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18話 ハニーアside
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私がアルフレッド様を知ることになったきっかけは、お兄様が放り捨てた新聞の記事でした。
大きく載っているのはアルフレッド様の婚約者の方の写真でしたが、隣で優しく微笑むアルフレッド様の顔が頭にずっと残っていて、つい近くにいるお兄様に
「お兄様!私、この人と結婚したいですわ!」
と私が言うと
「はぁ?」
あからさまに私に話しかけられるのを嫌そうにしながら
「あぁ、そいつか」
と呟きました。
正直、私は兄弟に嫌われているということは自分でもわかっているつもりです。
皆、側室の母から生まれたのにお父様に可愛がられている私が気に食わないんです。
でも今はそんなことを気にすることなく
「お兄様、知っていますの!?」
とお兄様につい食い気味で聞くと
「気安くお兄様なんて呼ぶな、と何度言ったらわかるんだ」
案の定、お兄様は私のことを鋭い目で睨みつけてそう言いました。
私のことが気に食わないんだ、ということを再確認したと同時に自分の行いを思い出して
「す、すみません.........」
と縮こまると、それに満足したのか
「別にこの王子を知っている訳では無いが、王子の婚約者ができた女だから嫁に迎えようと思ったが断られた」
と教えてくれました。
「そうなんですね.........」
「まぁ、王子は婚約者のことを溺愛しているみたいだからな。お前ごときが婚約者になんてなれる訳が無い。諦めるんだな」
アルフレッド様がこの女性を溺愛している.....?
そんなの今だけで、この人よりも魅力的な人が現れたらすぐに乗り換えるに決まっていますわ。
そう思っていた私は、お兄様に
「そんなことわからないじゃないですか!」
と大きな声を出してしまいました。
そんな私の様子を見て本気だということが伝わったのかわかりませんが、私を思いっきりバカにしながら
「お前がこの王子の婚約者になれたら俺は地面に頭をつけて謝ってやってもいいぞ」
と言って、立ち去ってしまいましたわ。
普通なら、これで諦めてそこら辺の決められた人と婚約するんでしょうが、私の頭の中は、絶対お兄様に謝らせてやる。
私だって、本気を出したら1人の男性くらい簡単に虜にできるんですから!
という気持ちでいっぱいでした。
お兄様と別れてすぐに
「お母様!留学したいです!」
と言いに行きました。
こういうのは決めたらすぐに行動するのが一番ですからね。
ですが、お母様は
「......無理よ」
とだけ言って、その話を終わらせようとしています。
「なぜですか!」
「側室の娘が留学なんて出来るわけがないでしょう?」
そんな......。
なんで側室の娘だから、という理由だけで、私の行動が制限されるんでしょう。
お兄様はあんなに自由に遊んでいるのに......。
そう考えると、余計に諦められなくなって
「じゃ、じゃあ、どうやったら留学に行けますか?」
私がそうお母様に尋ねると、大きなため息をついた後に
「そうねぇ.......ハニーアが沢山勉強をして、誰よりも賢くなったら考えてくれるんじゃないかしら?」
とだけ言って、話は終わりました。
勉強、ですか........。
それなら私も出来ますわ!
そう思って、次の日からは勉強をひたすら頑張りましたわ。
そのおかげもあって、半年後には学年で2位にまで上げることが出来ました。
そして私が次にとった行動は
「お父様ぁ~、お願いがありますの」
お父様にお願いをしに行く、です。
私が必死に勉強している姿を見て、お母様も私が本気だということがわかったのか応援してくれるようになりましたの。
その時に教えてくれたのがお父様にお願いしに行く、ということですわ。
私に甘いお父様はニコニコしながら
「どうしたんだ?」
と聞いてきたので、早速
「私、留学に行きたいですわ!」
と本題を伝えるとお父様は物凄く悲しそうな顔をして
「.......儂の元から離れてしまうということか?」
と言いました。
まぁ、アルフレッド様と結婚することになったら離れることになりますが、ここでそんなことを言ったら反対されることくらい私にもわかっているので
「違いますわ!私はお父様の為に色んな国を見て、色んなことを学びたいと思ったんです!」
とにかく、お父様の為、ということを強調して言いました。
ここまで自分の為に、とお願いしているんですから、断るわけがありませんわよね。
すると案の定
「そうか......儂の為か......なら少し時間をくれ」
少し複雑そうな顔をしながらそう言ってくれました。
よしっ!これで留学に行けるのは確定したようなものですわ!
大きく載っているのはアルフレッド様の婚約者の方の写真でしたが、隣で優しく微笑むアルフレッド様の顔が頭にずっと残っていて、つい近くにいるお兄様に
「お兄様!私、この人と結婚したいですわ!」
と私が言うと
「はぁ?」
あからさまに私に話しかけられるのを嫌そうにしながら
「あぁ、そいつか」
と呟きました。
正直、私は兄弟に嫌われているということは自分でもわかっているつもりです。
皆、側室の母から生まれたのにお父様に可愛がられている私が気に食わないんです。
でも今はそんなことを気にすることなく
「お兄様、知っていますの!?」
とお兄様につい食い気味で聞くと
「気安くお兄様なんて呼ぶな、と何度言ったらわかるんだ」
案の定、お兄様は私のことを鋭い目で睨みつけてそう言いました。
私のことが気に食わないんだ、ということを再確認したと同時に自分の行いを思い出して
「す、すみません.........」
と縮こまると、それに満足したのか
「別にこの王子を知っている訳では無いが、王子の婚約者ができた女だから嫁に迎えようと思ったが断られた」
と教えてくれました。
「そうなんですね.........」
「まぁ、王子は婚約者のことを溺愛しているみたいだからな。お前ごときが婚約者になんてなれる訳が無い。諦めるんだな」
アルフレッド様がこの女性を溺愛している.....?
そんなの今だけで、この人よりも魅力的な人が現れたらすぐに乗り換えるに決まっていますわ。
そう思っていた私は、お兄様に
「そんなことわからないじゃないですか!」
と大きな声を出してしまいました。
そんな私の様子を見て本気だということが伝わったのかわかりませんが、私を思いっきりバカにしながら
「お前がこの王子の婚約者になれたら俺は地面に頭をつけて謝ってやってもいいぞ」
と言って、立ち去ってしまいましたわ。
普通なら、これで諦めてそこら辺の決められた人と婚約するんでしょうが、私の頭の中は、絶対お兄様に謝らせてやる。
私だって、本気を出したら1人の男性くらい簡単に虜にできるんですから!
という気持ちでいっぱいでした。
お兄様と別れてすぐに
「お母様!留学したいです!」
と言いに行きました。
こういうのは決めたらすぐに行動するのが一番ですからね。
ですが、お母様は
「......無理よ」
とだけ言って、その話を終わらせようとしています。
「なぜですか!」
「側室の娘が留学なんて出来るわけがないでしょう?」
そんな......。
なんで側室の娘だから、という理由だけで、私の行動が制限されるんでしょう。
お兄様はあんなに自由に遊んでいるのに......。
そう考えると、余計に諦められなくなって
「じゃ、じゃあ、どうやったら留学に行けますか?」
私がそうお母様に尋ねると、大きなため息をついた後に
「そうねぇ.......ハニーアが沢山勉強をして、誰よりも賢くなったら考えてくれるんじゃないかしら?」
とだけ言って、話は終わりました。
勉強、ですか........。
それなら私も出来ますわ!
そう思って、次の日からは勉強をひたすら頑張りましたわ。
そのおかげもあって、半年後には学年で2位にまで上げることが出来ました。
そして私が次にとった行動は
「お父様ぁ~、お願いがありますの」
お父様にお願いをしに行く、です。
私が必死に勉強している姿を見て、お母様も私が本気だということがわかったのか応援してくれるようになりましたの。
その時に教えてくれたのがお父様にお願いしに行く、ということですわ。
私に甘いお父様はニコニコしながら
「どうしたんだ?」
と聞いてきたので、早速
「私、留学に行きたいですわ!」
と本題を伝えるとお父様は物凄く悲しそうな顔をして
「.......儂の元から離れてしまうということか?」
と言いました。
まぁ、アルフレッド様と結婚することになったら離れることになりますが、ここでそんなことを言ったら反対されることくらい私にもわかっているので
「違いますわ!私はお父様の為に色んな国を見て、色んなことを学びたいと思ったんです!」
とにかく、お父様の為、ということを強調して言いました。
ここまで自分の為に、とお願いしているんですから、断るわけがありませんわよね。
すると案の定
「そうか......儂の為か......なら少し時間をくれ」
少し複雑そうな顔をしながらそう言ってくれました。
よしっ!これで留学に行けるのは確定したようなものですわ!
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