81 / 314
80話
しおりを挟むハーレミアの質問に、どこからどこまで答えていいものかと、少し考えているとお母様が
「まぁ、ハーレミアも結構下手な質問をするのね」
うふふ、と笑いながらそう言いました。
ハーレミアは、そうかなぁ?と首を傾げていますが、どんな風に過ごしていたか、なんて一言で答えられるわけがないですわよ。
だって、色んな事が起こりすぎましたもの。
元皇帝の暗殺事件から始まり、出来ることなら国に帰ろうと思ったのに皇妃にさせられ、アルフレッド様の女性問題はいまだに片付いていない。
ですが、従者たちとはいい関係を築けているので、そこは言っても良いことですわね。
そう思いながら、とりあえず
「そうですわね........多分、お義母様とあまり変わりませんわよ?皇妃としての仕事をして、皇帝とお話して、寝るを繰り返していますわ」
と当たり障りのない答えを返すと、ハーレミアはなんだか面白くなさそうに
「えぇ........」
という反応ですわ。
そんな反応をされても、本当のことですからね。
特別なことは何もないと思いますが。
そう思っていると
「側室の話はもう出ているの?」
とお母様に聞かれましたわ。
まぁ、気になりますよね。
一応、私が皇妃なのは変わりませんが、お母様は側室という立場ですし。
なので
「えぇ、もう候補が後宮の方で過ごしていますわ」
とだけ答えると、あからさまにお母様の表情が変わりましたわ。
急にどうしたんでしょう?
思わずお母様の反応に首を傾げていると、話を聞いていたハーレミアが
「でも、皇帝って女好きですわよね?今から後宮に、って大丈夫ですの?」
なんだか心配そうな顔をして、そう聞いてきましたわ。
なるほど......お母様も口には出していませんが、多分ハーレミアと同じことを思ったんでしょうね。
確かに、噂しか聞いていない人からしたら皇妃である私よりも先に、違う人との子供が出来てしまうのでは?ということを気にしているんですね。
まぁ、そう思われても仕方ありませんわ。
お母様とハーレミアが知っているアルフレッド様は女好きのだらしのない人ですものね。
アルフレッド様が変わる前までは私も同じ反応をしていましたわ。
だからこそ、候補を迎える際に誓約書を作ったんですけどね。
心配そうに私を見ている2人に
「それは大丈夫ですわ。候補の間に出来た子供は王位継承権は一切ない、私が認めた子供以外王族としない、ということはしっかりと約束していますもの」
そう言ってニッコリと微笑むと、あからさまにホッとした顔になりましたわ。
私のことを心配して言ってくれているのはわかるんですが、アルフレッド様は信用がありませんわね。
一応、今回のことも全て計画をしたのはアルフレッド様なのに、なんだか可哀そうにも思えますわ。
.....といっても、自業自得なんですけどね。
さて、とりあえずお母様たちの質問はこれで終わりにして欲しいですわね。
もっと詳しく聞かれたら私もどう答えていいのかわからなくなりますし。
うっかり本当のことを全て言ってしまったら、大変なことになりますもの。
そう思っていると
「皇妃様........っ!」
と息を切らしたメイドが駆け寄ってきましたわ。
その様子を見れば想像できますが、緊急事態、という感じかしら?
はぁ......いったい誰が問題を起こしましたの?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5,292
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる