない。
何故なら全面的にサンデーが悪いのだから。
しかし、サンデーはそれが許せないらしく。

「失礼なことを言うな!無礼だぞ!」

何がだよ?
思わずあきれてしまうほどにサンデーはアホなことを言いながらエミリーを攻めようとする。
まあ、もちろんそんなことはさせないがな。
俺はエミリーの手を握ると微笑んで俺の胸に誘った。

「あ、アルト様?」
「ごめんね。辛いこと言わせちゃって。」

耳元で囁くもエミリーは赤くなりながらも首を横にふる。
本当に可愛い。

俺はエミリーに微笑んだあとに、サンデーに冷たい眼を向けて言った。

「サンデー。お前には婚約者のマリーナがいるだろう?なのに他の女性をエスコートとか何を考えている?ましてや、マリーナを心配したエミリーに怒鳴るなんておかしくないか?」
「そ、それは・・・」
「待ってください!サンデーは悪くないです。私が・・・」
「少し黙って。」

ジェシカがサンデーを庇おうとするが、俺は更に冷たい視線を送って黙らせる。

「サンデー。ここ最近、マリーナを放置していたのは知っていたよ。そこの女と一緒にいたのも。でも、俺はあえて何も言わなかった。何故か分かるか?」

黙るサンデー。
俺は更に冷たく言った。

「お前ならいつかは気づくと信じたからだ。それなのに、この仕打ち・・・マリーナ。」

俺は少し遠くで様子をみていたマリーナを呼ぶ。

実はこれはある程度想定内な出来事だったので、俺は事前にマリーナに話していた。
そして、もし今日マリーナを裏切るようなら俺はマリーナと話して決めていたことを言ってもらう。
マリーナ自信はサンデーをそこまで好いてはいなかったので、話はわりと簡単だった。
マリーナはサンデーに向かって一礼すると言った。

「サンデー・クリーチャー様。私、マリーナ・ウッドレスは本日、あなたとの婚約を解消させていただきます。これは、決定事項です。あなたと私の両親には話をつけてあり、覆ることはありません。」

そう言うと周りはざわめき出し。サンデーは愕然としていた。
まあ、周りもサンデーのこれまでの行いを知っていたから向けられるのはサンデーへの呆れた視線だが・・・

「私は信じていたんですよ?なのにサンデー様は・・・だから、さよならです。」

そう言って去っていくマリーナ。
目配せで俺はロインにあとは頼んだと伝えると、ロインは頷いてマリーナの後に会場を出た。

「げ、元気を出してください!私はあなたと一緒にいます!」

ぽかんとしているサンデーにそう言う、ジェシカはそう言いつつも俺をちらちらとみていた。
ターゲットにされたのか?
そう思っていると、ジェシカはこちらに近づいてきて、頬を赤くして俺に言った。

「あの、アルト様。よろしければ、あなたのことをもっと知りたいのですが・・・」

婚約者が腕の中にいる男を口説くとかどんな精神構造してるの?
あきれてしまうが、少し心配になり、俺はエミリーをみる。
腕の中のエミリーはあんなことがあった後でも俺の腕のなかで顔を赤くして甘えたようにすりすりしていた。
ヤバイ。萌える。

「あの、アルト様?」

エミリーを堪能していると、ジェシカが更に声をかけてくる。
ふむ。うるさいな。

「ああ、すまないが、私は君に興味はなくてな。それに、今は婚約者であり、私の可愛いエミリーとの時を大事にしたい。そこなサンデーとともに立ち去ってくれないか?」

なるべくやんわりと言っているが表情はもはや別物だ。

「えっと、なら、せめてあとでお時間を・・・」

なおも食い下がるジェシカ。
うざいな。

「ハッキリ言って。迷惑だ。俺はエミリー以外の女性に興味はない。それに、さっきから黙ってれば、婚約者がいる男に対して配慮が足りないだろう?いいかげんにした方がいい。サンデーもだ。マリーナと婚約破棄した原因はお前なんだ。お前には一度、実家に帰って反省してもらう。これは決定だ。後で迎えがくるだろう。わかったら、二人とも今日は帰れ。」

そう言って俺はエミリーを連れて立ち去ろうとする。

「ま、待ってください!」

が、更にアホなことにジェシカが俺の腕に抱きついてきた。
ぎょっとする周り。
当然だ。俺は婚約者がいて、婚約者がいる男に無断で抱きつくなどあり得ない。
ましてや、俺は次期国王。もはや不敬である。
嫌そうな俺に構わず、続けるジェシカ。

「そんな人より、私の方がアルト様には会うと・・・」
「おい。今、なんて言った?」

俺はジェシカを睨み付ける。
当然だ。やつは俺の怒りにふれた。

「エミリーに対して、そんなだと?俺のエミリーに対してそんなことを言う資格が貴様にあるのか?さっきまでの不敬は見逃してやってもよかったが、私の婚約者であるエミリーを侮辱するのは許せない。」

はっきりと怒気をぶつけてやるとひるんで手を離すジェシカ。

俺は近くの兵にジェシカと放心状態のサンデーを連れていくように指示をし、周りをみて微笑んだ。

「騒がしくしてすまない。私達は立ち去るから、皆は思う存分楽しんでくれ。」

そう言って俺はエミリーを連れて出ていく。

ちなみにエミリーはさっきの俺の台詞のせいか更に顔を赤くしており、そんな彼女を俺は自分の部屋に連れていった。
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