悪役令嬢は溺愛される

yui

文字の大きさ
44 / 79

親子の対面(初対面?)

しおりを挟む
案の定、学園は今回の騒ぎでしばらく休みに入ると使いが来たので、俺とエミリー、ロインとマリーナの4人は早々に城に向かうことにした。

「アルト様」

準備を終えて馬車に乗ろうとするとジークフリードが唐突に話しかけてきた。

「どうかしたのか?」

「例の件ですが・・・アルト様の予想通り、訪問の予定がある姫君が一人いるそうです」

「そうか・・・」

ジークフリードに調べさせていたのはジェシカから警告のあった続編・・・アナザーストーリーのヒロイン候補になりそうな他国の姫の情報だ。

あいつの言葉を全面的に信用するわけではないが・・・用心にこしたことはない。

「名前と国はわかるか?」

「隣国であるアスター王国の第2王女・・・シル・アスター王女です」

「シル・アスター・・・婚約者はいるのか?」

「いいえ。一応、今回の訪問はアルト様の弟であるバス様との親睦が目的らしいですが・・・」

「タイミングが気になるな・・・バスとは前から交流があったのか?」

「いいえ。何回かこの国で見かけてはおられるでしょうが、特別親しくはないそうです。今回は王女様が是非ともと、言ってきているそうです。ただ、アルト様達とタイミングが被る可能性が高いですが・・・」

厄介だな・・・狙いが弟のバスであれば問題はないが・・・その王女が本当にヒロインで尚且つシナリオを知ってる記憶持ちならこちらが圧倒的に不利だ。

原作の『茨の園』の内容は俺でも知ってるから対応は出来たが・・・今回はストーリーどころかヒロインすら誰かわからない状況なのが辛い。

当面はその王女がヒロイン候補と見て警戒するべきか?

「それから・・・例の女子生徒は現在は宣言通り伯爵家に入ったそうです」

「そちらは本当だったか」

まあ、念のためだ。余計な動きをされると面倒なのでジェシカの行動も最後まで監視させていたが・・・あいつは宣言通り伯爵家に嫁として行ったようだ。

こちらは予想通りなので対して気になりはしないが・・・やはり面倒なのは続編関連か?

ストーリーだけでもヒロインに聞いておけば良かったんだろうが・・・

「アルト様?どうかされましたか?」

そんなことを考えていたら馬車に乗っているエミリーが心配そうに声をかけてきた。
いけないいけない・・・。
俺は表情をイケメンアルトにシフトさせると「なんでもないよ」と言って微笑んで馬車に乗った。

うん。面倒だけど、あちらから派手なアクションがなければスルーで行くか?
エミリーの安全が大丈夫ならとりあえずスルーで、もしもの時は潰せばいいかな?

そんなことを考えならがら馬車ではエミリーを愛でていた。






「こちらで陛下と王妃様がお待ちです」

アルトの記憶では久しぶり(俺の体感では初めて)の城で、侍女に案内された応接間に入ると中にはダンディーな金髪の男性・・・アルトの父親である国王のマルス・フォン・クロードとブロンドの薄い髪の若い女性・・・母親で王妃のエスト・フォン・クロードが待っていた。

あ、ちなみにロイン達はロインの父親とマリーナの父親が城に今、いるらしく、そちらに先に行っているので、俺とエミリーだけだ。

父親と母親は俺を見ると嬉しそうな表情を浮かべていたが・・・直後になぜかフリーズした。

どうかしたのかな?

「お久しぶりです父上、母上」

「ご、ご無沙汰しております。陛下、王妃様」

俺の隣で緊張ぎみに少し顔を赤くして挨拶をするエミリー・・・やっぱり未来の義父と義母には緊張するものなのかな?

「お、おう・・・アルトだよな?」

「そうですが・・・お二人とも何故そんな驚いた表情をなさっているのですか?」

意味がわからずそう聞くと二人は顔を合わせてから父上が恐る恐る口を開いた。

「いや・・・お前がエミリーと共に訪問するとは聞いていたが・・・手を繋ぐほどにラブラブとは思わずついな」

「あぁ・・・これですか」

そういえば無意識にエミリーの手を握っていた。
ん?もしかしてエミリーの顔が少し赤いのもそれが原因か?

「すみません。無意識にエミリーのことを求めていたようで・・・」

「まぁ!アルト本当にエミリーのことを・・・」

「ええ。母上。私は本当にエミリーのことが愛しく思っておりますよ」

その返事に・・・母上は顔を輝かせて父上は驚愕の表情を浮かべた。
ちなみにエミリーは顔をさらに赤くしていた・・・二人の前でなければ愛でれたのに・・・残念。
しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】

いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。 陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々 だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い 何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ

【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない

As-me.com
恋愛
完結しました。 自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。 そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。 ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。 そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。 周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。 ※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。 こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。 ゆっくり亀更新です。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

処理中です...