まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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16話

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あんなことがあって、次の日からどんな手を使うのか、と思っていましたが、この1か月様子を見ているとハニーア様は自分のアピールが凄くなりましたね。

まぁ、人を囲って威張るより、自分のアピールに力を入れているのは好感がもてますわ。

最初は

「クッキーを作りましたの!食べてください!」

などという食べ物攻撃から始まり、自分は料理が得意なんですよ、というアピールですわね。

普通なら家庭的だな、なんて思うでしょうが、アルフレッド様はというと

「王宮のシェフかマリアンヌ以外からのは食べない」

そう言って一蹴していました。

私からの、なんて......あげたことがないんですが?

まぁ、聞かなかったことにしましょう。

そして食べ物攻撃が終わったと思ったら

「今日の私、いつもと違うんですよぉ」

と言って誘惑し始めました。

確かにいつもより髪の毛の調子がいいですね。

といってもぞんなのに気付くのなんて同性の人か、よっぽどハニーア様を見ている人じゃなければ気付かない程度ですが。

案の定アルフレッド様には

「俺には関係がない」

と言われていました。

さて、ここまで聞いてなんで私がそんなに色んな話を知っているのか、と思いましたよね。

簡単な話です。

私がアルフレッド様と一緒にいる時間が増えたから、ですわ。

その証拠に、今も2人でお昼ご飯を食べるために学園の園庭に来ています。

ゆったりとご飯を食べていたんですが急にアルフレッド様の顔が変わりましたね。

つまり、あの人ですわね。

「アルフレッド様ぁ~」

ほら、来ましたわ。

甘ったるい声を出して、王族だというのに駆け足でこっちに向かって来ています。

いや、もしかしたら王族だということを忘れているんでしょうか?

それならこの行動も納得できますわ。

なんて思っているうちにハニーア様が近くに来ていました。

いつも通り私を睨みつけた後にアルフレッド様にはとろんとした目を向けて

「私、テストで6位になったんですの!褒めてくださいまし!」

と言って頭を差し出しました。

これは、いわゆるナデナデして欲しい、というアピールですね。

あぁ、でも転入してきてすぐのテストなのに6位は凄いですわ。

そんなに撫でて欲しいなら私がナデナデして差し上げたいくらいです。

そんなことをしたら物凄く怒られるのはわかっているので出来ませんけどね。

アルフレッド様の件がなければ妹みたいで可愛らしい人、で終わっていましたのに残念ですわ。

なんて思いながら2人を眺めているとアルフレッド様はハニーア様を睨みつけながら

「そうか。マリアンヌの方が上だな」

とだけ言って近くにいた護衛と話を始めてしまいました。

ハニーア様は顔を赤くして私を睨みつけてきましたわ。

はぁ......ここまで敵対される理由がわかりませんわ。
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