まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか？

27話

どうやって身の潔白を証明しようか悩んでいると、アルフレッド様が

「ちょっと待て、エリザベス嬢が脅された、とはどういうことだ？」

と尋ねてきました。

「あら？聞いていませんの？」

そう聞き返すと、アルフレッド様は首を傾げています。

おかしいですわね。

ハニーア様なら喋っていそうなことですが、都合が悪くて話していないんでしょうか？

そう思っているとエリザベス様が

「私の家がハニーア様についたのは知っていますか？」

と話し始めました。

まぁ、当事者のエリザベス様が話した方が良いですわよね。

するとアルフレッド様は

「あぁ。それはあのバカが自慢するように言いふらしているからな」

あー.....やっぱり言いふらしていたんですか。

「ですが、私個人はマリアンヌ様の応援をしている、ということを伝えたら、ハニーア様はお父様に言いつけてやるわ、と私を脅してきたんですの」

エリザベス様が簡単に説明すると

「はぁ？仮にも他国の王族が、しかもこの国の王妃になりたいと騒いでいる奴がそんなこと言うなんて........」

元々わけのわからない行動をしますが、流石にこれはアルフレッド様も驚きのようですわ。

「ありえませんわよね」

ついつい、その時を思い出してため息をつくと

「頭が弱い奴は面倒ごとばかり起こすな」

つられたようにアルフレッド様も長いため息をつきました。

まぁ、確かに面倒事ばかりですわよね。

本当に勘弁して欲しいですわ。

そう思っていると

「それで、エリザベス嬢は家に帰ってから大丈夫だったか？」

エリザベス様のお父様がとても厳しいことは皆知っていますからね。

当然心配にもなりますわ。

なので

「あ、その日から私の家にお泊りしていますの。だから大丈夫ですわ」

と答えると、アルフレッド様は、なるほど......と少し考え事をし始めました。

何かまずいことでもあるんでしょうか？

そう思いながらエリザベス様と顔を合わせていると

「.......その間、2人でどこかに行ったりはしていないか？」

アルフレッド様が急にそう尋ねてきたので

「していませんわ。お母様とお茶会したり、家で雑談をしたりで楽しんでいましたもの」

と答えると

「そうか。わかった」

なぜか急に席を立ちあがりました。

なんですの？

え？別に変なことはしていませんわよね？

そう思って

「どうしましたの？」

と尋ねるとアルフレッド様はニヤリと笑いながら

「いや、まずは依頼をされた日付を誘拐犯に尋ねて、それがこの3日以内ならマリアンヌ達の身の潔白を明らかにすることが出来る」

「なぜですの？.......あっ！そうですわね」

そうでしたわ。

アルフレッド様に言われるまですっかり忘れていました。

そう思っていると、1人だけ置いてけぼり状態のエリザベス様は

「マリアンヌ様？何かありますの？」

と首を傾げています。

「えぇ、あまりにも違和感がないので忘れていましたわ」

もう、悩む必要なんて何もなかったですわ。

そうと決まれば

「お父様にも説明しておきますわね」

「あぁ、手紙を出すよりもその方が早いかもしれないな」

私とアルフレッド様がそう話している間にも、エリザベス様は頭にはてなマークが浮かんでいますわ。

でもこれで解決しましたわ。

はぁ......後は犯人捜しだけですわね。