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3話
しおりを挟む「マリアンヌ」
今日もいつものように王宮に向かおうとしていた放課後。
急にアルフレッド様から声をかけられました。
「あら?アルフレッド様じゃありませんか。ご機嫌よう」
学園で話しかけてくるのは珍しいですわね?
最近はアルフレッド様を見かける度にあの令嬢が睨みを聞かせていましたから避けていたんですが、何か用事でもあるんでしょうか?
そう思っていると
「母上から話は聞いたか?」
「話、ですか?一体なんのことでしょう?」
母上、つまり王妃様ですわよね?
話を聞くも何も、今日は今から会うところなので全く聞いていませんよ。
でもここで話しかけてくる、ということは何か重要な話なんでしょうね。
軽く内容だけでも聞いておこうと思って私が口を開いたその時、
「あ!殿下ぁ~」
はぁ.........やっぱり来ましたね。
やってきたのはもちろんリリアさんです。
せっかく今は人通りも少なくて目立たなかったのに、この人が取り巻きを大勢連れてくるせいで一気に人が多くなりましたわ。
まぁ、殿下に用事でしたら私は関係ありませんわよね?
面倒なことになる前にここから立ち去りましょうか。
そう思っていると、リリアさんがまた私の横で転びました。
もう何度も見た光景ですが、回数を重ねる毎に上手くなっていますね。
そこだけは褒めたいところですわ。
なんて呑気に思いながら眺めていると
「酷いですわ!マリアンヌ様!殿下の前で恥をかかせる為に私を転ばせるなんて......」
始まりましたね......。
「はぁ......。私は急ぐので失礼しますわね?」
今日は本当に急いでいるので構っている暇はありませんわ。
なので、リリアさんを無視して通り過ぎようとすると
「逃げるんですか!?」
............は?
「何を言っていますの?私はあなたに構っているほど暇じゃないんです。今日もこれから王妃教育がありますし、他にもやることが沢山あるんですのよ?」
大体逃げるってなんですの?
こっちの都合を考えずに毎回毎回こんなことをしますけど、他にやることはないんでしょうか?
そう思って言ったのに
「酷いです...っ!そうやって私をまたバカにするんですか!?」
「あなた、私の言葉が理解出来ていますの?構っている暇がない、と今言ったんですが......」
本当に面倒な人ですね。
何がなんでも私のことを悪者にしたい、という意思が丸見えですわよ。
しかも
「殿下ぁ~...!見ましたか!?これがマリアンヌ様の本性です...っ!すっごい意地悪なんです!」
なんて猫なで声を出していますが、さっきの声を聞いてからだと全然可愛くないですよ?
さて、殿下はどんな返事を返すんでしょうね。
そう思って眺めていたんですが、
「そうか......」
のただ一言。
でも視線で早く立ち去るように伝えているのがわかりますわ。
つまりここは殿下に任せても大丈夫、ということですわよね?
そう思って、なるべく気配を消してその場を後にしました。
はぁ......毎日こんなことをしていて暇人ですわよね。
王宮に到着して、このことはすぐに王妃様に報告しました。
いや、王妃教育とは言いますけど、教えてもらうことはもう終わっているので、基本的に王妃様とお話する時間なんですのよね。
楽しいから別に構いませんが。
「まぁ、そんなことがありましたの?」
クスクス笑いながら王妃様は私の話を聞いています。
なんだか最近は楽しんできていますよね。
「えぇ。本当にあの令嬢には困ったものですわ」
王妃様の前だというのに、思わずため息をつくと
「まぁまぁ、でももう来週には片付くから、あの令嬢とは関わることがなくなるんじゃなくって?」
そう言って、王妃様はどこからか大量の紙を差し出してきました。
あら?思ったより早いですわね。
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