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《ロイン&マリーナ》父親への挨拶
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アルトとエミリーが両親に挨拶をしてイチャイチャしている頃・・・ロインとマリーナも互いの父親と別室で挨拶をしていた。
とはいえ・・・
「まさかお前の娘と俺の息子が結婚するとはなー!」
「ええい!肩をどけろ!まったく・・・マリーナ。ロインくんに泣かされたらすぐに言いなさい」
「だ、大丈夫ですよ。お父様・・・」
「父さん・・・ウッドレス侯爵になんてことしてるんだよ・・・」
呆れたような息子の注意に、ロインの父親であるカイ・マクダベル侯爵は快活な笑みを浮かべた。
「大丈夫大丈夫!こいつと俺は親友だからな!」
「勝手に親友なんて名乗るな!まったく・・・」
そうはいいつつも、いつものことなのかそこまで気にしていないのはマリーナの父親であるサイ・ウッドレス侯爵だ。
マリーナはそんな二人をみて思わず呟く。
「仲良し?」
「そうだ(違う)!」
ほとんど同じタイミングの返事に思わずロインと顔を見合わせて苦笑してしまう。
本人たちに再び言うと、また喧嘩になりそうだから言わないが・・・どうみても仲良しな二人に少しだけマリーナは安心した。
「まったく・・・ロインくんだったね。君に訪ねたいが・・・君はマリーナのことを本気で好いているか?」
そんなマリーナの安心は父からのこの言葉で吹き飛んだ。
「お、お父様!?な、何を・・・」
「マリーナは少し黙りなさい。ロインくん・・・私はね。マリーナには幸せになって欲しいんだ。クリーチャー家との婚約ではあのクソ猿にまんまと騙されてマリーナを危うく不幸にしてしまうところだったからね」
「クソ猿とか・・・くく・・・」
忍び笑いを漏らすカイをジロリと睨み付けるサイだが、カイは口笛を吹いてごまかした。
そんなカイを睨み付けてから「とにかく・・・」とサイはロインの方を見た。
「君が本気でマリーナを好いているか・・・そして、マリーナを幸せにできるのかを聞きたい。出来ないならマリーナからは離れてほしい」
「お、お父様!」
「マリーナ。大丈夫だから少しだけ黙って」
心配そうな表情のマリーナにロインは頬笑みかけてから・・・サイの方に視線を向けると真剣な表情で口を開いた。
「僕は・・・マリーナのことを幼い頃から好いていました。婚約者のいるマリーナのことを・・・」
思い出すのは幼い頃の茶会でのこと・・・同い年の顔合わせで初めて目にした時から、マリーナに抱いていた淡い気持ち・・・実らないと思っていた、本当に細い線を思い出す。
「マリーナの容姿が・・・マリーナの仕草が、マリーナの心が・・・全部が僕には眩しくて・・・僕にとってマリーナとは太陽のような存在でした。眩しくて、綺麗で・・・手が届かない存在」
婚約者がいる女の子を好きになることがいかに不毛なことか・・・聡明なロインは幼いながらもわかっていた。
それでも、この気持ちを諦めることはできなかった。
だから、どれだけ良い縁談が来ようとも、やんわりと断ってきた。
無駄なことと知りつつも・・・そうせずにはいられなったからだ。
「でも・・・僕にとってマリーナは太陽じゃダメなんだって、最近になって気づきました。マリーナは・・・」
太陽では彼女の側にはいられない。
なら何なのか?
簡単なことだ。
マリーナだってただ一人の女の子・・・彼女は決して太陽なんかじゃない。
明るく振る舞っても、傷つくことがあるし、陰りも見える・・・・だからこそ、ロインはもっと側にいたいと思った。
サンデーのことで傷つくマリーナを狡いとわかっていても、その心に入り込んで、自分で満たしたいと思ったし、本音を言えば、ここ最近のアルトとエミリーの関係が羨ましくもあった。
そうマリーナは・・・
「マリーナは僕の大切な人です。変わりのいないオンリーワンの存在・・・僕の恋した普通の女の子なんです。そんなマリーナが僕は・・・大好きなんです」
最後にそう微笑んだロインに・・・マリーナは顔を赤くして、見惚れてしまった。
そんな二人の様子を見て・・・サイはため息をついてから言った。
「マリーナを泣かせたら許さない・・・それだけは忘れるなよ?」
「ウッドレス侯爵・・・」
「違う・・・義父と呼べ」
ニヤリと最後に笑うサイに・・・ロインも微笑んだ。
「わかりました。お義父さん」
男同士に密かに芽生える絆にマリーナはさらに顔を羞恥で赤くする。
マリーナにとって、ロインの今の言葉は初耳だし・・・何より、公開で告白されたようなものなので、恥ずかしさは倍ぐらい違う。
そして・・・同時に嬉しくもあった。
ロインがそこまで自分のことを好きと言ってくれたことに・・・素直になれるかはわからないが・・・マリーナは心底嬉しかった。
そして先程のロインの笑みに・・・マリーナは完璧に陥落したのだった。
「お?ならマリーナも俺のことをお義父様と呼んでくれよな!」
「「調子に乗るな!」」
そんな羞恥の空気を知ってか知らずかさらに爆弾を投げるカイに・・・顔を赤くしたマリーナと、親友と父親を睨み付ける二人の男の姿がその場にあって、その状況がしばらく続いたのだった。
とはいえ・・・
「まさかお前の娘と俺の息子が結婚するとはなー!」
「ええい!肩をどけろ!まったく・・・マリーナ。ロインくんに泣かされたらすぐに言いなさい」
「だ、大丈夫ですよ。お父様・・・」
「父さん・・・ウッドレス侯爵になんてことしてるんだよ・・・」
呆れたような息子の注意に、ロインの父親であるカイ・マクダベル侯爵は快活な笑みを浮かべた。
「大丈夫大丈夫!こいつと俺は親友だからな!」
「勝手に親友なんて名乗るな!まったく・・・」
そうはいいつつも、いつものことなのかそこまで気にしていないのはマリーナの父親であるサイ・ウッドレス侯爵だ。
マリーナはそんな二人をみて思わず呟く。
「仲良し?」
「そうだ(違う)!」
ほとんど同じタイミングの返事に思わずロインと顔を見合わせて苦笑してしまう。
本人たちに再び言うと、また喧嘩になりそうだから言わないが・・・どうみても仲良しな二人に少しだけマリーナは安心した。
「まったく・・・ロインくんだったね。君に訪ねたいが・・・君はマリーナのことを本気で好いているか?」
そんなマリーナの安心は父からのこの言葉で吹き飛んだ。
「お、お父様!?な、何を・・・」
「マリーナは少し黙りなさい。ロインくん・・・私はね。マリーナには幸せになって欲しいんだ。クリーチャー家との婚約ではあのクソ猿にまんまと騙されてマリーナを危うく不幸にしてしまうところだったからね」
「クソ猿とか・・・くく・・・」
忍び笑いを漏らすカイをジロリと睨み付けるサイだが、カイは口笛を吹いてごまかした。
そんなカイを睨み付けてから「とにかく・・・」とサイはロインの方を見た。
「君が本気でマリーナを好いているか・・・そして、マリーナを幸せにできるのかを聞きたい。出来ないならマリーナからは離れてほしい」
「お、お父様!」
「マリーナ。大丈夫だから少しだけ黙って」
心配そうな表情のマリーナにロインは頬笑みかけてから・・・サイの方に視線を向けると真剣な表情で口を開いた。
「僕は・・・マリーナのことを幼い頃から好いていました。婚約者のいるマリーナのことを・・・」
思い出すのは幼い頃の茶会でのこと・・・同い年の顔合わせで初めて目にした時から、マリーナに抱いていた淡い気持ち・・・実らないと思っていた、本当に細い線を思い出す。
「マリーナの容姿が・・・マリーナの仕草が、マリーナの心が・・・全部が僕には眩しくて・・・僕にとってマリーナとは太陽のような存在でした。眩しくて、綺麗で・・・手が届かない存在」
婚約者がいる女の子を好きになることがいかに不毛なことか・・・聡明なロインは幼いながらもわかっていた。
それでも、この気持ちを諦めることはできなかった。
だから、どれだけ良い縁談が来ようとも、やんわりと断ってきた。
無駄なことと知りつつも・・・そうせずにはいられなったからだ。
「でも・・・僕にとってマリーナは太陽じゃダメなんだって、最近になって気づきました。マリーナは・・・」
太陽では彼女の側にはいられない。
なら何なのか?
簡単なことだ。
マリーナだってただ一人の女の子・・・彼女は決して太陽なんかじゃない。
明るく振る舞っても、傷つくことがあるし、陰りも見える・・・・だからこそ、ロインはもっと側にいたいと思った。
サンデーのことで傷つくマリーナを狡いとわかっていても、その心に入り込んで、自分で満たしたいと思ったし、本音を言えば、ここ最近のアルトとエミリーの関係が羨ましくもあった。
そうマリーナは・・・
「マリーナは僕の大切な人です。変わりのいないオンリーワンの存在・・・僕の恋した普通の女の子なんです。そんなマリーナが僕は・・・大好きなんです」
最後にそう微笑んだロインに・・・マリーナは顔を赤くして、見惚れてしまった。
そんな二人の様子を見て・・・サイはため息をついてから言った。
「マリーナを泣かせたら許さない・・・それだけは忘れるなよ?」
「ウッドレス侯爵・・・」
「違う・・・義父と呼べ」
ニヤリと最後に笑うサイに・・・ロインも微笑んだ。
「わかりました。お義父さん」
男同士に密かに芽生える絆にマリーナはさらに顔を羞恥で赤くする。
マリーナにとって、ロインの今の言葉は初耳だし・・・何より、公開で告白されたようなものなので、恥ずかしさは倍ぐらい違う。
そして・・・同時に嬉しくもあった。
ロインがそこまで自分のことを好きと言ってくれたことに・・・素直になれるかはわからないが・・・マリーナは心底嬉しかった。
そして先程のロインの笑みに・・・マリーナは完璧に陥落したのだった。
「お?ならマリーナも俺のことをお義父様と呼んでくれよな!」
「「調子に乗るな!」」
そんな羞恥の空気を知ってか知らずかさらに爆弾を投げるカイに・・・顔を赤くしたマリーナと、親友と父親を睨み付ける二人の男の姿がその場にあって、その状況がしばらく続いたのだった。
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