婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~

榎夜

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プロローグ

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「ヴァイオレット!お前と婚約破棄させてもらう!」

そう叫んだのは、今日のパーティーでパートナーとして参加する約束をしていた婚約者の『キーン・ガリアット』様ですわ。

一応、私とキーン様がそれぞれ8歳の時からの婚約だったので、今年でちょうど10年、という喜ばしい年だと言いますのに、一体何を言っているのやら.......。

そう思った私は、キール様に

「それは、隣にいる令嬢が原因....でお間違えないでしょうか?」

さっきからキール様の腕にしがみついている私とは正反対の令嬢をチラッと見ながらそう尋ねましたわ。

私の身長が150cmと令嬢の中ではだいぶ小柄な方で、白に近いピンク色の髪の毛は何もしなくてもうねうねと波打って自分でもうっとおしいと感じることが多々ありますわ。

しかも、この青い目だって売っているお人形さんのように真っ青ですし......お母様に似ているのは嬉しいんですが、全体的に子供っぽい印象を持たれてしまいますのよね。

そんな私とは正反対に、キール様の隣にいる令嬢は、身長が.....167cmくらいでしょうか?

金色の髪の毛はサラサラで緑の目は少し切れ長な綺麗な顔立ちをしていますわ。

それに加えてあの胸.....出ているところはしっかり出ているのに、ウエストはビックリしてしまうほど細いという.......。

正直、私に勝てるところなんて1つも見当たらないほど、羨ましくなる体型....いや、見た目をしていますわね。

なんて思いながら、ジロジロと令嬢のことを見ていると、そんな私の視線から庇うように令嬢の前に出たキール様が

「ふんっ!ビビアンが原因ではない!」

なぜか得意げにそう言ってきましたわね。

正直、だったらなぜ私のパートナーという役割を放棄して、他の女にうつつを抜かしているのか、という話ですわ。

これには思わずため息をつきそうになりましたが、なんとかグッと堪えて、理由を聞いてこい!と言わんばかりの顔をしているキール様に

「ではなぜ?」

と聞いて差し上げると、

「まだわからないのか?お前のような貧乏令嬢と婚約して俺になんの得がある?」

なんだか物凄くバカにした感じでそう言われましたわ。

ですが、私が貧乏令嬢なのは本当の話ですわね。

実際に私が働きに出ないと家は毎月ギリギリの生活をしていますし、ドレスだって5着を着回ししているような状況ですわ。

ですが、なんとか私と婚約して得なことを...と思って考えてみたものの、何1つ思いつかなかったので

「まぁ.......確かに得なんて何もありませんわね」

と呟いてしまいましたわ。

本当ならここで、何か言い返すのが正解だったんでしょうね。

だって、私の言葉に腹立たしいことにキール様は

「そうだろう!むしろ今まで婚約していたんだから、感謝して欲しいくらいのことだ!」

鼻を高々にしてそう叫んでいますもの。

あ、ちなみに今はパーティーの最中なので、会場の真ん中でこんな話をしている私たちは、貴族たちの注目の的ですわよ。

ただ、流石にこれ以上騒ぎを大きくするわけにもいかない、と判断した私は、キール様とび....ビビアン様?にこう言って会場を後にしましたの。

「とりあえず、喜んで婚約破棄を受け入れますわね。後は言い出したご自身で話を進めてくださいな」
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