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261話
しおりを挟むギール様と話をしているうちに、フェルマー様の普段のやりかたといいますか、ギール様にどのような言葉をかけて来たのか、わかってきましたわ。
まぁ........相当腹立たしい内容でしたわよ。
なんでそのようなことを言われて、皆ギール様を助けないのか不思議なくらいに。
基本的には
「お前は出来損ない」
「三男に生まれた子息は皆同じような扱いを受けている」
「ここから出ても、世間知らずのお前は生きていけない」
という言葉をかけられている、とのことですが......。
私がそのようなことを言われたら、フェルマー様との縁を切っていますわよ。
それくらい腹立たしい言葉ばかりですわ。
ただ、長年同じことを言われ続けると、そうなのかもしれない、と思ってしまいますわよね。
確かにギール様は世間知らずなところがあるみたいなので、皆同じ扱いを受けている、と言われると疑うこともなく信じてしまうでしょうし。
それに、そう言っているからこそ、フェルマー様はギール様のことを外に出したくなかったんでしょうね。
そう考えると、私とギール様がこうやって話をしているのはフェルマー様にとって、物凄く誤算なんじゃないでしょうか?
フェルマー様の考えとしては、私かギール様の両方が警戒して話をしない、という感じだったはずです。
そうじゃなきゃ、同じ牢屋の中にいれるとは思えませんもの。
それか、そのようなことは何も考えていなくて、普段からここにいるギール様をそのまま放置してしまっただけなのか。
まぁ、どっちでもいいですわね。
ギール様の話の中で一番許せなかったのは
「その.......兄弟も母上も同じようなことを言われているんです。それに、最近は母上がここに来ることも少なくなって.......」
と泣きそうな顔をしながら言われたときでしたわ。
確かに兄弟や母親にも随分と酷い扱いをしている、というのは聞いていましたが、自分の妻や跡取りにも同じようなことを言っていますのよ?
あり得ませんし、離婚してもいいくらいのことですわよね!
ただ、貴族の婚姻、というのは平民と違って婚姻に色んなことが関わってきますわ。
婚姻によって利益もあれば、かかっている金銭的な面も相当な額になります。
私の記憶では、有責と決まった方が婚姻によって受ける利益を慰謝料として支払って離婚できる、とは聞いたことがありますが........年数が長ければ長いほど、相当な額になって諦める人が多い、と聞いたことがありますわね。
それから、出戻りした、という子息や令嬢はどこにも嫁ぐことが出来ませんし、良くて愛人、悪くて家に居座って亡くなる、ということが多いらしいですわ。
そう考えると、離婚したところで損失の方が大きい、ということですわよね。
うーん.....どうにかしてフェルマー様一家の人達を救えたらいいんですが.......難しい話ですわね。
なんて思いながら、ギール様の話を聞いていると、急にギール様が
「しっ!誰か来ます!」
と小声で私に教えてくれましたわ。
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