まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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10話

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はぁ......嵐のような方でしたね。

あの後、陛下とハニーア様の母親が止めてくれなかったらもっと大変だったでしょうね。

あぁ、私はずっと黙っていましたよ。

あの状況で何かを言っても面倒なことになるだけですしね。

ハニーア様は最後に

「絶対、私を選ばせてあげるわ!覚悟しなさい!」

なんて訳の分からないセリフを言って母親に引きずられるように出ていきましたね。

全く.....一応王女なんですから国同士の問題になる可能性も考えて発言して欲しいですわね。

あの人とこれから学園でも会わなきゃいけないのが憂鬱で仕方ないです。

いや、そんなこともよりアルフレッド様が無駄にモテすぎるのが悪いんですわ。

しかも少し頭が弱めの方ばかり。

なんて思っていると

「マリアンヌ......」

少し悲しそうな顔をしたアルフレッド様が話しかけてきました。

正直、今日はこんなことに巻き込まれて話なんてしたくありませんわ。

でも仕方ありませんよね。

無視するわけにもいきませんし。

なので

「なんでしょう?」

と返事をすると

「その......怒っているか?」

凄く私の機嫌を窺っているのが伝わってきますわ。

だからといって別に遠慮するつもりはありませんので素直に

「えぇ。やっと片付いたと思っていましたのに、再びこんな面倒ごとに巻き込まれて.......流石に怒らないわけありませんわよ」

と自分の気持ちを伝えると

「すまない.......」

そんな捨てられた子犬みたいな視線で謝られると少し可哀そうになってきましたわ。

はぁ.....とため息をついてから

「別に構いませんわ。アルフレッド様が悪いわけじゃありませんもの」

まぁ、アルフレッド様を好きになる女性は少し個性的な方が多い、ということでしょう。

こればっかりは本人を責めても仕方ありませんものね。

そう考えないとやっていられませんわ。

「......これだけは言わせてほしい。俺が結婚したいと思っているのはマリアンヌだけだ」

真っ直ぐ目を見て言われましたが、

「わかりませんわよ。ハニーア様の可愛さに心惹かれるかもしれませんもの」

「それはありえん」

「なぜそう言い切れるのです?ハニーア様はとても自信があるようでしたし」

どこから湧いてくるのかわかりませんが、ものすごい自信でしたもの。

きっとハニーア様には何かアルフレッド様を虜にする秘策があるに違いません。

もし隣国にいる自分の父親に頼んだら余計に面倒なことになりますわよね。

はぁ...気が重いですわ。

そう思っていると

「見た目の前に、俺の嫌いな性格だからだ」

.........確かに。
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