水魚の交わり

夜千流

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鍵はあなたの手に

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ある日、私はシャイロックと舞の稽古をしていた

「緊張していますね」

「はい…。本格的なお稽古は初めてですから」

「ほら、肩の力を抜いて…」

「あ、あのっ…!近いです…!」

「おや?何か問題でも?近づかなくては、教えて差し上げられません」

「でも…!」

「ふふっ…可愛らしい人…」

シャイロックと居ると、いつもどきどきしてしまう
たおやかで妖艶な彼は、私をからかう事を愉しんでいる

稽古を終えた後、シャイロックはあるものを私の身体に着けた

「なんですか、これ?」

「ちょっとしたお遊びですよ」

白い襦袢姿にされた私の身体は、赤く太い組紐で拘束されてしまった
組紐は私の胸元にある錠前によって固定されていて、鍵がないと外すことができない

「さあ、貴女の情人が待つ部屋へいってらっしゃい」

脚は拘束されていないので、自力でフィガロが待つ部屋まで辿り着いた

「フィガロ…!襖を開けてもらえませんか?」

「ん?どうしたんだい?」

「シャイロックに悪戯されて、腕を動かせないんです…!」

襖を開けたフィガロは、拘束された私の姿を見て目を丸くした
一瞬真顔になったフィガロは、すぐに私を部屋に入れた

「シャイロックが渡してきた鍵は、この為だったのか…」

「フィガロ?」

「いや…その錠前の鍵は俺が持ってるから、今外してあげるよ」

「お願いします…!」

何故フィガロが鍵を持っているのかは不明だが、そんな事よりはやく解放されたい私は、フィガロにお願いするしかなかった
フィガロが錠前に手を掛けると、なにやら彼は真剣な表情で私を見つめている
その視線に、なんだか居心地の悪さを感じた
とても恥ずかしい事をしているような…

「…あの、はやく外してください…!」

「うん。わかってるよ…俺がきみを助けてあげる…」

フィガロはゆっくりと、鍵穴に鍵を挿し込んだ…

カチャリ、と音を立てて拘束が解かれる
私は、ほっ、と胸を撫で下ろす
そしてフィガロにお礼を言おうと彼を見上げるが、フィガロはまだ真剣な眼差しで私を見つめていた

「フィガロ」と、声を掛ける前に唇を奪われた
薄く開いた唇の隙間からぬるり、とした何かが私の口内に入ってくる
驚いてフィガロの胸板を押すが、びくともしない
さらに口づけが深くなり、怖気づくが腰に腕を回されてしまっては逃げられない
私はただ、フィガロを受け入れるしかなかった
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