298 / 314
298話
しおりを挟むそして迎えた処罰を言い渡す日。
貴族の人達はどのような罰が下るのか把握はしていませんが、皆が不安そうな顔をして椅子に座るアルフレッド様のことを見ていましたわ。
あ、中にはアルフレッド様の横にいるリオン様を見ている令嬢もいますわね。
あの喋り方なのですっかり忘れていましたが、一般的に見てリオン様はイケメンの部類に入るので仕方のない事ですが.......赤の間で、と考えたら控えて欲しい、と思ってしまいますわ。
なんて思っていると、ゆっくりと夫人とフォルン様が赤の間に入ってきましたわね。
2人は牢屋の中に入っていないので、しっかりとした服を着ていますが、やっぱり黒い物で統一していますわ。
そんな2人を眺めながら、チラッと傍観席の方を見ると、やっぱりフェルマー様の家族、というだけで相当恨みを買っているのがわかりますわね。
今までフェルマー様の言いなりのように動いていた人だって中にはいるはずなのに、全員が夫人とフォルン様に鋭い視線を向けていますわ。
はぁ......なんだか複雑な気持ちになりますわね。
なんて思っていると、隣にいるアルフレッド様がスッと立ち上がって、
「この者たちの罪はー.....」
と話始めましたわ。
あ、忘れるところでしたが、前皇帝と前皇妃が来ていることは皆知らないので、今は別室で待機してもらっていますの。
まぁ、一番最後に前皇帝が皆に言いたいことがある、と言っていたので、最終的にはバレてしまうんですけどね。
なんて思いながら、アルフレッド様の話を聞いていました。
さて、話を戻しますが、夫人とフォルン様の罪は、フェルマー様の行動を止めることなく傍観し続けていた、ということですわ。
ここに集まった貴族達は、皆フェルマー様の家族が全員で共謀して行ったことだ、と勘違いしている人もいる人が多いんですのよね。
その証拠に、今も罪を読み上げたときに傍観席がざわついていますし。
聞いている人からすると
「え?それだけ?」
という感じでしょうか?
そう思っていると、最後にアルフレッド様が
「2人は平民降格、とする」
という言葉で話を締めくくったのが聞こえてきしたわ。
そうなんですの、この2人は特に悪いことをしていないので、罰金か、降格か、で良いと思っていたんですが、こんなにも大きな騒ぎを起こした張本人の家族が、貴族でいることを納得しない人もいると思いましたのよね。
それこそ、フォルン様が一生懸命頑張っていたとしても、妬みや僻みが絡んで
「でもあいつってー......」
となるのが貴族ですわ。
ですが、平民だったら最初は犯罪者の息子だ、嫁だ、と避けられるかもしれませんが、2人がしっかりと道を踏み外さずに生きて行けばしっかりと評価してもらえます。
だったらどちらを選ぶか、と考えたら....即答ですわよね。
なんて思いながら傍観席を見ると、思った以上に重たい罰だったので皆戸惑っているんでしょう。
少し騒がしくなっていますわね。
ただ、夫人とフォルン様はなぜこのような罰にしたのかしっかりと理解してくれたみたいで、2人揃って
「「ありがとうございます........」」
聞こえるか聞こえないか、くらいの小さな声ですが深々と頭を下げて、赤の間を後にしましたわ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5,293
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる