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会場にいる人達から注目を浴びながら会場を後にした私は、足取り軽く馬車へと向かいましたわ。
婚約破棄されたのに、足取りを軽く.....っておかしいのでは?と思うかもしれませんが、仕方ありませんわよね。
だって、やっとあのキール様と婚約を破棄することが出来たんですもの!
婚約して10年......最初の4年はなんとか耐えた方だとは思いますが、6年前からずっと、キール様のことが嫌で嫌で......。
ですが、私のような貧乏令嬢のことなんて誰も相手にしてくれないだろう、と思って仕方なしに婚約していましたが、やっと解放されましたのよ!
嬉しくない、訳がありませんわよね。
お行儀が悪いかもしれませんが、今すぐに叫びたいくらい嬉しいですわ!
そう思いながら、緩んだ頬をそのままに、重たいドレスの裾を持って小走りで王宮の廊下を歩いていると
「ヴァイオレット!ちょ....ちょっと待って!」
後ろから、聞き慣れた声が聞こえてきましたわね。
きっと、私が会場を出たので慌てて追いかけてきてくれたんでしょう。
そう考えると、少し歩くスピードが速すぎましたわ。
なんて思いながら、クルっと後ろに振り向くと、そこには軽く息を切らしたお兄様....『ルーカス』が
「いや......流石に早すぎない?」
と膝に手を当てて立っていましたわ。
な、なんだか申し訳ないですわね。
まさか追いかけてくるとは思ってもいなかったので、自分の気分で歩いてしまいましたわ。
心の中でお兄様に謝罪をしながら、まだ息を切らしているお兄様に
「あら、お兄様。抜けてきても大丈夫ですの?」
そう言うと、苦笑しながらですが
「あぁ、それは大丈夫。逆にシュリアが追いかける様に、と俺に言ったんだしね」
と言ってくれましたわね。
あ、『シュリア』様というのはお兄様の婚約者様のことですわよ。
さっきのビビアン様のように、私には持っていないものを持っている、とても美人さんで頭も良い、そして優しい自慢の義姉ですわ。
お兄様達は成人しているんですから、すぐにでも結婚したらいいのに、なぜかずっと様子見なんですのよね。
それなのに、私の婚礼は卒業後にすぐ行う、とか言いますし、意味が分かりませんわ。
....って、話が逸れてしまいましたわね。
やっと呼吸を整え終えたお兄様に
「なんだか申し訳ないですわ」
そう言って苦笑すると、
「でも、良かったじゃないか。婚約破棄されて」
そう言って、お兄様は私の頭に手をポンっと置きましたわ。
これには思わず
「えぇ!本当に嬉しいですわ!」
と満面の笑みでそう答えると、流石のお兄様もどう反応するのが正しいのか、と戸惑っているらしく、苦笑していましたわね。
まぁ、婚約破棄されたのに喜ぶ令嬢なんてこの国では私くらいですもの。
気持ちは物凄くわかりますわ。
なんて思っていると
「早く帰ってお父様にも報告しないとだね」
そう言ったお兄様の表情は、自分のことのように喜んでくれているみたいで、とても嬉しそうですわ。
お兄様とシュリア様にはずっと愚痴を聞いてもらっていましたものね。
今度シュリア様に会うことがあったら、しっかりとお礼を言わないといけませんわね。
そう思いながら、降りて1時間も経っていない我が家の馬車に乗り込みましたわ。
婚約破棄されたのに、足取りを軽く.....っておかしいのでは?と思うかもしれませんが、仕方ありませんわよね。
だって、やっとあのキール様と婚約を破棄することが出来たんですもの!
婚約して10年......最初の4年はなんとか耐えた方だとは思いますが、6年前からずっと、キール様のことが嫌で嫌で......。
ですが、私のような貧乏令嬢のことなんて誰も相手にしてくれないだろう、と思って仕方なしに婚約していましたが、やっと解放されましたのよ!
嬉しくない、訳がありませんわよね。
お行儀が悪いかもしれませんが、今すぐに叫びたいくらい嬉しいですわ!
そう思いながら、緩んだ頬をそのままに、重たいドレスの裾を持って小走りで王宮の廊下を歩いていると
「ヴァイオレット!ちょ....ちょっと待って!」
後ろから、聞き慣れた声が聞こえてきましたわね。
きっと、私が会場を出たので慌てて追いかけてきてくれたんでしょう。
そう考えると、少し歩くスピードが速すぎましたわ。
なんて思いながら、クルっと後ろに振り向くと、そこには軽く息を切らしたお兄様....『ルーカス』が
「いや......流石に早すぎない?」
と膝に手を当てて立っていましたわ。
な、なんだか申し訳ないですわね。
まさか追いかけてくるとは思ってもいなかったので、自分の気分で歩いてしまいましたわ。
心の中でお兄様に謝罪をしながら、まだ息を切らしているお兄様に
「あら、お兄様。抜けてきても大丈夫ですの?」
そう言うと、苦笑しながらですが
「あぁ、それは大丈夫。逆にシュリアが追いかける様に、と俺に言ったんだしね」
と言ってくれましたわね。
あ、『シュリア』様というのはお兄様の婚約者様のことですわよ。
さっきのビビアン様のように、私には持っていないものを持っている、とても美人さんで頭も良い、そして優しい自慢の義姉ですわ。
お兄様達は成人しているんですから、すぐにでも結婚したらいいのに、なぜかずっと様子見なんですのよね。
それなのに、私の婚礼は卒業後にすぐ行う、とか言いますし、意味が分かりませんわ。
....って、話が逸れてしまいましたわね。
やっと呼吸を整え終えたお兄様に
「なんだか申し訳ないですわ」
そう言って苦笑すると、
「でも、良かったじゃないか。婚約破棄されて」
そう言って、お兄様は私の頭に手をポンっと置きましたわ。
これには思わず
「えぇ!本当に嬉しいですわ!」
と満面の笑みでそう答えると、流石のお兄様もどう反応するのが正しいのか、と戸惑っているらしく、苦笑していましたわね。
まぁ、婚約破棄されたのに喜ぶ令嬢なんてこの国では私くらいですもの。
気持ちは物凄くわかりますわ。
なんて思っていると
「早く帰ってお父様にも報告しないとだね」
そう言ったお兄様の表情は、自分のことのように喜んでくれているみたいで、とても嬉しそうですわ。
お兄様とシュリア様にはずっと愚痴を聞いてもらっていましたものね。
今度シュリア様に会うことがあったら、しっかりとお礼を言わないといけませんわね。
そう思いながら、降りて1時間も経っていない我が家の馬車に乗り込みましたわ。
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