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「どうでした?」
「ん。姉妹で通う事にしたんだ…それよりダンジョンの素材、買い取って貰えますか?」
「ああ…ビックアントの甲殻ですか?」
「ううん、アーマードボアの皮とか、ブレードディアの角とか」
「え…あの、深淵の森のダンジョンですよね?」
「他にあるんですか?」
「だ…だってあそこは4階層までしかなくて、旨味のないダンジョンだから…」
「モコモコのお肉は美味しいですよね?」
「ええ!それはもう…じゃなくて!まさか5階層に行けたんですか?!」
「少し静かにしてもらえるか?我らが注目されて危険だ」
冒険者達が、いつの間にか集まってきている。これはあれですか?新人冒険者に対するお約束の…
「ごめんなさい!別室を用意するのでついてきて下さい!」
ちょっと違うね。
「なんだよ、情報を隠してたのか?てか、まさか本当に階段を見つけたのか?」
「おい!俺達にも聞かせろよ!」
「情報はギルドから出すので、道を開けて下さい!」
小さな私は埋もれてしまったので、ランスが抱き上げてくれた。
そのまま二階に上がり、小部屋に通される。
「少しお待ち下さい」
「一体どういう事なんだ?」
「さあ…?みんな階段を見つけてないとか?」
それはないか。罠とかそういう物を見つける専門職もある位だしね。
だけど、間もなく現れたギルドマスターと受付のお姉さんの話ではそのまさかだった。
「…そうか。まさか上に押し上げるとは。しかし、そんな小さな子供をダンジョンに連れて行くのはどうかと思うが」
小さい言うな。
「私も戦えるもん!魔法も得意だし!」
「そ…そうか?とりあえず階層の情報と、素材があれば出してもらえるか?」
13階層までの情報と、素材を出した。
「なるほど…そして空納も使えるのか」
「空納?」
「今やって見せただろうが。何もない所に物を入れる魔法だ」
収納庫じゃなくて?名前が違うだけかな?
「便利な魔法だよな。鞄要らずだ。まあ、一部魔物や賢者様が扱える収納庫程じゃないが。例えばこの辺だと稀に見る炎鳥とか、内部の時間が止まる魔法もあるらしいな」
時間が止まらない空間か…私の感覚だとアイテムボックスは時間も停止したから、普通に止まる物だと思ってた。
「だが、魔力には限りがあるだろう?それに、魔法の才能があったとしても、森に連れて行くのさえ危ないと思うんだが…」
「私、そこそこ強いつもりだし。お父さんには敵わないけど」
「ダンジョンではグループ内の誰が倒しても経験値は一定数貰えると聞くが…」
「へえ。そうなんですか?」
「だから無理にでもダンジョンに通ったんじゃないのか?」
「ううん。むしろ…」
付き合わせているのは私の方だ。森で魔物を狩る方がお肉的にも全て手に入るし、そっちの方が自然だろう。
最も、料理の味を覚えてしまったみんなは今更生肉だけの生活には戻れないだろうけど。
「情報は感謝する。だが、冒険は自己責任だからな」
勿論。分かっている。
食べられない物ばかりだったけど、結構な金額になった。特にブレードディアの角は喜ばれた。
「凄いな。低ランクの冒険者にしておくのが惜しい位だ。早い所ランクを上げて、高ランクの依頼を受けられるようになってくれ。勿論、ダンジョン探索が好きならその素材の納品だけでもランクが上がる。ギルドに貢献した事になるからな」
「ワンランク上げますか?」
「しかし…Fだろ?2ランクだ。残念ながら俺の一存で上げられるのは2ランク迄だが、ブラックワニーを倒せるなら、すぐに上がるだろう」
「では、カードを…えっと、この子もいいんですか?」
そりゃ、くっついて行ってるだけだと思われてる私のランクは上げずらいよね。でも何の実力もない人が経験値の為だけにくっついて行けるほど甘い所でもない。
「Dならまあ、いいだろう。大掛かりな討伐でも後方支援だし、下手なDランクよりレベルは高そうだ。ただし、無茶はするなよ」
「しませんよ」
過保護な保護者が無理はさせてくれないもんね。
それより、シュガーが辛そうだ。こんな所で人化が解けたら大変だ。
「じゃあ、私達はこれで」
階段を降りると、待ち構えていた冒険者達が集まってくる。
「ギルドからの発表を待って下さい。私達は予定があるんです!」
それでも諦めてくれない冒険者には、ランスが無言の威圧を放った。シュガーだけはどさくさに紛れているうちに影に回収した。
(酷い目にあったにゃ)
「あれだけの人に集まって来られると、どう対処したらいいか分からなくなる」
「威圧位なら平気だよ。あそこで説明しても後が面倒になるだけだし、みんなの視線からは見えなくなる私を守ったんだし」
服屋に戻った私達は、シュガーが試着して喜んだ物を買った。
(にゃ…ええと、にゃーが倒して手に入れた素材よりも…上?下?でも戦ったのはにゃーだけじゃなくて…?)
あ、混乱してる。
(足し算と割り算と引き算が分かれば解ったかもねー?)
(単純に3で割っても割高だけど、メイの言うようにこれから頑張ればいいんじゃないかなー?)
(フレイム…そこはシュガーに教えながら計算させないと)
む…シュガーだけじゃなくてランスも混乱してる。
まあ、教えてから日の浅いフレイムが理解してる方が凄いんだけど、学校の費用まで計算に入れなくても…
ブーツも性能で選んだから少し割高だけど、鑑定で稼いだお金には程遠い。
私としてはシュガーは女の子なんだから、お洒落して欲しいし、シュガーは種族のせいもあるのか、品のある可愛いらしさだから
余計に可愛いくしていて欲しい。
何というか、精神的に疲れた。こういうのは耐性には入らないのかな…
「ん。姉妹で通う事にしたんだ…それよりダンジョンの素材、買い取って貰えますか?」
「ああ…ビックアントの甲殻ですか?」
「ううん、アーマードボアの皮とか、ブレードディアの角とか」
「え…あの、深淵の森のダンジョンですよね?」
「他にあるんですか?」
「だ…だってあそこは4階層までしかなくて、旨味のないダンジョンだから…」
「モコモコのお肉は美味しいですよね?」
「ええ!それはもう…じゃなくて!まさか5階層に行けたんですか?!」
「少し静かにしてもらえるか?我らが注目されて危険だ」
冒険者達が、いつの間にか集まってきている。これはあれですか?新人冒険者に対するお約束の…
「ごめんなさい!別室を用意するのでついてきて下さい!」
ちょっと違うね。
「なんだよ、情報を隠してたのか?てか、まさか本当に階段を見つけたのか?」
「おい!俺達にも聞かせろよ!」
「情報はギルドから出すので、道を開けて下さい!」
小さな私は埋もれてしまったので、ランスが抱き上げてくれた。
そのまま二階に上がり、小部屋に通される。
「少しお待ち下さい」
「一体どういう事なんだ?」
「さあ…?みんな階段を見つけてないとか?」
それはないか。罠とかそういう物を見つける専門職もある位だしね。
だけど、間もなく現れたギルドマスターと受付のお姉さんの話ではそのまさかだった。
「…そうか。まさか上に押し上げるとは。しかし、そんな小さな子供をダンジョンに連れて行くのはどうかと思うが」
小さい言うな。
「私も戦えるもん!魔法も得意だし!」
「そ…そうか?とりあえず階層の情報と、素材があれば出してもらえるか?」
13階層までの情報と、素材を出した。
「なるほど…そして空納も使えるのか」
「空納?」
「今やって見せただろうが。何もない所に物を入れる魔法だ」
収納庫じゃなくて?名前が違うだけかな?
「便利な魔法だよな。鞄要らずだ。まあ、一部魔物や賢者様が扱える収納庫程じゃないが。例えばこの辺だと稀に見る炎鳥とか、内部の時間が止まる魔法もあるらしいな」
時間が止まらない空間か…私の感覚だとアイテムボックスは時間も停止したから、普通に止まる物だと思ってた。
「だが、魔力には限りがあるだろう?それに、魔法の才能があったとしても、森に連れて行くのさえ危ないと思うんだが…」
「私、そこそこ強いつもりだし。お父さんには敵わないけど」
「ダンジョンではグループ内の誰が倒しても経験値は一定数貰えると聞くが…」
「へえ。そうなんですか?」
「だから無理にでもダンジョンに通ったんじゃないのか?」
「ううん。むしろ…」
付き合わせているのは私の方だ。森で魔物を狩る方がお肉的にも全て手に入るし、そっちの方が自然だろう。
最も、料理の味を覚えてしまったみんなは今更生肉だけの生活には戻れないだろうけど。
「情報は感謝する。だが、冒険は自己責任だからな」
勿論。分かっている。
食べられない物ばかりだったけど、結構な金額になった。特にブレードディアの角は喜ばれた。
「凄いな。低ランクの冒険者にしておくのが惜しい位だ。早い所ランクを上げて、高ランクの依頼を受けられるようになってくれ。勿論、ダンジョン探索が好きならその素材の納品だけでもランクが上がる。ギルドに貢献した事になるからな」
「ワンランク上げますか?」
「しかし…Fだろ?2ランクだ。残念ながら俺の一存で上げられるのは2ランク迄だが、ブラックワニーを倒せるなら、すぐに上がるだろう」
「では、カードを…えっと、この子もいいんですか?」
そりゃ、くっついて行ってるだけだと思われてる私のランクは上げずらいよね。でも何の実力もない人が経験値の為だけにくっついて行けるほど甘い所でもない。
「Dならまあ、いいだろう。大掛かりな討伐でも後方支援だし、下手なDランクよりレベルは高そうだ。ただし、無茶はするなよ」
「しませんよ」
過保護な保護者が無理はさせてくれないもんね。
それより、シュガーが辛そうだ。こんな所で人化が解けたら大変だ。
「じゃあ、私達はこれで」
階段を降りると、待ち構えていた冒険者達が集まってくる。
「ギルドからの発表を待って下さい。私達は予定があるんです!」
それでも諦めてくれない冒険者には、ランスが無言の威圧を放った。シュガーだけはどさくさに紛れているうちに影に回収した。
(酷い目にあったにゃ)
「あれだけの人に集まって来られると、どう対処したらいいか分からなくなる」
「威圧位なら平気だよ。あそこで説明しても後が面倒になるだけだし、みんなの視線からは見えなくなる私を守ったんだし」
服屋に戻った私達は、シュガーが試着して喜んだ物を買った。
(にゃ…ええと、にゃーが倒して手に入れた素材よりも…上?下?でも戦ったのはにゃーだけじゃなくて…?)
あ、混乱してる。
(足し算と割り算と引き算が分かれば解ったかもねー?)
(単純に3で割っても割高だけど、メイの言うようにこれから頑張ればいいんじゃないかなー?)
(フレイム…そこはシュガーに教えながら計算させないと)
む…シュガーだけじゃなくてランスも混乱してる。
まあ、教えてから日の浅いフレイムが理解してる方が凄いんだけど、学校の費用まで計算に入れなくても…
ブーツも性能で選んだから少し割高だけど、鑑定で稼いだお金には程遠い。
私としてはシュガーは女の子なんだから、お洒落して欲しいし、シュガーは種族のせいもあるのか、品のある可愛いらしさだから
余計に可愛いくしていて欲しい。
何というか、精神的に疲れた。こういうのは耐性には入らないのかな…
応援ありがとうございます!
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