32 / 44
31話
しおりを挟むノアからリオルの目撃情報を聞いた4日後。
私はアリボリー侯爵家に来ています。
まぁ、正確には元侯爵の隠居された家なんですけどね。
私が幼い時からご贔屓にしてもらっていて、昔は営業とか関係なしに可愛がってもらっていました。
いつもは同じものをメイドさんが注文しに来てくれるので、ここに来るのは半年ぶりとかですかね?
なんて思いながら懐かしんでいると
「カノンちゃん、お久しぶりです」
と元侯爵様が現れました。
侯爵家の方なのに私のような平民に対してもとても優しくて、こんなこと言うと失礼かもしれませんが親戚のおじちゃん、みたいな感覚です。
「すみません、突然来てしまって......」
と椅子から立ち上がって言うと
「いえ、良いんですよ。それで、今日はどんな商品を持ってきてくれたんですか?」
昔と変わらず優しい微笑みになんだか落ち着きますね。
なんて思いながら
「それもあるんですが、先に聞きたいことがあるんですがよろしいでしょうか?」
と聞くと、一瞬だけ驚いた顔をしましたが、すぐに優しく微笑んで
「私が答えられることならなんでも聞いてください」
と答えてくれました。
そこから多少省略はしましたが、リオルが行方不明になっていること、ここの領地でリオルを見かけた人がいることを説明しました。
本当に私事で申し訳ないです......。
全てを話終えると、元侯爵様はとても悲しそうな顔をしながら
「そんなことになっていたんですね.........」
と呟きました。
「すみません。私事のとこなんですが、全く情報がなくて.........」
「いえ、良いんですよ。あの家は元々変わっていますからね」
「そうなんですか?」
変わっている、ですか。
リオルの浮気がわかるまではそんな風に感じたことはありませんでしたが.........。
「えぇ。自分より下の爵位の者には常に見下した態度のくせに、上の人には媚びて、それでいて自分は浪費家なのに他人にはケチだ、と有名なんですよ」
「え......そうだったんですか?」
いや、でも確かにその通りなところはありますね...。
我が家は平民ですが、侯爵家のような爵位の高い人との取り引きも多くあるので、そういうことは無かったですが、リオルと一緒に歩いている時に平民が道の真ん中を歩くなよ、とか呟いていたことがあります。
なんでもっと早くに気付かなかったんでしょう...。
衝撃的な事実に唖然としていると
「まぁ、有名なのは一部の貴族の間でだから知らなくて当然だよ」
と苦笑しながら教えてくれました。
そうだったんですね。
リオルが貴族の友達がいないのも納得です。
「だからカノンちゃんがあの家の息子と結婚する、なんて聞いた時には必死に止めようと思いましたよ......でもカノンちゃんが幸せそうに笑っていたから.........」
確かに元侯爵様のところにも挨拶に行きましたものね。
「こんなことになってしまいましたが、あの時の私は確かに幸せでした。知らなかったとはいえ、ちゃんと調べなかった私も悪いので侯爵様のせいではありせんよ」
元侯爵様がとても悲しそうに言うのもですから、こっちまで悲しくなってきますよ。
そう思っていると
「こんなことになるなら、息子と結婚させるべきだった」
と元侯爵様が言ったのが衝撃的で
「そんなっ!私が侯爵家の方と結婚だなんて恐れ多い、といいますか、息子さんに申し訳ないですよ!」
手をブンブン振りながら必死に遠慮しました。
いや、遠慮した、というか、もう有り得ない話なんですけどね。
100
あなたにおすすめの小説
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
【完結】私に可愛げが無くなったから、離縁して使用人として雇いたい? 王妃修行で自立した私は離縁だけさせてもらいます。
西東友一
恋愛
私も始めは世間知らずの無垢な少女でした。
それをレオナード王子は可愛いと言って大層可愛がってくださいました。
大した家柄でもない貴族の私を娶っていただいた時には天にも昇る想いでした。
だから、貴方様をお慕いしていた私は王妃としてこの国をよくしようと礼儀作法から始まり、国政に関わることまで勉強し、全てを把握するよう努めてまいりました。それも、貴方様と私の未来のため。
・・・なのに。
貴方様は、愛人と床を一緒にするようになりました。
貴方様に理由を聞いたら、「可愛げが無くなったのが悪い」ですって?
愛がない結婚生活などいりませんので、離縁させていただきます。
そう、申し上げたら貴方様は―――
〖完結〗私を捨てた旦那様は、もう終わりですね。
藍川みいな
恋愛
伯爵令嬢だったジョアンナは、アンソニー・ライデッカーと結婚していた。
5年が経ったある日、アンソニーはいきなり離縁すると言い出した。理由は、愛人と結婚する為。
アンソニーは辺境伯で、『戦場の悪魔』と恐れられるほど無類の強さを誇っていた。
だがそれは、ジョアンナの力のお陰だった。
ジョアンナは精霊の加護を受けており、ジョアンナが祈り続けていた為、アンソニーは負け知らずだったのだ。
精霊の加護など迷信だ! 負け知らずなのは自分の力だ!
と、アンソニーはジョアンナを捨てた。
その結果は、すぐに思い知る事になる。
設定ゆるゆるの架空の世界のお話です。
全10話で完結になります。
(番外編1話追加)
感想の返信が出来ず、申し訳ありません。全て読ませて頂いております。ありがとうございます。
幼馴染の王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
一度完結したのですが、続編を書くことにしました。読んでいただけると嬉しいです。
いつもありがとうございます。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【完結】旦那様は、妻の私よりも平民の愛人を大事にしたいようです
よどら文鳥
恋愛
貴族のことを全く理解していない旦那様は、愛人を紹介してきました。
どうやら愛人を第二夫人に招き入れたいそうです。
ですが、この国では一夫多妻制があるとはいえ、それは十分に養っていける環境下にある上、貴族同士でしか認められません。
旦那様は貴族とはいえ現状無職ですし、愛人は平民のようです。
現状を整理すると、旦那様と愛人は不倫行為をしているというわけです。
貴族の人間が不倫行為などすれば、この国での処罰は極刑の可能性もあります。
それすら理解せずに堂々と……。
仕方がありません。
旦那様の気持ちはすでに愛人の方に夢中ですし、その願い叶えられるように私も協力致しましょう。
ただし、平和的に叶えられるかは別です。
政略結婚なので、周りのことも考えると離婚は簡単にできません。ならばこれくらいの抵抗は……させていただきますよ?
ですが、周囲からの協力がありまして、離婚に持っていくこともできそうですね。
折角ですので離婚する前に、愛人と旦那様が私たちの作戦に追い詰められているところもじっくりとこの目で見ておこうかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる