まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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38話

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エリザベス様も落ち着いて、お兄様が帰ってきたのは夕食を食べている途中でした。

私とエリザベス様はお兄様が席に着くとすぐに

「お兄様、ありがとうございました」

「ルイス様、本当にありがとうございます」

と2人でお礼を言うと、お兄様はニッコリと微笑みながら大丈夫、と言った後に

「それより、倒れちゃったんでしょ?医者には診てもらったの?」

エリザベス様を心配そうに見ていますわ。

すると、エリザベス様は少し顔を赤くしながら

「はい。おかげさまで.......」

そう言って下を向いてしまいましたが、その後の

「そっか、なら良かった」

と言ってホッとした表情をしたお兄様の顔を見ていないなんて、勿体ないですわ!

なんでしょう?

会って間もない2人ですが、流れる空気からは幼馴染のような生暖かい雰囲気がしますわ。

もしかしてお兄様もエリザベス様のことを.......?

そう思っていると、お兄様が

「マリアンヌとエリザベス嬢は調査が終わるまではゆっくりしてて?学園の方も休んで大丈夫だって許可をもらったから」

そう言って、エリザベス様を見つめています。

学園をお休みですか.......。

確かに良い提案ですが、エリザベス様はどう答えるでしょう?

まぁ、想像はつきますけどね。

なんて思っていると、エリザベス様はお兄様の顔をしっかりと見つめて

「いえ、ありがたいお話ですが、最後まで私も手伝いますわ。今回は私にも関係のある話ですし」

そうハッキリと言いました。

そうですわよね。

さっきエリザベス様は覚悟を決めたばかりで意思は揺らぎませんわ。

するとお兄様は

「うーん.....本当はゆっくり休んで欲しかったんだけど.......」

そう言いながら苦笑しています。

私もさっきの話を聞かなかったらお兄様に話に賛成していたでしょうね。

「マリアンヌはどう?」

あら?お兄様が急に私に話を振ってきましたわ。

なんとなくですが、エリザベス様を休ませて欲しい、みたいなことを言って欲しいんですよね?

それはわかっていますが、

「私はエリザベス様が頑張ると言ってるんですから助けてあげたいですわ」

そう言ってニッコリとお兄様に微笑みました。

こういうときに支えになってあげない人なんて友達ではありませんわよね。

私の答えにお兄様は

「まぁ、そう言うとわかってたけどね」

なんて言いながら肩をすくめています。

わかってて言うお兄様もどうかと思いますけどね。

なんて思っているとお兄様は

「まだ解決もしてないから、色々とストレスがかかるかもしれないよ?それでも大丈夫なの?」

とエリザベス様に尋ねています。

余程心配なんでしょうね。

全く......私のことも心配して欲しいものですわ。

「えぇ、もちろんですわ。私だけ逃げるのはおかしい話ですもの」

「わかった。じゃあ無茶はしないようにね」

なんだか2人を見ていると両思いなのでは?なんて思ってしまいますが私の勘違いなんでしょうか?

あぁ....こんなことがなければ今すぐにでも問い詰めたいところですわ!



その後、他愛のない話をしてそれぞれの部屋に戻ることになりましたが

「お兄様、少しお話がありますの」

そう言って、私はお兄様のことを引き留めました。

少し聞きたいことがありましたのよ。

不思議そうな顔をしているお兄様に単刀直入に

「どこまでわかっていますの?」

と尋ねると、お兄様は苦笑しながら

「やっぱりマリアンヌは気付いてたか」

そう言って立ち止まりました。

噂が広まり始めてもう何日も経っているのに、お兄様が何も調べていないわけがありません。

だから聞いてみましたが、やっぱり何か知っていますわね。

お兄様が知っていることを全て聞くと、想像していた通りの答えでした。

なので

「なるべく早めにケリをつけたいですわね」

そう呟くと

「そうだね。確実に証拠が掴めたら来週にでも問い詰めるつもりだよ」

なるほど......早くて来週。遅かったらいつになるか、というところですか。

「わかりましたわ」

とお兄様の言葉に頷いて、とりあえず私も自室に戻ります。

こんなことに巻き込んでしまったエリザベス様を一刻も早く解放しないといけませんわ。

私もそろそろ動いた方が良いですわね。

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