まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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25話

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この静まり返った空気をどうしましょう、と考えていると

「お嬢様、ユーフェミア様が到着しました」

とてもいいタイミングで到着しましたわね。

正直ラッキーですわ。

内心そう思いながら

「わかったわ。ここに連れてきてちょうだい」

そうメイドに指示をすると

「あ、あの、マリアンヌ様」

エリザベス様が遠慮気味に声をかけてきました。

「どうしました?」

どうしたんでしょう?

あ、お手洗いでしょうか?

そう思っていると、エリザベス様は顔を赤くして

「今、私が言ったことはユーフェミア様には内緒で........」

なるほど。そっちでしたか。

「もちろんですわよ。わざわざ言いふらすようなことではないですしね」

というか、元々ユーフェミア様に言おう、だなんて思っていませんもの。

そんな心配はご無用ですわ。

ユーフェミア様が私のお部屋に来てから、皆で話をしたり、お母様と一緒にお茶会をしたりで、久しぶりに何も考えずに楽しめたような気がします。

ですが、そんな楽しさも消し去ってしまうほどのことが、こんなにすぐに起こってしまうなんて.......。



エリザベス様が我が家に泊まりに来て3日が経ちました。

ユーフェミア様は昨日で自分の家に帰ってしまったので、2人で学園に登校すると、なんだかいつもと様子が違うことに気付きました。

ザワザワしているといいますか、何かあったんでしょうか?

そう思って、近くにいた令嬢に

「どうしましたの?」

と尋ねると

「ま、マリアンヌ様」

なぜか私の顔を見て顔色を悪くさせています。

そして、

「ハニーア様が誘拐されたらしいんです」

「なんですって!?」

誘拐?いったい誰がそんなことを.......。

あぁ....つまり皆、犯人がわからないから、誰よりも誘拐するための動機のある私のことを疑っている、という状況でしょうか?

そんなこと、他国の王女にすれば大変なことになる、ってバカでもわかることですわよ。

それよりハニーア様はまだ捕まっているんでしょうか?それとも解放されている?

アルフレッド様なら何か知っているでしょうか?

そう思っていると

「マリアンヌ!良かった、エリザベス嬢も一緒か」

アルフレッド様が息を切らしてやってきました。

丁度いいですわ。

「アルフレッド様、何が起こっていますの?」

私がそう尋ねると、なぜか一度エリザベス様を見てから

「場所を移動しようか」

と温室に向かうことになりました。

外には護衛がいつも以上にしっかりと見張ってくれているので、誰も近付いてこないことを確認してから

「それで、今わかっていることを教えてくださいませ」

席についてそう尋ねると、アルフレッド様は真剣な表情に変わりました。

そして

「奴が誘拐された、というのは聞いたな」

「はい、聞きましたわ」

こんな時でも奴ですか、と言いたくなりましたが、一旦スルーですわ。

「実は誘拐犯はもう捕まえてあるんだ」

捕まえてある、ということはハニーア様は解放されているんですね。

とりあえず一安心ですが、

「でしたら、なぜこんなに騒ぎが大きくなっていますの?」

それが気になります。

王女が、しかも王太子の婚約者になりたいと言っているハニーア様が誘拐されるなんて、本来ならあってはならないことですわ。

しかも、ここまで噂を大きくさせるなんて......。

そう思っているとアルフレッド様は

「誘拐犯に依頼をした人がエリザベス嬢だと話しているんだ」

そう言ってエリザベス様を見つめました。



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