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30話
しおりを挟む弁護士さんから、役人の人が子爵家を尋ねたことの報告を受けました。
その結果は
「やはりリオルさんのことについて何かあるみたいでしたね」
「そうですか.........」
話を聞いたのは義父ならしいですが、あからさまに動揺していた、とのことでした。
疑いから確信に変わっていっていますね。
それに、このことは義父だけではなく義母や義兄も関わっていると思っているんですが、たかが平民の私なんて出来ることは限られているのでとりあえず任せることにしましょう。
それから、
「リオルさんが死亡したか、していないかによって慰謝料の話もスムーズに進むところもあるんです。生きているならすぐに離婚届を書かせる、などをすれば.........」
なるほど......。
確かに生きているのなら離婚届を書いてもらうと慰謝料の件はどうにかなりますよね。
ただ、そこでまた問題が。
「ですが、リオルが生きているか、なんてまだわかりませんし、生きていてもどこにいるのかすらわからないですよ?」
もしくは死亡届を出した時には生きていたけど今は殺された、という可能性だって考えられます。
それに、場所がわからなければ離婚届どころの問題ではありません。
弁護士さんもそのことが気になっているみたいで
「そうなんですよね.........どこか心当たりのある場所とかは......」
「浮気相手の家だと思ったんですが、追い出した、とのことでした」
「そうなると本当にわかりませんね。実家でもなく浮気相手でもない。職場なんて以ての外ですし.........」
ミアさんの家、実家、職場.........それ以外にリオルが行きそうなところなんて思いつきませんよね...。
結婚してから仲が良い友達も居ませんでしたし.........。
弁護士さんと2人で頭を抱えていると
「カノン、いるか?」
控え気味なノックと共にノアの声が聞こえてきました。
「あれ?どうしたの?」
「いや......それがさ、カノンの旦那を見たかもしれない」
.........え?
「どこで!?」
「ちょっと依頼のことでアリボリー侯爵家の領地に行ってきたんだが、そこで物凄くボロボロになったのとすれ違ってな」
アリボリー侯爵家......うちのお得意様のひとつね。
いや、でもあの家は同い年くらいの人はいなかったはず......。
......と、そんなことより
「そんなにボロボロだったの?」
とノアに聞くと
「いや、一瞬わからなかったよ。風呂にも入っていないのか髪の毛はボサボサで異臭までしていた」
と苦笑しながら教えてくれました。
一体いつから脱走したんでしょう?
少なくとも手紙が届いていた頃くらいは実家にいたはずなんですけどね。
「何かから怯えたような感じだったが、もしかすると刺客かなにかを送られていた可能性もあるんじゃないか、と思って」
「刺客......まさか義父さんが送った、とか?」
でもいくら義父さんが変わっている人だとしても、慰謝料を払いたくない、という理由だけで自分の子供に害を与えるでしょうか?
しかも死亡届をもう提出しているのに。
私だったら素直に慰謝料を支払いますけど......。
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