まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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26話

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アルフレッド様があまりにも強い視線でエリザベス様を見ていて、私も思わずエリザベス様の方を見ると

「違いますわ」

とエリザベス様ははっきりとした口調で否定をしました。

正直、それだけで信用できるか、と他の人は思うかもしれませんが、エリザベス様の顔を見ると、それが本当なんだというのはすぐにわかります。

それはアルフレッド様も同じで、ふぅ......と深く息を吸った後に

「試すようなことをしてすまなかった。本人に確認するまでは疑うことしか出来なくてな」

と頭を下げました。

一応、犯人がそう言っているのでしたら疑うのも仕方ないですわね。

エリザベス様も私と同じ考えで

「いえ、それは当然のことですわ」

と頷いています。

「マリアンヌもすまない。友人を疑うようなことをして」

「こればっかりは仕方ありませんわ」

正直、私が気になっているのはそんなことよりも

「それより、ハニーア様はいつ誘拐されましたの?昨日と一昨日は学園もお休みですわよね?」

「確か一昨日の夜に誘拐されて、昨日の朝に発見された、と報告されている」

なるほど.....でしたら依頼したのは一昨日よりも前ということですわね。

「ちなみにどこで見つかりましたの?」

これも意外と大事なことですわ。

エリザベス様を犯人に仕立て上げようとした人がわかるかもしれません。

そう思って尋ねると

「それが........」

なぜかアルフレッド様は言いづらそうにしていますわ。

あぁ....そういうことですか。

「なんとなく想像出来ましたわ。言ってください」

私がそう言うとアルフレッド様から返ってきた答えは

「マリアンヌの家の領地だ」

ということでした。

「そうですわよね.......どうりで皆が私を疑うような目をしていましたわ」

これで納得しましたわ。

全く、こういうときお父様は何も教えてくれないんですから、迷惑ですわね!

後で言っておかないとですわ。

そう思っていると

「だが、マリアンヌがもし誘拐を企んだとして、自分の領地に隠すか?と考えると自然にマリアンヌは白だと判断できる」

確かに、私がもし誘拐を企むなら絶対に自分の領地からは離れたところにしますわ。

だって、自分で犯人ですよ、って言っているようなものですもの。

「ですが他の方はどう思うでしょうか?私は今ハニーア様に一番迷惑をかけられていますし、自分の領地に隠すわけがない、という理由だけで私じゃない、なんて言っても説得力がありませんわ」

多分、これを機に我が家が気に食わないところは何かしらの文句をつけてくるでしょう。

もっと私が完全に白だということを証明できる何かがないといけませんわ。

そう考えていると

「それを言ったら私も皆の前でハニーア様に脅されるようなことを言われているで、共謀して誘拐した、なんて言われてもおかしくないですよね」

確かにその通りですわね。

ということは、私たちは身が潔白である、ということを証明するものが必要ですわね。

どうやって探すべきか.......。
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