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76話
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聞き覚えのない子息の名前を眺めながら、ため息をついている私にお父様は
「やっぱり婚約はまだ考えられないか?」
と複雑そうな顔をして聞いてきましたわね。
まぁ、お父様としてもキーン様との婚約のせいで、私に迷惑が掛かっている、という現状に申し訳なく思っているんでしょう。
なので、本当はもう少しゆっくりと慎重に次の相手を決めたいところですが、なるべく早めに新しい婚約者を決めないとこの面倒事がダラダラと続いてしまう、いうことで、私のことを説得したいけどしきれない、みたいな状況だと思いますわ。
私としては婚約者を決めることは良いんですのよ。
別にキーン様のことで傷ついているわけでもありませんし、決めておいた方が後に楽になることもわかっていますわ。
ただ、
「そういうわけではありませんが、私と婚約したいというわけではなく、私の特許が欲しい人のリスト、ということですわよね」
苦笑しながらお父様にそう言うと、複雑そうな表情はそのままで
「ま、まぁ.......言い方を変えるとそうなってしまうな」
と、凄く気まずそうにしていますわね。
まぁ、ここまでハッキリと私が言って来るとは思ってもいなかったんでしょうね。
私としてもこんなにハッキリと言うつもりはありませんでしたわ。
ですが、キーン様に未練があって.....とか変な勘違いをされても困るので一応、です。
「凄く複雑な心境ですわ。だって、私の見た目も性格も、何も知らないんですのよ?」
そう言って肩をすくめる私に対して、お父様は急に真剣な顔をしたかと思ったら
「婚約の申込みなど大体似たようなものだ。何も知らない状況から調べ上げて申込みをする」
と言われてしまいました。
これには、確かにその通りですし、言い返すことも出来ずに
「そうかもしれませんが.......」
と言葉を詰まらせてしまいましたわ。
うーん.......確かにお父様の言っている通りなんですのよ?
相手を知らないところから、何度か会って会話をしたり手紙のやり取りをして仲を深める、なんて貴族の婚約では当たり前のことです。
ただ、今回の婚約では話が違うと言いますか.......。
なんと説明したらいいのかわかりませんが、とりあえずお父様の言っていることはわかりますが、違いますのよ。
なんて思っていると、なかなか返事をしない私にお父様は小さくため息をついたかと思ったら
「すぐにとは言わないが、学園を卒業するまでに決めないといけないぞ」
と言ってきましたわね。
卒業するまでに、って......あまり期間がありませんわよね?
別に、キーン様の件があってもなくてもそこまで急がなくていいと思っているんですが......。
なので、お父様の言葉に首を傾げながら
「なぜですか?」
と尋ねると、2度目の、しかもさっきよりも大きなため息をついたお父様にこう言われましたわ。
「なぜ、って.......我が家にはヴァイオレット以外に子供がいないんだから、ヴァイオレットの婚約者は入り婿として迎え入れることになる」
「やっぱり婚約はまだ考えられないか?」
と複雑そうな顔をして聞いてきましたわね。
まぁ、お父様としてもキーン様との婚約のせいで、私に迷惑が掛かっている、という現状に申し訳なく思っているんでしょう。
なので、本当はもう少しゆっくりと慎重に次の相手を決めたいところですが、なるべく早めに新しい婚約者を決めないとこの面倒事がダラダラと続いてしまう、いうことで、私のことを説得したいけどしきれない、みたいな状況だと思いますわ。
私としては婚約者を決めることは良いんですのよ。
別にキーン様のことで傷ついているわけでもありませんし、決めておいた方が後に楽になることもわかっていますわ。
ただ、
「そういうわけではありませんが、私と婚約したいというわけではなく、私の特許が欲しい人のリスト、ということですわよね」
苦笑しながらお父様にそう言うと、複雑そうな表情はそのままで
「ま、まぁ.......言い方を変えるとそうなってしまうな」
と、凄く気まずそうにしていますわね。
まぁ、ここまでハッキリと私が言って来るとは思ってもいなかったんでしょうね。
私としてもこんなにハッキリと言うつもりはありませんでしたわ。
ですが、キーン様に未練があって.....とか変な勘違いをされても困るので一応、です。
「凄く複雑な心境ですわ。だって、私の見た目も性格も、何も知らないんですのよ?」
そう言って肩をすくめる私に対して、お父様は急に真剣な顔をしたかと思ったら
「婚約の申込みなど大体似たようなものだ。何も知らない状況から調べ上げて申込みをする」
と言われてしまいました。
これには、確かにその通りですし、言い返すことも出来ずに
「そうかもしれませんが.......」
と言葉を詰まらせてしまいましたわ。
うーん.......確かにお父様の言っている通りなんですのよ?
相手を知らないところから、何度か会って会話をしたり手紙のやり取りをして仲を深める、なんて貴族の婚約では当たり前のことです。
ただ、今回の婚約では話が違うと言いますか.......。
なんと説明したらいいのかわかりませんが、とりあえずお父様の言っていることはわかりますが、違いますのよ。
なんて思っていると、なかなか返事をしない私にお父様は小さくため息をついたかと思ったら
「すぐにとは言わないが、学園を卒業するまでに決めないといけないぞ」
と言ってきましたわね。
卒業するまでに、って......あまり期間がありませんわよね?
別に、キーン様の件があってもなくてもそこまで急がなくていいと思っているんですが......。
なので、お父様の言葉に首を傾げながら
「なぜですか?」
と尋ねると、2度目の、しかもさっきよりも大きなため息をついたお父様にこう言われましたわ。
「なぜ、って.......我が家にはヴァイオレット以外に子供がいないんだから、ヴァイオレットの婚約者は入り婿として迎え入れることになる」
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