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33話
しおりを挟む休憩も終わって、再び皆で手分けして資料を眺めています。
とりあえず私の読んだものに書かれているのは
誘拐犯の人達の証言で
依頼した人はエリザベス様の名前を名乗っていること、
依頼料金は一括で、しかもその場で支払っていたこと、
顔や身長は暗闇だったからあまりわからなかったこと、
ただ、依頼主は従者らしき人と2人で来ていたこと、
口調は明らかにどこかの貴族であろう口調だったこと、
誘拐した後の行動は細かく場所や時間まで指定してきたこと、
とまぁ、大体こんな感じでしたわ。
これを読んで思うことは依頼主は犯人になるような証拠や言動は全くしていないみたいですわね。
確実に私かエリザベス様を犯人に仕立て上げようという思いが伝わってきますわ。
読んでいて、あまり気分のよくなるものではありませんね。
そう思いながら、一通り読み終わったので顔を上げると、皆同じことを思っているみたいで難しい顔をしながら読んでいますわ。
すると
「マリアンヌは読み終わった?」
とアルフレッド様に聞かれたので、はい、とだけ返事をすると
「私も終わりましたわ」
「こっちも終わったよ」
とエリザベス様、お兄様の順番で顔を上げました。
皆、表情が曇っていますわね。
やはり犯人に繋がるものはなかったんでしょうか。
そう思っていると
「じゃあ、エリザベスから内容を簡単に教えて欲しい」
そう言われたので、私が読んだ資料に書いてあったのを簡単に説明しました。
「誘拐犯の話では何の情報も無しか」
お兄様がそう呟くと、皆ため息をついてしまいましたわ。
私が悪いわけではありませんが、なんとなく申し訳ない気分になりますわね。
次にエリザベス様の方は、当日の私たちの行動について書かれていたみたいですわ。
これは別に変なことも書かれていませんし、書かれている通りのことをしていたので何も反論などはありませんわね。
そして次にアルフレッド様の方はハニーア様の誘拐された当日の動きが書かれていたみたいですわ。
なぜかハニーア様は自ら下町に出て買い物をしていたみたいですわね。
あのプライドの高いハニーア様が平民と関わろうとするなんて意外ですわ。
誘拐されたのはその帰り道だったらしいですが、どうにも時間帯が気になりますわ。
「なぜハニーア様はそんな遅くまで下町にいたんでしょう?もう一般的な夕飯の時間は過ぎていますのに.......」
私がそう呟くとエリザベス様が
「誘拐されるってわかっていて、わざと遅い時間まで外にいたとは考えられませんか?」
とアルフレッド様に尋ねています。
それを聞いたアルフレッド様は
「つまり、自分から誘拐されに行った、ということか?」
と驚いていますね。
お兄様は
「ありえない話ではないけど.........」
そう言って、言葉を止めました。
お兄様が言いたいことはわかりますわ。
誘拐されて、王妃になれるわけがない、ということに引っかかってますのよね?
しかも、ハニーア様が自ら依頼しに行くとは考えられません。
うーん.....もう少し考えてみる必要がありますわね。
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