(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる

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もふもふの国

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    黒米は、あのダンジョンではレアだったみたいだけど、種籾が売りに出されていた。
    単体では扱いにくいからか、種籾自体の値段は安かった。

    メタルは優秀だから、一度教えた事は決して忘れない。メタルにできない事は、味見位だ。
    メタルも魔法を使えるようになれば、もっと出来る事が増える…魔宝石か。錬金術の腕は去年メタルが来た頃よりは上がってると思うけど、まだ無理だ。
    ひたすら頑張るしかないよね。

    亜空間から出て、作ったばかりのミックスフルーツゼリーでおやつにした。
「そういえば、魔族と獣人族の国だが、メイが入るのは難しいかもしれない」
「えっ…!何で?」
「人族による奴隷狩りが横行しているからな。どうやら人族のみでは入れないようだ」
    
    そんな!私のときめきは?罪人じゃなければ入れるんじゃ?
「まあ…我は竜人族で通すつもりだし、フレイムも少し羽根を出しておけば大丈夫だろう…まあ、メイはまだ子供だから、ランスの子供だと言えば許可も降りるかもしれないが」

「その辺は真偽官がいたら無理なんじゃ?」
「その辺は賭けだな。我らとて、魔物と判断されるかもしれない…それにメイ、もふもふに触れる訳ではない」
「分かってるよ。許可なく他人を撫でたりしたら変態だもん。尊いもふもふは、眺めるだけで充分満足だから」

「それと、魔族には注意するのだぞ。彼らは数こそ少ないが、極めて戦闘能力の高い者が多い」
    魔族も色々いる種族の一つ。別に世界征服を企んでいる訳じゃない。

    まあ、とにかく行ってみるしかないよね。

    アロカシアの亜空間移動で出た所は、国境に設えてある魔術具の向こう側。国に入る為には、1ヵ所しかない門を通らないといけないらしい。

    門の前には長蛇の列。パスを見せて通っていくのは商人だろうか?初めて国に入る人の列は一番長い。
    この国にはギルドもないから、ギルドカードも使えない。

    ランス、フレイム、シュガーはすぐに入れた。アロカシアも縦長の虹彩を見せたら入れてもらえたけど、私はやっぱり止められた。
「俺の娘なんだ。入れて貰えないか?」
「悪いがこれも決まりだからな…これに触れて魔力を流してくれ」
    魔道具は、何度か光を放った。
「なんだ。人族じゃないのか。悪いな。見かけは人にしか見えなかったよ」
「え?…私…ううん!」

    魔道具の誤作動?でもそれで通れるならラッキーだ。

「一応これを首から下げて、国にいる間は見えるようにしていてくれ」
    商人が持ってるパスとは色違いだ。
    対応してくれてる人は人族に見えるけど、違うのかな?

(主がすんなり入れたのは驚いたな。主は人…なのだよな?)
(そんなの当たり前じゃん?どこにでもいる6歳児だよ)
    ステータス鑑定にすら疑われているけど…もしやスマホとかメタルとか、神器を持っているから?

(その言い回しには色々語弊がある気がするが…主の念願が叶ったのだ。喜ぶ事にしよう)

    国に入ってすぐに町がある訳ではないが、どうにか暗くなる前には小さな宿場町に着いた。

    宿屋を見つけて中に入ると、たくさんのもふもふが、宿屋の一階は食堂になっている為か、ご飯を食べたりお酒を飲んだりしている。
「いらっしゃいませ!お食事ですか?お泊まりですか?」

    ぺたんと垂れた犬耳が可愛い店員さんが、笑顔で聞いてくる。
    ああ…尊い。
 「メイ、お店の人が困っているの」
    フレイムも今は髪の毛が羽根になっている。冠羽が可愛い。

「…済まない。とりあえず一泊頼む」
    あの女性は狐の尻尾がもふもふしている…あ、あの男の人は兎耳が可愛い…  ここは天国か!

「メイ、座って食事にしよう…」
    何かを色々と諦めた顔で、空いている席に座らせる。

    宿屋を仕切っているのは魔族なのかな…見かけは人だけど、強い魔力を感じる。
    目が合ってしまった。男性は少し私を見ていたけど、頭を振って視線を逸らした。

    多種多様な獣人様達に出会えて本当に嬉しい!
    じっと見つめていたいけど、それはやっちゃだめだよね。

    次の日。とりあえずは王都に向かう事にした。ほぼ宿屋しかない集落では、何の情報も入らなかった為だ。
    魔物も、強いのが多くて交易をしている商人は、身を守るのも大変だそうだ。

    王都までは乗り合い馬車もあるが、メイ達は、馬車には乗りたくないので歩いて行く事にした。
    
    道の向こうの草原に、黄色いモコモコがいた!獣人じゃなければ抱きつきオッケーだよね!
「う¨…痺れたー」
    このモコモコは、帯電しているのか。

    鑑定    サンダーモコモコ    雷の魔法を毛に纏う

「メイ…もふもふだからって抱きついたらだめにゃ…」
    とりあえず麻痺効果は私には効かなかったようだ。
「主はしっかりしているように見えて、考えなしに行動する事もあるのだな」
「だってもふもふが目の前にあるんだもん」
    ヤブランが矢で討ち取り、息絶えると黄色い毛が白くなった。

「死んじゃうと普通のモコモコになるんだね」
    もう帯電していない。あとはジンギスカンにして美味しく頂く事が供養になるだろう。

    よく私、感電しなかったな…。これも状態異常耐性に入るのかな?
    でも、パステルカラーのモコモコとか、可愛い過ぎる。
    もう従魔は増やすつもりはないけどね。さすがにこれ以上エンゲル係数が高くなるのはちょっと…ご飯作りだけで日が暮れる。

    途中、ビッグボアを倒す獣人族のパーティーを見かけた。
    見事な連携プレイだ。身体強化に特化した獣人族だけど、あっさりと大きなボアが仕留められた。
    大きな大八車に乗せられて、運ばれていく。
    
「どうしたの?ヤブラン」
    何か考え込んでいるヤブランを見上げて、声をかける。
「…いや、主がモコモコに抱きついた時に、我の加護が働かなかったと思ってな」

「だって実際、私はなんともなかったし、怪我もしない攻撃には働かないし」
「普通なら気絶、あるいは死もあり得たのではないかと」

    攻撃を受けるから加護が働くのか、怪我するような攻撃を止める為に加護が働くのか。
「とりあえず私、何ともないし、例えば転んだ位で加護が働いたらおかしいじゃん?」
「それは…結果的にであって」
「ごめんね。私が無防備過ぎたんだよね…これからは気をつけるからさ、あんまり悩まないで」

    守護の加護については、この時はそんなに深くは考えなかった。考えても分かる訳ないし、何ともなかったし、私が気をつければいいだけだからね。

「次の町までは日中に辿り着かないな」
    折角の旅だし、歩いて行きたかったから、身体強化して走る事もしなかった。
「じゃあ、テントを出して夜営の準備をしようか」
「亜空間じゃないの?」
「亜空間に入っちゃったら、旅っぽくないじゃん?」
「そういう物なの?」

    ポップアップ式のテントはすぐに設営出来る。勿論、空間拡張の付与をしてあるから、中は広い。
   ジンギスカンもいいけど 肉串の方が旅してる感じだし、そんなに手間もかからないので、結界石を置いて料理を始めた。

    匂いで寄ってくる魔物はみんなに任せて、ヤブランには手伝って貰う。
「お肉が増えたね…」
「問題ない。我が食べる」
    いや、誰も余る心配はしてないけどね?

    焚き火を囲んで肉にかぶり付く。こんなのんびりとした旅もいいな。

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