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湖ダンジョンのクリアと…

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    まだ魔法石は見つけていないので、8階層からだ。
    どうせ未発見のダンジョン。誰も来ないので、ヤブラン以外は人化を解いている。

「みんな…嬉しそうだね」
「スキルで姿を変えるのも、充分に慣れたはずなのに…情けない」
「ヤブランはいいの?」
「我は緊急時以外はこの姿でいると決めている」
    外用の姿って訳だ。ヤブランらしい。

    階段を見つけた。みんなそのままの姿で行くみたい。

「えっ…ボス部屋なの?!」
    広い部屋の片隅は水溜まり。そこから顔を出したかなり大型の鰻?が雷の魔法で攻撃してきた。

    看破    サンダーイール    雷魔法に特化したウナドンの上位種。滑りで物理攻撃を逸らす

    おおお…!このまま倒して、肉はドロップするのかな?して欲しいなっ!
「主…せめて身を守ってくれ」
    呆れ気味に呟くヤブランに、メイはちょっとは反省した。

    結界を張って、まずは風の鎌。ランスも噛みつこうと動くと、それを察してサンダーイールは水中に逃げた。

(雷以外の魔法で攻撃して!)
    水中から出た瞬間に、各々の得意魔法で攻撃する。

「やった!」
    プカリと浮いた鰻の切り身に喜んで回収する。
「メイ、宝箱もあるようだが…」
「ん?…おおー。目に入らなかったよ」

    中身はスキル球。効果は五感強化。
「欲しい人…って、やっぱりみんな私を優先するんだね」
    売ってもいいけど、特にお金には困ってないんだよね…それに今回の依頼を成功させたから、結構な稼ぎになるし。

    石に触れると、五感強化を習得出来た。まあ、役には立ちそうだよね?目は元々いいけど、かすかな音から警戒も出来るし、何より美味しい物をより美味しく感じる事が出来る!

「ふむ…ここが最終階層のようだな。ここでもコアを見つけるのか?」
「あ、そうだった」
    蒲焼きにするか白焼きにするかで悩んでいた事は内緒だ。

    コアの事を思い出した瞬間、地面に引き込まれた。

『ああ…出来ればもっとダンジョンが成長した姿を見て欲しかったのに…まあ、見つかっちゃったなら仕方ないですよね…ブツブツ』

「ええと…何かごめんなさい?」
『いえ。契約して力を得られたら更に発展出来るでしょうし…』

    まあ、このダンジョンの事をギルドに教えるつもりだし、そうすれば賑やかになるだろう。

    コアに触れると大幅に内なる魔力を持っていかれた感覚。
「うわ…加減してよ…」
    慣れたからか、最初の時のように気絶したりしない。

    そういえば、あの後どうやって復活したんだろう?みんなの感じからしてそう時間は経ってなさそうだけど。

    普通の魔力よりは回復が遅いものの、動いても問題ない位には復活した。

    今回得られた力はダンジョン感知。なんとなくダンジョンがある方向と、状態が分かる。

    マスタールームは…狭っ!広さは四畳半位か。
    出来る事は一緒だけど、無理にここでやる必要はないかな…

    取り敢えず栄養補給かな。分けておいた収納庫を大きく開けて、逆さまにすると、毎日実る果物や、古くなった皮のラグ等の要らない物がどっさり出た。

    こんなのでもダンジョンは喜んでいるらしいし、いいかな。

    ボス部屋に転移して、帰る事を伝えた。
「メイ、ギルドに報告はいいの?」
「明日でいいよ…今日は疲れたし、魔力も回復しないと」

    サンダーイールの切り身は、いつもの大網で蒲焼きにした。
「ふあ…匂いだけでご飯食べられそう」
    五感強化のスキルの影響もあるのかな。
    切り身の一部は勿論出荷した。我慢出来なくて、味見したら、すごく柔らかくて、美味しい!
    ヌメヌメウナドンよりも、高級感のある味だ。

「旨いな!深淵の森にある湖に行けば生息しているかもな」
「アロカシア、本当?!行きたい!」
「折を見て行き、ゲートを開いてこよう。ミノタウロスキングも探さなければ!」

    張り切ってるね!嬉しい!

「折角の美味しい鰻、もっと食べるにゃ!」
「ううん。もうお腹一杯…次の成長期が早く来る事を願うよ」

    でも、身長は今、中学生にも届く大きさだ。ネリーと同じ位かも?もし会えたら、比べてみよう。

    ベッドで迎えた予想外の悲劇!いつものように顔をもふもふに埋めようとして…くすぐったくて、無理だった!

「そ…そんな…!まさかの外れスキル?!もふもふが出来ないなんて!」
「それは良かった…ああ、いや。なら、我の傍らで眠ると良い」
「う…それはいいけど、もふもふ出来ないのは嫌っ!」
    あ。でもスキルを切る事も出来るみたいだ。良かった…

    次の日。猛毒ニジマスを提出した。
「これは…こんなのがいたら、普通の小舟などひとたまりもなかったな…唯一種だというなら、これからも怪物魚の心配も要らないし、観光も再開出来る」
    うん。それは良かった。
「しかし、見張りに聞いたが…ずっと湖の上にいたのか?全く姿を見かけないと聞いて、心配していたんだぞ?」

「あ、それは…湖の中央にある島の下がダンジョンになっていて、探検してたから」

「な…何っ?!依頼の完了報告もせずに、新しいダンジョン発見の報告もしなかっただと?!何を考えている!依頼が完了したら速やかに報告!冒険者としての基本だろうが!」

    …怒られた。

「ええと…まだ期日内だし、いいかなって。そ、それにあそこのダンジョンに入るのは大変ですよ?泳ぎが得意で、空気飴がないと」

「空気飴?」
「あ、私が商業ギルドに去年登録した飴で、舐めていると、空気が出てきて苦しくならないんです」

「そんな物が…取り敢えずメイ、申し訳ないがその飴を大量に作って商業ギルドに卸してくれ!…忙しくなるぞ…王にも報告しなければな」
「何で王様?」

「…お前な…新たなダンジョンの発見は、永続的な鉱脈を見つけたより凄い事だぞ?!」

    ああ。その存在が知れたら行きたくなる冒険者も増えるし、王都も賑わう。更に大量のシジミーが店先にも並んで…えへへ。

「と…とにかく、売れるなら、錬金術師も作るだろうし、在庫が落ち着くまで頼む!我々も早急に調査しなければならないし…それと、ダンジョン内部の情報も教えてくれ!」

「それは良いが、別室で頼む。先程から視線が鬱陶しい」

    2階の応接室で、魔物の情報等を教えた。
「まさかクリアまで…それにサンダーイールか。高ランクパーティーとはいえよく倒せたな」

「うん。急に魔物が強くなったよね。あ…でもサンダーイールの切り身は最高に美味しかった!」

「良かったな…はぁ。名誉より食欲か…恐らく王より褒美が与えられるだろう。近く、王宮に呼ばれるだろうから、覚えておいてくれ」

「えー。別にいいよ。そういうの面倒だもん」
「…そういえば魔熊の時もパーティーは辞退していたな。とても名誉な事だぞ?!」

「名誉じゃお腹は膨れないし…でも、パーティーではご馳走が…前回は参加しなかったし…うう、面倒だな…」
「嫌なら参加しなくていいんじゃないか?メイの料理が俺達には一番のご馳走だしな」

「じゃあ、ご褒美だけ貰う。それでいいよね?」

「こら!勝手に決めるな!…とにかく、連絡は取れるようにしておく事!それと、空気飴は頼む!」

「ん。それなら幾つか持ってるからあげるよ」
「譲ってくれるのか?!ああ…いや、ちゃんと価値を聞いて、金は振り込んでおく」

    私達はショートワープで行けるから、収納庫にあった物を全部出した。
「こ…こんなにあるのか?!助かる!早急な調査が出来る」
    何人で調査するか分からないけど、クリアが目的じゃないなら何度か行き帰りしても問題ないだろう。


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