56 / 79
お義父様との和解
しおりを挟む
「すまないな・・・急に連れ出して・・・」
一日に二度も同じようなシチュエーションに巻き込まれるのは予想外だったけど・・・そんなことは口にはせずに俺は続きを促した。
「大丈夫です。それで・・・エミリーのことでしょうか?」
「まあ、そうなのだが・・・」
そこで公爵は少し迷ったように視線をさ迷わせてから言った。
「・・・・不敬を覚悟で言うとだ。私は本当は君のことが好きではなかった。むしろ嫌いだったよ」
「・・・・そうでしょうね」
エミリーへの素っ気ない・・・とまではいかないが、前のアルトはエミリーへの関心の無さが際立っていたし・・・男親としてはあまり喜ばしいとは言えないだろう。
「君はエミリーの気持ちを知りつつあまり関心を見せなかった。そんな君がここ最近になってエミリーのことを溺愛していると聞いてね・・・最初は何の冗談かと思ったが・・・」
「単純に己と向き合って・・・エミリーの魅力に気付いた、という理由では足りませんか?」
「足りないね・・・まるで別人のように変わったからね。でも・・・私は今の君ならエミリーのことを任させられると思えるよ」
そこで公爵は表情を緩めると穏やかに微笑んだ。
「娘の・・・エミリーのあれだけ幸せそうな表情を見れれば私としては何も言うことはない。わざわざ連れ出した理由のひとつは君に娘を任せて大丈夫かを確認することだったが・・・聞くまでもないかな?」
「エミリーを幸せにするのは私の役目です。これは誰にも譲りません」
公爵の目をみてきっぱりとそう言い切る。
エミリーをいまさら他の男に渡すなんてそんな最悪なことは決してあってはならない。
エミリーのことを幸せにするのは俺の役目だし、俺が幸せになれるのもエミリーがいるのが前提だからだ。
そんな俺の決意の瞳を受けて・・・公爵は苦笑してから頷いた。
「これなら大丈夫かな・・・次の用件はお礼を言おうと思ってね」
「お礼?」
「エミリーを危険から守ってくれたのだろう?侍女から報告は貰ったよ。毒殺されそうになったエミリーのことを助けて、どうやら掃除もしてくれたようだからね」
・・・・多分、というか、キングとかのことだろう。
まあ、キャロライン家の侍女から内々的な話でも報告は行ってるとは思ったが・・・しかし、それに関しては俺は首を横にふった。
「それに関しては・・・お礼を言われる必要はないですよ。私のエミリーに手を出した不届き者に頭にきてやったことですし・・・エミリーを守ることは私の役目です。だからお礼は不要です」
「私のエミリーねぇ・・・本当に前のアルトくんとは別人のようだ。だが・・・エミリーを幸せにすると誓えるなら私から言うことは何もないよ」
「もちろんです。むしろエミリーを不幸にするような真似は絶対にしませんよ」
エミリーに悲しい顔をさせるような真似は俺は絶対にしたくない。
あの天使のように優しくて愛らしい表情に負の感情は似合わない。
どんな運命だろうが、例え神様が敵になろうがエミリーのことだけは守り抜く。
いつでもエミリーに笑顔でいてもらうのが俺の役目・・・エミリーの騎士も白馬の王子も俺の役目だ。
どれか一つでも他人に譲るつもりはない。
そんな俺の様子をみてから公爵は右手を出してきた。
「アルトくん・・・娘を・・・エミリーのことをよろしく頼む」
その右手をとって、男同士で固く握手をして、俺もその言葉を言った。
「もちろんです。お義父様」
「ああ・・・」
さっきより緩くなった表情で答える公爵ーーーいや、お義父様を前に俺はエミリーを守ると改めて誓った。
一日に二度も同じようなシチュエーションに巻き込まれるのは予想外だったけど・・・そんなことは口にはせずに俺は続きを促した。
「大丈夫です。それで・・・エミリーのことでしょうか?」
「まあ、そうなのだが・・・」
そこで公爵は少し迷ったように視線をさ迷わせてから言った。
「・・・・不敬を覚悟で言うとだ。私は本当は君のことが好きではなかった。むしろ嫌いだったよ」
「・・・・そうでしょうね」
エミリーへの素っ気ない・・・とまではいかないが、前のアルトはエミリーへの関心の無さが際立っていたし・・・男親としてはあまり喜ばしいとは言えないだろう。
「君はエミリーの気持ちを知りつつあまり関心を見せなかった。そんな君がここ最近になってエミリーのことを溺愛していると聞いてね・・・最初は何の冗談かと思ったが・・・」
「単純に己と向き合って・・・エミリーの魅力に気付いた、という理由では足りませんか?」
「足りないね・・・まるで別人のように変わったからね。でも・・・私は今の君ならエミリーのことを任させられると思えるよ」
そこで公爵は表情を緩めると穏やかに微笑んだ。
「娘の・・・エミリーのあれだけ幸せそうな表情を見れれば私としては何も言うことはない。わざわざ連れ出した理由のひとつは君に娘を任せて大丈夫かを確認することだったが・・・聞くまでもないかな?」
「エミリーを幸せにするのは私の役目です。これは誰にも譲りません」
公爵の目をみてきっぱりとそう言い切る。
エミリーをいまさら他の男に渡すなんてそんな最悪なことは決してあってはならない。
エミリーのことを幸せにするのは俺の役目だし、俺が幸せになれるのもエミリーがいるのが前提だからだ。
そんな俺の決意の瞳を受けて・・・公爵は苦笑してから頷いた。
「これなら大丈夫かな・・・次の用件はお礼を言おうと思ってね」
「お礼?」
「エミリーを危険から守ってくれたのだろう?侍女から報告は貰ったよ。毒殺されそうになったエミリーのことを助けて、どうやら掃除もしてくれたようだからね」
・・・・多分、というか、キングとかのことだろう。
まあ、キャロライン家の侍女から内々的な話でも報告は行ってるとは思ったが・・・しかし、それに関しては俺は首を横にふった。
「それに関しては・・・お礼を言われる必要はないですよ。私のエミリーに手を出した不届き者に頭にきてやったことですし・・・エミリーを守ることは私の役目です。だからお礼は不要です」
「私のエミリーねぇ・・・本当に前のアルトくんとは別人のようだ。だが・・・エミリーを幸せにすると誓えるなら私から言うことは何もないよ」
「もちろんです。むしろエミリーを不幸にするような真似は絶対にしませんよ」
エミリーに悲しい顔をさせるような真似は俺は絶対にしたくない。
あの天使のように優しくて愛らしい表情に負の感情は似合わない。
どんな運命だろうが、例え神様が敵になろうがエミリーのことだけは守り抜く。
いつでもエミリーに笑顔でいてもらうのが俺の役目・・・エミリーの騎士も白馬の王子も俺の役目だ。
どれか一つでも他人に譲るつもりはない。
そんな俺の様子をみてから公爵は右手を出してきた。
「アルトくん・・・娘を・・・エミリーのことをよろしく頼む」
その右手をとって、男同士で固く握手をして、俺もその言葉を言った。
「もちろんです。お義父様」
「ああ・・・」
さっきより緩くなった表情で答える公爵ーーーいや、お義父様を前に俺はエミリーを守ると改めて誓った。
1
あなたにおすすめの小説
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない
As-me.com
恋愛
完結しました。
自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。
そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。
ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。
そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。
周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。
※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。
こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。
ゆっくり亀更新です。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】
いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。
陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々
だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い
何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる