126 / 166
次の目的地と、世界樹の葉
しおりを挟む
亜空間から外に出ると、雪が積もっていた。
出た場所は、アレスの湖の島の上。湖ダンジョンの真上だ。
雪が降る直前まで冒険者で賑わっていたダンジョンも、今は誰もいない。
ダンジョンにも変化があった。マスタールームが、四畳半から六畳位になった。
それもこれも、冒険者達が壊れた装備を放置したり、ダンジョンの入り口をダンジョンと認識しなかったせいで、テント等を置き去りにするから。
仮に亜空間を使える冒険者がいたとしても、ダンジョンで亜空間を開くのは不可能。ダンジョンは、それ自体が独立した空間なのだ。
だから私も上の小島に亜空間を開いている訳だけど。
そうして、今日も私はシジミーをゲットする為に5階層へ。
待っててね!私のオルニチン!
泥も冷たい筈だけど、私は燃えているのさ。勿論、血は吸わせないよ?足にはちゃんと結界を纏わせているから。
その代わりに、農園で使わなくなった鉄鉱石や、屑石、毎日簡単に収穫出来る果物をダンジョンにあげる。シジミーのお礼だ。
ちょっと疲れてきたかなと思う頃、念話が届いた。
(もう夕飯の時間にゃー!)
え、もう?脳内ドーパミン出まくりで、時間なんて忘れてた…私も進歩がないな…本を読んでいるとお昼の時間も忘れちゃってた頃と、変わりない。
外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
「ごめんねー、みんな!」
炬燵の上では、鍋がグツグツ煮たっている。やった!蟹鍋だ!
「メイはちゃんと反省するにゃ!」
「ずっと炬燵でダラダラしてたシュガーも、反省すべきだな」
「動いてないのは俺達もだ。外の魔物は寒さであまり活動しなくなるからな」
「ボクはずっと本を読んでいたの」
「あ、その本。懐かしい」
まだ神様の世界にいた頃、オージェに貰った錬金術の本だ。最初は難しくて、全然理解出来なかった。
もう、ずっと神様達に会えてない。随分前に短いメールを貰ったきりだ。
聞きたい事はあるけど、差し迫った用事はないし、加護も取り消されてないから、嫌われた訳じゃないよね…
眷属達がいるから、淋しくはない。
うん。大丈夫。
切り替えていこう。あと見たい所は、この大陸の中心にあるという、天まで届くという塔のダンジョンだ。見るのは勿論だけど、攻略もしてみたいよね!
それにしても、そんな塔まで人工物じゃないなんて、不思議だよね…大昔に、突然生えてきたって本当かな?
塔の話をしたら、みんな何かに納得したような顔をしてた。
「いずれは言い出すと思っていた。主にしてはむしろもっと早くに言うと思っていたな」
「そうだったの?観光地扱いでもあるから、ダンジョンはどんな感じなのかな?」
「そこまでは知らん。だが浅い階層は、冒険者でなくとも入れるレベルで、多少のレベル上げは出来るようだ」
深淵の森ダンジョンも、1階層はミニスライムだけど、たどり着くまでにはオークも出る。
冒険者の私達にとっては美味しいお肉でしかないけど、一般人からすると、充分な脅威だ。
「塔のダンジョンは、本でも見たの。誰も最終階層までクリアした人はいないって。だから、メイも無理しちゃだめなの」
「しないよ。みんなの為にも、私は長生きしないとね」
念のために、死亡を一度だけ回復してくれるという魔道具を作ってみようかな。
その為には命の花も必要だし、世界樹の葉も必要だ。
エルドさん、渡してくれるかな?一応、深淵の森ダンジョンマスターの権限で、使用可能な権利は得てるけど。
次の日。エルドさんの所に行って、錬金術の材料にしたい旨を話して、頼んだ。アロカシアも、エルドさんを見上げている。
(不死の力を得る為ではないのだな?)
あ。うちにフェニックスがいるから、エリクサーの作成も可能なのか。
「それは要らないかな。定住だってできないし、そんなに長生きしても、却ってやる事なくて、無為な時間を過ごしそう」
(うむ。そうてなくてはな。その高潔な精神、さすがだ…ところで、魔宝石はお持ちではないか?世界樹に栄養を注ぎたい)
「私の魔法が充填された物でいい?」
(むしろ、それが望ましい)
それなら、ある。私用の魔力タンクも、魔宝石にしたからね。
収納庫から出すと、ふわりと舞い上がり、エルドの手中へ。
それを掲げると、雪ではなく、雨がパラパラと降り注いだ。
(折角なので、世界樹の雫もどうぞ)
「ありがとう!」
ふわりと飛んで、ガラス瓶に雫を落とす。
「では、枝は我が」
軽くジャンプして、枝を折る。
「いや、そんなには要らないよ?」
(アロカシアよ。世界樹はこの世界になくてはならない樹。それなのにお前は)
「す、済まぬ」
何にせよ有難い。世界樹の雫は、他のアイテムに使えるから。
「じゃあ、お礼にたくさんの唐揚げをどうぞ」
(よ!良いのか?!)
「我も唐揚げ!」
「アロカシアは、後でね。心配しなくてもまだあるし、無くなってもレッドコークとか、イカゲソとかダンジョンで集めればいい」
(それに、お前は毎日この美味しい食事をしているのだろう?少しは我慢するのだ)
「むぅ…我は今、成長期で」
「大丈夫だよ、アロカシア。まだ色々と、収納庫に入っているからね?」
(それは、羨ましい)
ええと…流石に竜二匹の食欲を満たす程の料理は。
「我は眷属だからな!」
アロカシアも煽らないで。
(はぁ…我にはここを守護する役目があるからな)
そのうち、差し入れを持ってこよう。アロカシアは勿論の事、ランスもお世話になっているからね。
出た場所は、アレスの湖の島の上。湖ダンジョンの真上だ。
雪が降る直前まで冒険者で賑わっていたダンジョンも、今は誰もいない。
ダンジョンにも変化があった。マスタールームが、四畳半から六畳位になった。
それもこれも、冒険者達が壊れた装備を放置したり、ダンジョンの入り口をダンジョンと認識しなかったせいで、テント等を置き去りにするから。
仮に亜空間を使える冒険者がいたとしても、ダンジョンで亜空間を開くのは不可能。ダンジョンは、それ自体が独立した空間なのだ。
だから私も上の小島に亜空間を開いている訳だけど。
そうして、今日も私はシジミーをゲットする為に5階層へ。
待っててね!私のオルニチン!
泥も冷たい筈だけど、私は燃えているのさ。勿論、血は吸わせないよ?足にはちゃんと結界を纏わせているから。
その代わりに、農園で使わなくなった鉄鉱石や、屑石、毎日簡単に収穫出来る果物をダンジョンにあげる。シジミーのお礼だ。
ちょっと疲れてきたかなと思う頃、念話が届いた。
(もう夕飯の時間にゃー!)
え、もう?脳内ドーパミン出まくりで、時間なんて忘れてた…私も進歩がないな…本を読んでいるとお昼の時間も忘れちゃってた頃と、変わりない。
外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
「ごめんねー、みんな!」
炬燵の上では、鍋がグツグツ煮たっている。やった!蟹鍋だ!
「メイはちゃんと反省するにゃ!」
「ずっと炬燵でダラダラしてたシュガーも、反省すべきだな」
「動いてないのは俺達もだ。外の魔物は寒さであまり活動しなくなるからな」
「ボクはずっと本を読んでいたの」
「あ、その本。懐かしい」
まだ神様の世界にいた頃、オージェに貰った錬金術の本だ。最初は難しくて、全然理解出来なかった。
もう、ずっと神様達に会えてない。随分前に短いメールを貰ったきりだ。
聞きたい事はあるけど、差し迫った用事はないし、加護も取り消されてないから、嫌われた訳じゃないよね…
眷属達がいるから、淋しくはない。
うん。大丈夫。
切り替えていこう。あと見たい所は、この大陸の中心にあるという、天まで届くという塔のダンジョンだ。見るのは勿論だけど、攻略もしてみたいよね!
それにしても、そんな塔まで人工物じゃないなんて、不思議だよね…大昔に、突然生えてきたって本当かな?
塔の話をしたら、みんな何かに納得したような顔をしてた。
「いずれは言い出すと思っていた。主にしてはむしろもっと早くに言うと思っていたな」
「そうだったの?観光地扱いでもあるから、ダンジョンはどんな感じなのかな?」
「そこまでは知らん。だが浅い階層は、冒険者でなくとも入れるレベルで、多少のレベル上げは出来るようだ」
深淵の森ダンジョンも、1階層はミニスライムだけど、たどり着くまでにはオークも出る。
冒険者の私達にとっては美味しいお肉でしかないけど、一般人からすると、充分な脅威だ。
「塔のダンジョンは、本でも見たの。誰も最終階層までクリアした人はいないって。だから、メイも無理しちゃだめなの」
「しないよ。みんなの為にも、私は長生きしないとね」
念のために、死亡を一度だけ回復してくれるという魔道具を作ってみようかな。
その為には命の花も必要だし、世界樹の葉も必要だ。
エルドさん、渡してくれるかな?一応、深淵の森ダンジョンマスターの権限で、使用可能な権利は得てるけど。
次の日。エルドさんの所に行って、錬金術の材料にしたい旨を話して、頼んだ。アロカシアも、エルドさんを見上げている。
(不死の力を得る為ではないのだな?)
あ。うちにフェニックスがいるから、エリクサーの作成も可能なのか。
「それは要らないかな。定住だってできないし、そんなに長生きしても、却ってやる事なくて、無為な時間を過ごしそう」
(うむ。そうてなくてはな。その高潔な精神、さすがだ…ところで、魔宝石はお持ちではないか?世界樹に栄養を注ぎたい)
「私の魔法が充填された物でいい?」
(むしろ、それが望ましい)
それなら、ある。私用の魔力タンクも、魔宝石にしたからね。
収納庫から出すと、ふわりと舞い上がり、エルドの手中へ。
それを掲げると、雪ではなく、雨がパラパラと降り注いだ。
(折角なので、世界樹の雫もどうぞ)
「ありがとう!」
ふわりと飛んで、ガラス瓶に雫を落とす。
「では、枝は我が」
軽くジャンプして、枝を折る。
「いや、そんなには要らないよ?」
(アロカシアよ。世界樹はこの世界になくてはならない樹。それなのにお前は)
「す、済まぬ」
何にせよ有難い。世界樹の雫は、他のアイテムに使えるから。
「じゃあ、お礼にたくさんの唐揚げをどうぞ」
(よ!良いのか?!)
「我も唐揚げ!」
「アロカシアは、後でね。心配しなくてもまだあるし、無くなってもレッドコークとか、イカゲソとかダンジョンで集めればいい」
(それに、お前は毎日この美味しい食事をしているのだろう?少しは我慢するのだ)
「むぅ…我は今、成長期で」
「大丈夫だよ、アロカシア。まだ色々と、収納庫に入っているからね?」
(それは、羨ましい)
ええと…流石に竜二匹の食欲を満たす程の料理は。
「我は眷属だからな!」
アロカシアも煽らないで。
(はぁ…我にはここを守護する役目があるからな)
そのうち、差し入れを持ってこよう。アロカシアは勿論の事、ランスもお世話になっているからね。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
1,298
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる