まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか？

20話

ユーフェミア様と一緒にお茶を楽しんだ次の日、

「マリアンヌ様！お茶会に参加できなくて申し訳ございませんでした......」

わざわざエリザベス様が謝りに来てくれましたわ。

なので

「いいのよ。エリザベス様も忙しいのでしょう？今度ゆっくりお茶しましょう」

と言ったのは良いんですが、そんなことよりエリザベス様の元気がないように見えますわね。

気のせいかもしれませんが、顔色も少し悪い気がしますし......。

昨日、何かあったんでしょうか？

そう思ったのでエリザベス様に

「元気がないですわ。何かありましたの？」

と尋ねると、今まで我慢していたのが一気に溢れてきたかのように

「マリアンヌ様ぁ.......」

と目に涙を浮かべました。

「ど、どうしましたの？」

あまりにも急な出来事に、戸惑いながら尋ねると

「実は家の方で色々ありまして......」

「やっぱり私と仲良くしていることについて？」

私がそう聞くと、ゆっくりと頷きました。

「そうよね......私のお父様は何も言ってこないけどエリザベス様のところは凄いですものね」

お父様は昔こそ敵対心が強くて大変だった、とお母様が言っていましたが、今はだいぶ収まりました。

でもエリザベス様のところは今もお父様に対して強く敵対視していて、お父様も厄介そうにしていましたわ。

エリザベス様もそれに頷きながら

「はい......しかもお父様はハニーア様の応援をしているようなんです」

「やっぱりそうですわよね......」

まぁ、想像できたこととはいえ、やっぱり少し悲しいですわ。

はぁ.....と思わずため息をつくと、それをどうとらえたのかわかりませんが

「本当に申し訳ございません......っ！」

とエリザベス様が頭を下げました。

そんなエリザベス様になるべく優しく微笑みながら

「いいのよ。エリザベス様には悪いけどそうだと思っていたわ」

「で、でも.....」

「気にしないで？それよりも、貴方が私といることによって、何かしらの仕打ちを受けるのなら少し考えなきゃいけないわ」

こればっかりは仕方のないことですし、エリザベス様は何も悪くないですもの。

でも、私と仲良くしてエリザベス様が家に居づらい状況なのであれば少し考えないといけませんし、距離をとるのも頭に入れておいた方が良いかもしれません。

「ありがとうございますぅ......」

と涙を流しているエリザベス様に

「ほら、泣かないで？私は大丈夫だから」

そう言ってハンカチを差し出していると

「あら？まさか自分のお友達を泣かせていますの！？酷い性格ですわぁ！」

はぁ.....厄介な人が現れましたわ。

確かにぱっと見では私がエリザベス様を泣かしているようにも見えますが、泣かせた相手にハンカチを差し出すわけないじゃありませんか。

ハニーア様の声が無駄に大きかったせいで少しずつ注目を集めていますし......。

本当に面倒ごとばかり持ってきますわね。

ハニーア様になんていうべきでしょうね？

変なことを言ったら上げ足を取られてしまいますし。

そう思っていると

「何を聞いてそう捉えたんですか？虚言癖でもあるのでしたら国に帰ったらどうでしょうか！」

一番最初に声を上げたのはエリザベス様でした。

「え、エリザベス様.....っ！あまり刺激されない方が......」

一応王族なので、というのもありますが、エリザベス様の父親が味方しているのにそんなことを言うのはまずいですよ！

そう思ったので止めたんですが

「だってこの人、私はアルフレッド様に好かれているからすぐに婚約者は変更されるだろう、とか、マリアンヌ様は私が王妃になるまでのフェイクだ、とか言って裏でコソコソと味方を集めてますのよ！」

「まぁ！それは初耳でしたわ」

初めて聞きましたね。

確かに最近は目立った味方集めはしていませんが、まさか裏でそんなことをしていたなんて......。

てっきり方法を変えてきたと思っていたんですが、それは気のせいだったんですね。

思わずハニーア様の方を向くと

「な、何よ！本当のことですわ！」

と顔を真っ赤にしていますわ。

アルフレッド様を好きになる人は自信家の人しかいないんでしょうかね？