83 / 166
6歳
しおりを挟む
今日で私も6歳になった。
そうして、もうすぐ夏休みも始まる。
今年は、深淵の森の向こう側にある、もふもふの国に…じゃなくて、獣人の国に行くつもり。
折角異世界転生したのに、ちゃんとした獣人さんは冒険者のクマゴローさんだけとか、寂しすぎる。エルフ等の妖精族には滅多に会えないみたいなので、まずは獣人の国に。
「という訳でゲートはお願いね」
「という訳…どういう訳なのか」
「あのね、ランス。耳と尻尾のもふもふはときめきなんだよ。神聖な物なの」
「まあ、良いではないか。我らは主の望みを叶える為にいる」
そこまで言われちゃうと、気恥ずかしいな。
シュガーとフレイムが帰って来た。
「稲刈り行って来たにゃ!」
「見てなの。黒い米なの」
えええっ!黒米も出るんだ…だとしても物凄くレアだよね。
今まで毎日のように稲刈りしてもらってたのに初めてだし。
これはそのものと、ご飯と一緒に炊いた物を出荷しよう。
いつか雑穀米も食べたいな。
授業が終わり、明日から長期の夏休みに入る為、今までは大きなバッグに荷物を入れて持って帰った生徒が、今回は二割程の生徒が空納に荷物を入れる。
「今年もメイはどこかに行きますの?」
「うん。冒険者は稼ぎ時だからね」
「でもメイのパーティーにはAランク冒険者もいますし、その…頑張り過ぎなくても良いと思いますの」
「うん。時間が空いたらクラスのみんなとも遊びたい。2ヶ月もあるもんね。リアのお家にも行ってみるよ」
「わ、私は進学するので、そんなに暇はありませんけど、息抜きも、必要だと思いますし」
「うん。でも予定合わなかったらごめんね」
「べ、別に気にしませんわ!」
進学するなら、来年からはリアは王都だろう。商人や官僚、騎士を目指す者はこの町からいなくなる。
かくいう私も、本格的な冒険者活動を始める。まあ…10歳になるまではランクアップはないんだけどね。
「僕は深淵の森ダンジョンを探索する予定なんだ」
「そうなんだ。トールは何階層まで行ったの?」
「5階層。甘水は安定した値段で引き取って貰えるし、メイのお陰で空納も覚えたからね。メイは何階層まで行ったの?」
「それは…秘密」
「もふもふはトップパーティーだもんね」
「食い意地が張っているとも言うけどね」
だって米が只で手に入るのだ。餅米も。
でもそろそろボスに挑んで、21階層を目指したい所だ。
いい加減熊さんと戦うのも慣れてきたし、ヤブラン達がいればボス戦も問題ないだろう。レベルも上がったしね。
帰り道、夏野菜を買って帰る。甘水がダンジョンから出たそのままの小瓶に入って売られている。
まだ、蜂蜜は出ていないみたいだな。15階層、タケノコは厄介だけど、香辛料も採れるし蜂蜜も手に入る。かなり美味しい階層だと思うんだけどな。
「うにゃ…まだ買い物するにゃ?」
フレイム以外のもふもふ達は、暑さが苦手みたいだ。
シュガーに、ハンカチを氷らせて渡し、なるべく新鮮な野菜を選ぶ。
「こらシュガー!乙女がそんな事しちゃだめだよ!」
顔を拭いた後に、首の所からハンカチを入れて体を拭き始めた。
「乙女にゃ?」
「恥ずかしく…ないんだっけ」
今の姿は仮の姿。通常は服なんて着ないし、うちの子達全員に言える事だけど、羞恥心がない。
こればかりは私が注意するしかないのかな。
亜空間移動で聖域の湖の側に戻って驚いた。
ランスから犬かきを教わっていたのはいい。結局泳ぎを教える暇はなかったから。
でも何で男性体のヤブランで、アロカシアの為に作った水着を着てるの!
「主!我も泳ぎを覚えたぞ!」
「今の問題はそれじゃないー!水着はアロカシア用に作ったのに、どうしてヤブランが着てるの!」
「…む?海には魔物もいるから、ヤブランの方が良いと思ったのだが…泳ぐ為の服ではないのか?」
「それは女性用なの!」
ヤブランの姿が、一瞬でアロカシアになる。
確かに、どっちの姿もアロカシアにとっては仮の姿だから、区別する方が間違っているのかもしれないけど…
「済まない。だがここの湖以外では普通に魔物がいるから、魔物と戦う事になるなら、ヤブランの方が良いと思ったのだ」
「そっか…ごめんね。私もそこまで考えてなかったよ」
「魔物のいる海や川にこのような薄着で入る者もいないし、参考になる者もいなかった」
「私のミスだよ。ごめんね。男性用で作るから」
布のイメージは覚えている。形は…あ。無理だ。結界に負ける。
「ごめん…結界の上から服は着られないんだ」
「いや、我には結界など要らないのだが」
…あー。そうだったね。
「む…では俺には作って貰えないのか?」
「ランスも人化して泳ぎたい?その前に結界を体にぴったり添わせるイメージで発動できないと危険なんだけど」
「そもそも、そのように結界を張って水中に潜っても、人前ではやらぬ方がいいのだから、意味ないのでは?」
確かに。結界を張って入らないと特に海の中は危険だし、常時幾つも魔法を発動しないといけないから、出来る人はあんまりいないかも。無詠唱じゃないと無理だから余計にね。
海で遊ぶ時は人に注意だね。
「にゃーは濡れるの嫌にゃー!」
そうして、もうすぐ夏休みも始まる。
今年は、深淵の森の向こう側にある、もふもふの国に…じゃなくて、獣人の国に行くつもり。
折角異世界転生したのに、ちゃんとした獣人さんは冒険者のクマゴローさんだけとか、寂しすぎる。エルフ等の妖精族には滅多に会えないみたいなので、まずは獣人の国に。
「という訳でゲートはお願いね」
「という訳…どういう訳なのか」
「あのね、ランス。耳と尻尾のもふもふはときめきなんだよ。神聖な物なの」
「まあ、良いではないか。我らは主の望みを叶える為にいる」
そこまで言われちゃうと、気恥ずかしいな。
シュガーとフレイムが帰って来た。
「稲刈り行って来たにゃ!」
「見てなの。黒い米なの」
えええっ!黒米も出るんだ…だとしても物凄くレアだよね。
今まで毎日のように稲刈りしてもらってたのに初めてだし。
これはそのものと、ご飯と一緒に炊いた物を出荷しよう。
いつか雑穀米も食べたいな。
授業が終わり、明日から長期の夏休みに入る為、今までは大きなバッグに荷物を入れて持って帰った生徒が、今回は二割程の生徒が空納に荷物を入れる。
「今年もメイはどこかに行きますの?」
「うん。冒険者は稼ぎ時だからね」
「でもメイのパーティーにはAランク冒険者もいますし、その…頑張り過ぎなくても良いと思いますの」
「うん。時間が空いたらクラスのみんなとも遊びたい。2ヶ月もあるもんね。リアのお家にも行ってみるよ」
「わ、私は進学するので、そんなに暇はありませんけど、息抜きも、必要だと思いますし」
「うん。でも予定合わなかったらごめんね」
「べ、別に気にしませんわ!」
進学するなら、来年からはリアは王都だろう。商人や官僚、騎士を目指す者はこの町からいなくなる。
かくいう私も、本格的な冒険者活動を始める。まあ…10歳になるまではランクアップはないんだけどね。
「僕は深淵の森ダンジョンを探索する予定なんだ」
「そうなんだ。トールは何階層まで行ったの?」
「5階層。甘水は安定した値段で引き取って貰えるし、メイのお陰で空納も覚えたからね。メイは何階層まで行ったの?」
「それは…秘密」
「もふもふはトップパーティーだもんね」
「食い意地が張っているとも言うけどね」
だって米が只で手に入るのだ。餅米も。
でもそろそろボスに挑んで、21階層を目指したい所だ。
いい加減熊さんと戦うのも慣れてきたし、ヤブラン達がいればボス戦も問題ないだろう。レベルも上がったしね。
帰り道、夏野菜を買って帰る。甘水がダンジョンから出たそのままの小瓶に入って売られている。
まだ、蜂蜜は出ていないみたいだな。15階層、タケノコは厄介だけど、香辛料も採れるし蜂蜜も手に入る。かなり美味しい階層だと思うんだけどな。
「うにゃ…まだ買い物するにゃ?」
フレイム以外のもふもふ達は、暑さが苦手みたいだ。
シュガーに、ハンカチを氷らせて渡し、なるべく新鮮な野菜を選ぶ。
「こらシュガー!乙女がそんな事しちゃだめだよ!」
顔を拭いた後に、首の所からハンカチを入れて体を拭き始めた。
「乙女にゃ?」
「恥ずかしく…ないんだっけ」
今の姿は仮の姿。通常は服なんて着ないし、うちの子達全員に言える事だけど、羞恥心がない。
こればかりは私が注意するしかないのかな。
亜空間移動で聖域の湖の側に戻って驚いた。
ランスから犬かきを教わっていたのはいい。結局泳ぎを教える暇はなかったから。
でも何で男性体のヤブランで、アロカシアの為に作った水着を着てるの!
「主!我も泳ぎを覚えたぞ!」
「今の問題はそれじゃないー!水着はアロカシア用に作ったのに、どうしてヤブランが着てるの!」
「…む?海には魔物もいるから、ヤブランの方が良いと思ったのだが…泳ぐ為の服ではないのか?」
「それは女性用なの!」
ヤブランの姿が、一瞬でアロカシアになる。
確かに、どっちの姿もアロカシアにとっては仮の姿だから、区別する方が間違っているのかもしれないけど…
「済まない。だがここの湖以外では普通に魔物がいるから、魔物と戦う事になるなら、ヤブランの方が良いと思ったのだ」
「そっか…ごめんね。私もそこまで考えてなかったよ」
「魔物のいる海や川にこのような薄着で入る者もいないし、参考になる者もいなかった」
「私のミスだよ。ごめんね。男性用で作るから」
布のイメージは覚えている。形は…あ。無理だ。結界に負ける。
「ごめん…結界の上から服は着られないんだ」
「いや、我には結界など要らないのだが」
…あー。そうだったね。
「む…では俺には作って貰えないのか?」
「ランスも人化して泳ぎたい?その前に結界を体にぴったり添わせるイメージで発動できないと危険なんだけど」
「そもそも、そのように結界を張って水中に潜っても、人前ではやらぬ方がいいのだから、意味ないのでは?」
確かに。結界を張って入らないと特に海の中は危険だし、常時幾つも魔法を発動しないといけないから、出来る人はあんまりいないかも。無詠唱じゃないと無理だから余計にね。
海で遊ぶ時は人に注意だね。
「にゃーは濡れるの嫌にゃー!」
381
あなたにおすすめの小説
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。
桜城恋詠
ファンタジー
聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。
異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。
彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。
迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。
「絶対、誰にも渡さない」
「君を深く愛している」
「あなたは私の、最愛の娘よ」
公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。
そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?
命乞いをしたって、もう遅い。
あなたたちは絶対に、許さないんだから!
☆ ☆ ☆
★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。
こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。
※9/28 誤字修正
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる