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5話
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グレン様の盛大な暴露を聞いたお姉様は、陛下に
「ち、違います!嘘ですわ!私はそんなこと言っていません!」
と縋るような目で見つめていました。
ですが、ついさっきも嘘を付いたお姉様のことなど誰も信じるわけもなく、周りで見ていた人達も疑いの目でお姉様を見ています。
それに追い打ちをかけるようにグレン様は
「嘘だと!?ユースティアと婚約破棄したら王宮に住まわせてやると言ったじゃないか!愛人としていればいい、生活にも困らないだろう、と!」
そう言ってお姉様のことを睨みつけています。
はぁ.....なぜお姉様にそんなことをする権利があると思っているんでしょう?
レオンハルト様が愛人を、という話ならまだしも、王妃ですわよ?
子供が出来ても、誰の子供かわからない、という状況を許す国なんてあるわけがないじゃないですか。
なぜそのような簡単なこともわからないのでしょう?
そう思いながら、醜い言い争いをしているお姉様とグレン様を眺めていると、今まで黙っていたレオンハルト様が一歩前に出て
「はぁ......父上、だからもっと早くに婚約をなかったことにした方が良いと言ったんですよ」
そう言って陛下を軽く睨みましたわ。
それに対して陛下は
「それはすまない........王太子であるお前の婚約者がコロコロと変わっては、と思ってな」
と苦笑していますが、本当にその通りなんですのよね。
王妃になる人が何度も変わるなんて、周りの国にも変に噂が広まってしまう可能性がありますものね。
まぁ、幸い外交の場にお姉様を連れて行ったことがない、ということだったので、今回は大丈夫でしょうけど。
こんなマナーも何もできない人を連れていけない、と前にレオンハルト様が言っていましたわ。
お姉様は自分が美人だから他の国の王子に取られると思っている、なんてバカなことを言っていましたけどね。
私もついため息をついて、レオンハルト様たちを見ると、
「ミーフィア、俺たちの婚約はもうなくなったから安心して。グレンと一緒にいればいいよ」
お姉様にそう言ったレオンハルト様は、清々しいような、爽やかな笑みをお姉様に向けてそう言いましたわ。
余程お姉様との婚約が無くなって嬉しいんですのね。
結構前から嫌だ、と言っていましたし、当然ですわよね。
なんて思いながらお姉様を見ると
「そ、そんな!私は王妃になる存在なんですわ!私以外に王妃に相応しい人なんていませんわ!」
と言っていますが、お姉様よりも相応しい人、ですか。
この会場にいる人、全員がお姉様よりかは王妃に相応しいんじゃないでしょうかね?
お姉様なんて、一番相応しくないですわよ?
という私の考えと同じだったのは当然レオンハルト様で、急に、あははっ、と声をあげて笑ったかと思ったら
「面白いことを言うね。君よりも王妃に相応しい人なんてこの手では数えきれないほど沢山いるよ」
そう言ったときのレオンハルト様の瞳は、お姉様を突き刺すような、冷たくて鋭い目をしていますわ。
ですが、それに対してお姉様は
「そんな訳がありませんわ!」
とまだ自分の行いを理解できていないみたいですわ。
グレン様は今の状況を理解して、顔を真っ青にして震えていますのに、それにすら気付いていないみたいですわね。
自分が王妃になる、と必死になっている証拠ですわ。
そんなお姉様にレオンハルト様は容赦なく
「君は王妃に相応しくない。もっと言えば貴族に君のような存在がいる、というだけでも十分害になる」
バッサリと切り捨てるかのように、お姉様にそう言いました。
これは.....私が同じことを言われたら精神がやられますわ。
それくらい、瞳だけではなく声までもが冷たかったんですの。
あ、ちなみに陛下達大人は、レオンハルト様が話し始めたのをきっかけにこの状況をどう収めるのか、と見ていますわ。
グレン様のご両親はそれどころではないみたいですけどね。
レオンハルト様にハッキリと事実を突きつけられたお姉様は、というと
「そんな訳がありません!私は王妃になりますの!この中の誰よりも高貴で美しい存在です!」
まだ自分が王妃に相応しい、自分が王妃だ、と思っているらしく、何度も何度もレオンハルト様に向かって同じことを主張しています。
これには流石のレオンハルト様も
「それはもう聞き飽きたかな」
と苦笑していますわ。
......さて、私もグレン様とケリを付けないといけませんわよね。
このまま有耶無耶で終わるわけにもいきませんし。
「ち、違います!嘘ですわ!私はそんなこと言っていません!」
と縋るような目で見つめていました。
ですが、ついさっきも嘘を付いたお姉様のことなど誰も信じるわけもなく、周りで見ていた人達も疑いの目でお姉様を見ています。
それに追い打ちをかけるようにグレン様は
「嘘だと!?ユースティアと婚約破棄したら王宮に住まわせてやると言ったじゃないか!愛人としていればいい、生活にも困らないだろう、と!」
そう言ってお姉様のことを睨みつけています。
はぁ.....なぜお姉様にそんなことをする権利があると思っているんでしょう?
レオンハルト様が愛人を、という話ならまだしも、王妃ですわよ?
子供が出来ても、誰の子供かわからない、という状況を許す国なんてあるわけがないじゃないですか。
なぜそのような簡単なこともわからないのでしょう?
そう思いながら、醜い言い争いをしているお姉様とグレン様を眺めていると、今まで黙っていたレオンハルト様が一歩前に出て
「はぁ......父上、だからもっと早くに婚約をなかったことにした方が良いと言ったんですよ」
そう言って陛下を軽く睨みましたわ。
それに対して陛下は
「それはすまない........王太子であるお前の婚約者がコロコロと変わっては、と思ってな」
と苦笑していますが、本当にその通りなんですのよね。
王妃になる人が何度も変わるなんて、周りの国にも変に噂が広まってしまう可能性がありますものね。
まぁ、幸い外交の場にお姉様を連れて行ったことがない、ということだったので、今回は大丈夫でしょうけど。
こんなマナーも何もできない人を連れていけない、と前にレオンハルト様が言っていましたわ。
お姉様は自分が美人だから他の国の王子に取られると思っている、なんてバカなことを言っていましたけどね。
私もついため息をついて、レオンハルト様たちを見ると、
「ミーフィア、俺たちの婚約はもうなくなったから安心して。グレンと一緒にいればいいよ」
お姉様にそう言ったレオンハルト様は、清々しいような、爽やかな笑みをお姉様に向けてそう言いましたわ。
余程お姉様との婚約が無くなって嬉しいんですのね。
結構前から嫌だ、と言っていましたし、当然ですわよね。
なんて思いながらお姉様を見ると
「そ、そんな!私は王妃になる存在なんですわ!私以外に王妃に相応しい人なんていませんわ!」
と言っていますが、お姉様よりも相応しい人、ですか。
この会場にいる人、全員がお姉様よりかは王妃に相応しいんじゃないでしょうかね?
お姉様なんて、一番相応しくないですわよ?
という私の考えと同じだったのは当然レオンハルト様で、急に、あははっ、と声をあげて笑ったかと思ったら
「面白いことを言うね。君よりも王妃に相応しい人なんてこの手では数えきれないほど沢山いるよ」
そう言ったときのレオンハルト様の瞳は、お姉様を突き刺すような、冷たくて鋭い目をしていますわ。
ですが、それに対してお姉様は
「そんな訳がありませんわ!」
とまだ自分の行いを理解できていないみたいですわ。
グレン様は今の状況を理解して、顔を真っ青にして震えていますのに、それにすら気付いていないみたいですわね。
自分が王妃になる、と必死になっている証拠ですわ。
そんなお姉様にレオンハルト様は容赦なく
「君は王妃に相応しくない。もっと言えば貴族に君のような存在がいる、というだけでも十分害になる」
バッサリと切り捨てるかのように、お姉様にそう言いました。
これは.....私が同じことを言われたら精神がやられますわ。
それくらい、瞳だけではなく声までもが冷たかったんですの。
あ、ちなみに陛下達大人は、レオンハルト様が話し始めたのをきっかけにこの状況をどう収めるのか、と見ていますわ。
グレン様のご両親はそれどころではないみたいですけどね。
レオンハルト様にハッキリと事実を突きつけられたお姉様は、というと
「そんな訳がありません!私は王妃になりますの!この中の誰よりも高貴で美しい存在です!」
まだ自分が王妃に相応しい、自分が王妃だ、と思っているらしく、何度も何度もレオンハルト様に向かって同じことを主張しています。
これには流石のレオンハルト様も
「それはもう聞き飽きたかな」
と苦笑していますわ。
......さて、私もグレン様とケリを付けないといけませんわよね。
このまま有耶無耶で終わるわけにもいきませんし。
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