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75話
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さて、2通の手紙を読み終えた私たちは、とりあえず机の中に封筒をしまってひと段落をついていましたわ。
はぁ......なんだか短い時間でしたが変に疲れてしまいましたわね。
そう思いながら、残り少ないお茶を一気に喉に流し込んでいると、
「それで、手紙を読んでわかると思うが、奴と再び婚約するくらいなら他の子息と婚約した方が良いんじゃないか?」
再び大きなため息をついた後に、お父様がそう言ってきましたわね。
まぁ、言っていることは凄くよくわかりますわ。
私自身も婚約者が居ないから、という理由でキーン様に勘違いされるのも嫌ですし、出来ることなら誰かと婚約したい、と思います。
ですが、そんなに簡単な問題でもない、ということで
「うーん.......そうかもしれませんが」
と曖昧な返事をしてしまいましたわ。
だって、婚約ですわよ?
しれも、さっきのお父様の話を聞く限り婚約の時に交わす契約も適当にしてしまうでしょうし.......。
それに、店のことを考えると安易に婚約することも出来ませんわよね。
なんて思っていると、私の考えをお父様も察してくれたみたいで
「特許の件や店のこともあるからな。難しいとは思うが考えてみてもいいんじゃないか?」
苦笑しながらですが、そう言ってくれましたわ。
難しいと思う、ですか.....。
考えてみても、と言われても何を考えたらいいのか、と思ってしまいますわよね。
だって、いくら考えても結果は同じなんですもの。
なので、心配そうな顔をしているお父様に
「そうは言っても難しいですよ。だって、婚約する相手が卒業後に薬草の店を開く、なんて訳のわからないことを言っていますのよ?誰も寄ってきませんわ」
ハッキリとそう言うと
「そう言うと思って今ヴァイオレットに婚約を申し込んできている子息をリストアップしたんだが......」
遠慮気味にではありますがそう言って一枚の紙を机の上に置きましたわね。
置かれた紙には子息の家の爵位と名前、それから年齢が書かれているんですが......長年キーン様と婚約していたので子息との関りが全くないんですのよね。
なので、名前と爵位が書かれていても顔が全く思い出せませんのよね。
そう思いながら紙に書いてある名前をただただ眺めましたわ。
一応私と婚約する、ということはこの家に入り婿として来てくれることが前提ですが......公爵子息がいるのは理解が出来ませんわね。
絶対に他の家に申し込んだ方が良いと思いますわよ。
なんて思いながら、私の様子をチラチラと見ているお父様に
「意外と多いんですのね。やっぱり特許がある、ということが大きいんでしょうか?」
と尋ねると、
「そうだろうな。特許でもらえる金額だけでも子爵家の収入と同等になるんだ。何もしなくても金が手に入るならそれほど嬉しいものはないだろう」
なんとも言えないような表情でそう言いましたわ。
わかってはいましたが、やっぱりショックですわね。
だって、私と婚約したいからではなく、私の特許に惹かれて来ているということですもの。
はぁ......複雑な心境ですわ。
はぁ......なんだか短い時間でしたが変に疲れてしまいましたわね。
そう思いながら、残り少ないお茶を一気に喉に流し込んでいると、
「それで、手紙を読んでわかると思うが、奴と再び婚約するくらいなら他の子息と婚約した方が良いんじゃないか?」
再び大きなため息をついた後に、お父様がそう言ってきましたわね。
まぁ、言っていることは凄くよくわかりますわ。
私自身も婚約者が居ないから、という理由でキーン様に勘違いされるのも嫌ですし、出来ることなら誰かと婚約したい、と思います。
ですが、そんなに簡単な問題でもない、ということで
「うーん.......そうかもしれませんが」
と曖昧な返事をしてしまいましたわ。
だって、婚約ですわよ?
しれも、さっきのお父様の話を聞く限り婚約の時に交わす契約も適当にしてしまうでしょうし.......。
それに、店のことを考えると安易に婚約することも出来ませんわよね。
なんて思っていると、私の考えをお父様も察してくれたみたいで
「特許の件や店のこともあるからな。難しいとは思うが考えてみてもいいんじゃないか?」
苦笑しながらですが、そう言ってくれましたわ。
難しいと思う、ですか.....。
考えてみても、と言われても何を考えたらいいのか、と思ってしまいますわよね。
だって、いくら考えても結果は同じなんですもの。
なので、心配そうな顔をしているお父様に
「そうは言っても難しいですよ。だって、婚約する相手が卒業後に薬草の店を開く、なんて訳のわからないことを言っていますのよ?誰も寄ってきませんわ」
ハッキリとそう言うと
「そう言うと思って今ヴァイオレットに婚約を申し込んできている子息をリストアップしたんだが......」
遠慮気味にではありますがそう言って一枚の紙を机の上に置きましたわね。
置かれた紙には子息の家の爵位と名前、それから年齢が書かれているんですが......長年キーン様と婚約していたので子息との関りが全くないんですのよね。
なので、名前と爵位が書かれていても顔が全く思い出せませんのよね。
そう思いながら紙に書いてある名前をただただ眺めましたわ。
一応私と婚約する、ということはこの家に入り婿として来てくれることが前提ですが......公爵子息がいるのは理解が出来ませんわね。
絶対に他の家に申し込んだ方が良いと思いますわよ。
なんて思いながら、私の様子をチラチラと見ているお父様に
「意外と多いんですのね。やっぱり特許がある、ということが大きいんでしょうか?」
と尋ねると、
「そうだろうな。特許でもらえる金額だけでも子爵家の収入と同等になるんだ。何もしなくても金が手に入るならそれほど嬉しいものはないだろう」
なんとも言えないような表情でそう言いましたわ。
わかってはいましたが、やっぱりショックですわね。
だって、私と婚約したいからではなく、私の特許に惹かれて来ているということですもの。
はぁ......複雑な心境ですわ。
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