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104話
しおりを挟む次々とスープが運ばれてくる中、ワインも到着しましたわね。
持ってきてもらったのに悪いですが、スープを飲み終わり次第開ける、ということになりましたわ。
さて、スープは【ジャガイモのポタージュ】ですわ。
結構定番な料理ということもあって、人によって味が違うんですが料理長の作るのはなぜか口に合いますのよね。
私がそうだということは皆の口にも合うと思いますわ。
なんて思っていると、レオンお兄様はワインが楽しみで仕方ないのか味わう暇もなく一気に飲み干していますわ。
そんなに急がなくてもお酒は逃げることなんてありませんのに。
流石にこれにはクリストファーお兄様が
「家じゃないんだからゆっくり食べろよ」
と苦笑してしまっています。
まぁ、そういうクリストファーお兄様だって普段よりもスープのペースが速いんですが気付いていないんですのね。
つい、クスッと笑いそうになりましたがぐっと堪えて、お母様にも
「お母様も、たまには一緒に飲まれますか?」
と聞いてみました。
やっぱり国に戻ると仕事があったりで、飲む機会がないのでこういうときくらいは、と思いましたの。
するとお母様は
「そうねぇ.......どうしようかしら?」
と頬に手を当てて悩んでいますわ。
沢山飲んで、と言っているわけではありませんし、一杯くらい良いと思いますのよね。
それに、料理長に聞いてメインにあうお酒を選びましたし、せっかくだから飲んで欲しいですわ。
そう思っていると、レオンお兄様とクリストファーお兄様も
「戻った時は飲む機会がないんだし、たまにはいいんじゃないですか?」
「俺もそう思うよ」
と私の言葉に頷いています。
ですが、まだお母様は悩んでいますわね。
前にお父様に聞いた時、お母様はお酒を飲める方だ、と聞きましたのに、なぜそんなに悩んでいるんでしょう?
そう思っていると、まさかのアルフレッド様までもが
「まぁ、せっかくだし今日くらいは飲んで行ったらどうだろうか?」
とお母様に言っていますわ。
これは断りにくくなりましたわね。
ですが、いいタイミングですわ。
すると最後にはハーレミアまでもが
「お母様がのし酔っ払っても私が担いで部屋に運びますわよ!」
そう言って、腕をまくっていますわ。
令嬢としてはあり得ない行動ですが、ちゃんと外では行動をわきまえる子なのでそれほど、この空間に慣れてきた、ということですわよね。
ハーレミアの発言にキョトンとして皆がしている中、
「ハーレミア、流石にそれは無理だと思うわ」
と私が言うと
「そうかしら?」
そう言って首を傾げています。
流石に重たいドレスを着て、お母様を担ぐなんて.....5歳の子供を抱っこするのもしんどいことですのに。
ですが、ハーレミアの発言のおかげでなんだか一気に和やかになりましたわね。
流石ですわ。
さて、皆から説得されたお母様は
「そうね......そこまで言うなら貰おうかしら?」
と皆で飲むことを決めましたわ。
まさかこれほどまでに、皆から進められるとは思っていなかったので私も驚きましたがお母様が一番驚いているでしょうね。
そう思いながら、カーラにお母様にもワインを、とお願いしていると、隣に座るハーレミアが
「はぁ......こうなるなら私もお酒を飲みたいですわ」
と呟いたのが聞こえてきました。
6人中、5人がお酒を飲めるような状況ですからね。
そう思うのも無理ありませんわ。
苦笑しながら
「そんなことを言っても年齢的にまだ早いですわよ」
そう言うと
「それはわかっているんですけど........」
と言ってハーレミアは頬を膨らませています。
まぁ、私もこの後のことがあるのでお酒は飲めませんし、ハーレミアの気持ちはよくわかりますわ。
それに、私の場合は飲めるのに我慢しないと、なので余計に複雑な心境になります。
まぁ、仕方がない事なんですけどね。
苦笑しながら、ハーレミアに
「私とハーレミアはぶどうジュースでも貰いましょう」
そう言うと
「お姉様と一緒ですの?」
と目を輝かせていますわ。
私も飲むと思っていたので、嬉しいんでしょう。
でも、同じジュースを飲む、というだけでそんなにも目を輝かせてくれるのは私も嬉しいですわね。
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