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15話
しおりを挟むとりあえず、私の意見が通るのは店の内装関係と商品関係だ、ということを把握した私は、殿下に意見を言うのを諦めましたわ。
というのも、私のような貧乏令嬢が殿下の力で店を出せる、ということ自体が異例の出来事ですし、文句を言っていると罰が当たってしまいますもの。
私にできることをやる....それだけだ、と考え方を変えたんです。
そう思った私は、殿下に
「とりあえず内装の方は説明した方が良いですか?それを見るだけでもわかるように、と意識はしておきましたが.......」
と言って、昨日急いで書いた内装のデザインを指さしましたわ。
まぁ、文字で色のことも書いていますし、調度品や家具に関しては自分で選びたい、と思いますが、大体のイメージは出来ると思いますわ。
なので大丈夫だと思っていますが.....。
そう思いながらも、初心者なので書き方がおかしかったり...などの不安がありますからね。
殿下がどのような反応をするか、とドキドキしながら言葉を待っていると、内装のデザインを簡単に見た殿下は
「いや、細かいことはわからなかったら聞くことになると思うが、とりあえず大丈夫だ。今度家具のカタログを渡すからそれで、棚とかは選んだらいい」
と言って、デザインが書かれた紙を大事そうに懐にしまいましたわ。
あら、意外にも家具は選ばせてくれますのね。
てっきりこっちで似ているものを選んでおく、とかだと思っていましたわ。
なんて思いながら
「わかりましたわ」
と頷いたものの、やっぱり気になることは沢山ありますのよね。
まず、無償で私の店を作る、なんてありえない話ですわよね?
そう考えると、やっぱり何かしらの見返りのようなものは必要になってくるはずです。
それが一体なんなのか。
全く想像が出来ませんし、そもそも私には薬草が詳しい、ということ以外何の魅力もありませんからね。
ここまで殿下達に良くしてもらってから言うのは申し訳ないですが、何も返すことが出来ませんわよ?
なんて思っていると、
「ところで、ヴァイオレット嬢とは今までの売り上げについて話をしておかないと、と思っていたんだ」
急に殿下が変なことを言ってきましたわね。
今までの売り上げ、とは一体何のことなんでしょう?
もしかして、今後の売り上げについて、というのを言い間違えた、とかでしょうか?
そう思った私は、キョトンとしながら殿下に
「今までの売り上げについて、ですか?」
と尋ねましたの。
だって、本当に理解が出来ませんし、殿下は何を勘違いしているのか......。
まぁ、ですが売り上げは多少取られるのは当然ですわよね。
なんて思いながら殿下を見ていると、私が何のことを話しているのか、全く理解していないことに気付いたんでしょうね。
「その顔.....15歳を過ぎてもなかなか言ってこないから変だと思っていたが、まさか本当に忘れていたとはね」
呆れと驚きが混ざったような表情でそう言うと、ある一枚の紙を私の前に差し出してきましたわ。
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