水魚の交わり

夜千流

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法の内、情の外

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楼主との厳正な話し合いの末、フィガロはある考えに至ったらしい

それは、この遊郭自体が政府の管理下にある正当な法に守られた組織であり、あの血判状は法的効力がある正式なもので私を解放するのは難しい事
この街は梅毒などの感染症で治療が必要な患者が大勢いる事
ガルシア家の権力でこの妓楼を潰す事は容易いが、此処には親に売られて行く宛のない者ばかりで、この店を潰すわけにはいかない事などからフィガロは、この妓楼にしばらく滞在する事にしたようだ

「ほら、晶。今日からしばらく、この部屋が俺達の愛の巣だよ。どう?嬉しい?」

「…本当に、よかったんでしょうか?こんなに強引に話を進めてしまって…」

「俺の未来のお嫁さんを劣悪な環境で雑魚寝なんてさせられないよ」

フィガロは楼主に無理を言って、この妓楼で一番いい部屋を買い取った
畳張りだが、洋式の家具も並んでいるのはフィガロの趣味だろうか
部屋の中央には、和式布団が一式敷かれている

「さあ、寝ようか」

「あ…はい」

私は畳の上に寝転んだ

「なにしてるの?きみはこっちだよ」

「え?でもそれはフィガロの布団ですよね?私は此処で十分です」

「可哀想に…。この妓楼で、すっかり奴隷のような扱いに慣れてしまったんだね…」

フィガロは私に、心底憐れんだ眼差しを向けた

「きみは俺と一緒に寝るんだよ。さあ、おいで♡」

「フィガロと一緒に…!?」

「あはは、真っ赤になっちゃって…可愛いなぁ」

「け、結構です…!私は床で十分ですので!」

「えー…。あ!それなら、きみは俺の抱き枕になってよ」

「抱き枕…ですか?」

「うん。俺は人肌恋しいと、寝つきが悪くてね」

「…わかりました」

「ふふっ、よかった。ほら、どうぞ」

フィガロは私を布団の中へ誘う

「し、失礼します…」

恥ずかしくて背を向けて横たわる私を、フィガロは後ろから抱きすくめた
互いの体温がじんわりと伝わってくる
胸がどきどきして、眠気なんてやってこない
すると、フィガロが私の首筋に顔を寄せた

「んっ…」

フィガロが私の首筋に吸い付くとチクリ、と痛みを感じた

「フィガロ…なにをしたんですか?」

「きみが俺のものだっていう印をつけたんだよ」

「な、なんですかそれ…!?」

「ふふっ、みんなに見えるところにつけたからね」

「消してください…!」

「しばらくは消えないよ♡」

「もう!フィガロのばか!」

「あはは!」

そうしてじゃれ合っている間に眠くなった私は、いつの間にか夢の世界へ旅立っていた

翌朝、私を見たネロとヒースは気まずそうに視線を逸らし、シノは「あいつ、幼女趣味か?」と、冷めた目をしていた
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